タルト・トロペジエンヌ : Tarte Tropezienne (Brioche Cake)
1950年代に南フランスのSaint-Tropez(サントロぺ)を起源とするといわれている郷土菓子(Alexadre Mickaが初代)で、女優のブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)が有名にしたそうです。オリジナルレシピは公開されてはいません(世界で三人しか正確な配合組成は知らないそうです)のでネット公開されている様々なレシピを見比べて工夫してみました。
ブリオッシュが基本生地で中央にカスタードを挟む様ですが, オリジナルのレシピでは、カスタードにはバニラとレモンクリームの混ぜ合わせたものを使用する様です(Alex Ledsom: A brief history of the tarte tropezienne, the french riviera’s favorite dessertを参照しました)。表面をクリスタルシュガーでコーティングする様ですがこれだけではインスタ写真で投稿されている様な表面のメロンパン様の凸凹模様ができません。いろいろ調べていると、どうもこれはcraquelin(クラクラン)を使用する様でした(クリスピーシューを作るときに使用するドウですからこれは有名ですね(一安心))。そもそもこれが日本のメロンパンのオリジンの様ですからこれを刻んで上から振りかければあの様な美しい凸凹模様となるのも納得がいきます。あとケーキシロップにorange blossom waterというのをほとんどのレシピで使っているのがわかりましたがこんなものは見たことも聞いたこともありませんので、国産のカクテルベースTUMUGIとレモンゼスト、レモンエッセンス混ぜてlemon syrupをこしらえてコンバートしてみました。
Ingredients:材料・配合組成
いろいろ調べた結果、下記の組成に帰結しました。必要な材料はφ18cmのケーキパン(焼型)に合わせています。余った材料は適量になる様に減量補正しました。焼き時間と温度は私のオーブンに合わせて微調整していますのであくまで参考値です。
For Brioche Dough | Amount |
Cake Flour | 150 gram |
Bread Flour | 150 gram |
Active Dry Yeast | 6 gram (1 pack) |
Salt | 1.5 gram |
Superfine Sugar | 45 gram |
Whole Egg (L) | 2 ea. (120 gram) |
Butter(salted) | 70 gram |
Fatspread (Margarine) | 20 gram |
Whole Milk | 100 gram |
Sugar Syrup (Mizuame) | 45 gram |
Vanilla oil | a few drops |
For Craquelin | Amount |
Butter(salted) | 20 |
Powdered Superfine Sugar | 15 |
Cake Flour | 10 |
Bread Flour | 10 |
For Lemon Syrup | Amount |
Water | 120 gram |
Superfine Sugar | 45 gram |
Lemon Essence | 8 drops |
Lemon Zest | 1 ea. |
Vanilla Oil | 6 drops |
TUMUGI | 8 gram |
For Tropezienne Custard | Amount |
Whole Milk | 265 gram |
Lemon Syrup | 15 gram |
Superfine Sugar | 60 gram |
Egg Yolk | 4 ea. (80 gram) |
Cornstarch | 20 gram |
Cream Cheese | 200 gram |
Vanilla Oil | a few drops |
Powdered gelatin | 5 gram |
Water (cold) | 25 gram |
For Creme Chantilly | Amount |
Heavy Cream | 150 gram |
Powdered superfine sugar | 20 gram |
Instruction : 調理法
<1>ブリオッシュの作製法
①中型の耐熱ボウルに100グラムの牛乳、20グラムのファットスプレッド、70グラムのバターを投入し湯煎(Bain-marie)ですべてが溶けて混ざりあうまで温めます。
②次に粉類(dry ingredients)をすべて篩います。最初に150グラムの強力粉、150グラムの薄力粉、6グラムのドライイースト、45グラムの粉砕上白糖、1.5グラムの塩をメタルボウルに篩います。そのあとフォークで十分にまぜて均一に成分が分散されるようにかき混ぜます。
③中型のボウルのバター牛乳(*(注)バターミルクではないです)へ常温でしばらく平衡しておいた全卵を1個づつバター牛乳に投入し(total 2個)、バニラオイルを数滴加えてホイッパーでかき混ぜて均一にします。少し常温で冷まします。
④メタルボウルにある前もって混合しておいた粉類に卵黄ーバター牛乳混合液を全部注ぎます。
⑤木べらを用いて、粉が完全に見えなくなるまでcenter to margin foldで丁寧に混ぜていきます。グルテンが析出しない程度のラフな混ぜ具合です。
⑥大型のボウルの内側に植物油(キャノラオイル)を少量引いておきます。これはドウを取り出す時に難渋するのを防ぐためですので不要なら省略ください。
⑦ドウを大型ボウルに移します。サランラップで表面を覆い、遮光タオルをかぶせて2時間くらい常温で発酵を進めます。タオルを取り除いてドウのサイズが2-3倍になっていたら出来上がりです。この時点ではドウはドロドロしています。
⑧もう一度うえからタオルをかぶせて約12時間冷蔵庫で放置します。これで成形できるレベルの十分な硬さと気泡を含んだ理想的なドウになります。
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<2>クラクランとレモンシロップの作製法
(1)クラクランの作成
基本的な作製法に従って作成します。
①メタルボウルにバター20グラム、薄力粉10グラム、強力粉10グラム、上白糖15グラムを入れ、ペーストリーブレンダーで切るように混ぜていきます。
②生地がまとまってきたら、ラップに強力粉を適量撒いて生地を移します。ラップで包み込んで円形に形を整えます。
③軽く強力粉を撒いたクッキングシートにドウを伸ばし、長方形にロールして伸ばします。
④冷凍保存してドウを固めます。
(2)レモンシロップの作成
①ソースパンに水120グラム、上白糖45グラム、レモンゼスト1個分を入れて中火で沸騰させます。
②弱火にしてレモンエッセンス数滴、バニラオイル数滴、TUMUGI 8グラムを加え軽く混ぜて火を止めます。
③メッシュストレイナーを通してゼストを回収しながら別の容器に移します。これで完成です。
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Preparing Lemon Syrup: ① Place 45 gram superfine sugar and 1 lemon zest with 120 gram water in a saucepan over medium-high heat. Simmer it to a boil. ② Add a few drops of lemon essence and of vanilla oil, 8 gram TUGUMI over low heat and stir. ③ Remove from heat and transfer the syrup into cups through a mesh strainer to retrieve the lemon zest.
<3>トロペジェンヌカスタードの作製法
最初に、5グラムのゼラチンを25グラムの冷水に溶かしてbloomします。使用するまで冷蔵庫で冷やしておきます。
①卵黄4個、上白糖60グラム、コーンスターチ20グラムを中型の耐熱ボウルに入れ、クリーム状になるまで混ぜます。
②牛乳265グラムをソースパンに注ぎ、中火で一度沸騰させます。
③沸騰させた牛乳(約半分)を少しずつ卵黄クリームに注ぎ、常にホイッパーでかき混ぜながらテンパーリングします。
④均一に混ざったら、ソースパンに戻します。再び中火にかけて濃縮していきます。ホイッパーで常にかき混ぜながら抵抗が急激に高まったとこで一度火を切ります。2分位激しくかき混ぜてカスタードに熱を均等に分散させ自分の好きな粘度に調整します(今回はこの時点で硬めに仕上げます)。
⑤再び弱火にかけ、クリームチーズ200グラムを加え完全に溶けるまで混ぜます。
⑥カスタードを耐熱ボウルに戻し、ホイッパーで激しくかき混ぜて焼き進みしないように熱を放散させます。
⑦ バニラオイルを加えて卵臭さを消します。 味付けにレモンシロップを15グラム混ぜます。いい香りが漂います。
⑧冷やしておいたゼラチンにもう一度熱を加え溶解し、カスタードに加えて均一になるまで混ぜます。
⑨表面にサランラップをして、室温で放置して冷まします。クリームチーズが入った分すぐに温度が下がってきますので冷蔵庫には入れません。
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<4>ブリオッシュケーキの焼成法
①一晩寝かしたブリオッシュドウを冷蔵庫から出してきます。適量に強力粉を篩って、φ18 cmの円板状に形成します。厚みは2 cm位になります。
②Φ18 cmのケーキパン(焼型)の底面と内側にクッキングシートを貼ります。中にブリオッシュを入れラップします。タオルをかけて室温で30〜40分位放置して膨らませます。
③ケーキパンの3/4位の高さに膨張したら、表面をエッグウオッシュをします。オーブンを180度に加熱します。
④冷凍しておいたクラクランを取り出しナイフで約10mm角に刻み、上から振りかけます。
⑤オーブンで180度、50分位焼きます。中央まで火が通りにくい上に、焼き過ぎるとブリオッシュの食感は非常に悪くなりますので串で刺して焼け具合を確認しながら慎重に辛抱に焼き上げます。
⑥焼き上がったら室温で冷まし、早々に側面のモールドを外します。
⑦その後、冷蔵庫で冷やします。
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<5>カスタードの仕上げと積み上げ方法
①生クリーム150グラム、粉砕上白糖20グラムを混ぜて電動ホッパーでstiff peakまで仕上げます。
②トロペジェンヌカスタードとクレームシャンティイをスパチュラで均一になるまで混ぜ、絞り袋に詰めます。
③ブリオッシュケーキをケーキスライサーで水平に3等分します。
④最下段のケーキにレモンシロップを塗ります。そのあとφ2cm位の円を絞り、カスタードで埋め尽くします。以後同様の処理を2段目のケーキにも行います。
⑤最上層のケーキで蓋をします。見栄えの面からはここで終了したいところですが、少しパウダーシュガーを篩っておきます。これで完成です。鋸歯ナイフでカットしてサーブします。
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おまけの一品:卵白が4個分余りましたので、これでホワイトロールを作りました。詰め物は、余ったトロペジェンヌカスタードを使用しています。スイスロールに使用しても良さそうです。
編集後記:サントロペでは日常の食卓に出てくる焼き菓子のようですが、手の込んだ火入れが難しいシューペーストリーの応用編という印象でした。シューペーストリーとベーカリーの接点に位置する不思議なケーキで両方の食感を味わうことができました。長文になると書き手も読み手も疲れますね。