Basic Castella Sponge Cake; Sponge Cakeを作る(その9): 牛乳パックで作成した焼型を用いて、自宅のオーブンで基本のカステラを焼いてみた。

基本のカステラ

カステラは、下図上段の右に位置するhigh ratio cakeの究極バージョンになります。使用する卵黄/卵白の個数比が逆転していますので濃厚カステラを作成しようとするほど混ぜ合わせが困難になってきます。適度の保湿は焼きあがったカステラの口どけ感を左右する決定的因子となりますので必然的に強力粉主体のレシピとなります。

このサイトでの種々のケーキの分類:: 横軸は使用する卵黄(ey)/卵白(ew)の個数比(Ney/New)、縦軸は使用する砂糖(グラニュー糖換算)/小麦粉の重量比(w/w)

自宅のオーブンでカステラを焼くにはまず適当な焼型を考える必要があります。市販の木製のカステラ専用の焼き型を使用するのもよいですが大きさなどが限定される上にいろいろ準備が煩雑です。要はオーブンクッキングの要となるアルミホイルをどういう風に用いて熱の伝導調整を行うかが大体つかめればそこら辺にあるものを利用して焼成できることになります。アルミニウムの熱伝導率は237 W/(m・K)と銅に次いで高値です。したがって熱伝導率の極めて低い紙(≒0.06)を即席の断熱壁としてアルミホイルで囲い込むことにによって専用焼型同様の等温膨張過程を再現します。重要なのは牛乳パックの内面のアルミホイルの巻き数ですが、私は側面1重、底面3重に敷いてザラメの部分の底面とスポンジケーキの部分の熱伝導を調整しています(使用している天板の熱伝導率が多少影響するとは思います)。とりあえずのところこの重層比でそこそこのカステラが仕上がっているように感じています。この構成によりオーブンクッキングにおける加熱形態が、空気からの対流伝熱により遮蔽を受けていない表面方向から生じる形でリードされるように誘導します。アルミホイルの内側には表面のシリコーン加工されたクッキングシートで作成した型をもう一つ置きます。これはシリコーン(熱伝導率≒1.3)によるアルミホイルへのカステラの焦げ付きを防止するためです。

牛乳パック1Lサイズ2個を用いて作成したカステラの焼型:内側面はアルミホイル1層、内底面はアルミホイル3層、さらに内側にクッキングシートで作成したペーパー型を設置します。

上図は1Lの牛乳パックを2つ重ねて断熱壁を作成しています(V=7cm x 7cm x 33cm)。これが我が家の天板に乗せられる最大サイズになります。上面以外が即席の断熱面となります。アルミホイルは作成が簡単になるように幅が25cmのものを使用します。理論的には外面をアルミホイルで囲う分は節約してもよいと考えますが作成を簡易化するために全体に巻き付けます。まず属面に図のようにアルミホイルを1層巻いてホチキスで止めます。次に110 cm x 25cmのサイズにアルミホイルをはさみで切断し2、続いて110 cm x 12.5cmの長方形2つに2分します。両端を織り込んで幅を7cm弱に整えます。これを内側底面からかぶせ両端の正方形面もカバーします。これをもう1層して位置が移動しないようにホチキスで止めます。
次に、内側に設置するクッキングシート製の型を作ります。幅30cmのシートを使用して、6.8cm x 11.6cm x 32.8cmの直方体の型を作成します。これもホチキスで止めて作成します。牛乳パック型の内側に設置して準備完了です。

Ingredients: 材料と配合組成

使用した材料は、レモンジュース(サンキスト100%レモン、サンキスト)、メープル風味ケーキシロップ(ケーキシロップ、カンピー)、牛乳(北海道牛乳、トップバリュ)、以下はすべていつもの材料です。

Castella Sponge CakeAmount for 7cm x 33cm x 7cm pan
Crystal Sugar (medium size)25 gram
Egg Yolk (L)5 ea. (100 gram)
Superfine Sugar65 gram
Cake Syrup45 gram
Whole Milk (hot)45 gram
Egg White (L)4 ea. (160 gram)
Lemon Juice4 gram
Superfine Sugar 120 gram
Bread Flour150 gram (ratio S/F ≒1.64 )
Vanilla Oila few drops
Baking Trick170C x 10 min plus 160C x 50 minutes
Basic Castella Sponge Cake : The ratio sugar / flour is estimated to be about 1.64 in terms of granulated sugar.

Instructions: 調理法

①大型ボウルに、卵黄5個分と上白糖65グラムを入れBain-marieで混合します。砂糖が解けたら湯煎から外して室温でしばらく放置しておきます。
②メタルボウルに卵白4個分を入れ、レモンジュース4グラム加えて電動ホイッパーで攪拌します。
③加える砂糖の量が多いですので4回にに分けてsoft peak手前から加えていきます。最終的にはstiff peakとfirm peakの中間位に仕上げます。
④go back methodに従い攪拌した卵黄とメレンゲをスパチュラで混ぜます。

Making castella sponge cake butter : ① Cast 5 egg yolks and 65 gram superfine sugar into a large bowl to mix well with a balloon whisk over simmering water in a saucepan (Bain-marie). The sugar resolved, leave it at room temperature for a while. ② Pour 4 egg whites and 4 gram lemon juice into a metal bowl. Electric-whisk until lightly whipped. ③ Gradually adding 120 gram superfine sugar in 4 batches, continue electric-whisking until firm peak form near stiff peak form. ④ According to go-back method, fold the meringue and the egg yolk mixture until well incorporated.

⑤ケーキシロップ45グラムと牛乳45グラムを混ぜて湯煎で温めます。
⑥強力粉150グラムを卵黄/メレンゲ混合液に篩いスパチュラで丁寧に混ぜます。
⑦ケーキシロップ牛乳液を最後に混ぜます。
⑧カステラの焼き型にザラメ糖(中)を25グラム適当に敷きます。
⑨生地を注ぎ、オーブンで170℃で10分、その後160℃で50分焼成します。

Making batter and oven-baking: ⑤ Pour 45 gram maple-tasted cake syrup and 45 gram whole milk into a 250 ml measuring cup. Warm it in a hot water. ⑥ Sift 150 gram bread flour over the egg yolk-meringue mixture and fold it gently gradually adding the hot milk-syrup until well incorporated. ⑦ Sprinkle 25 gram medium size crystal sugar into the cooking paper mold. ⑧ Pour the batter and flip it down a few times to remove air bubbles. ⑨ Oven bake at 170C for 10 minutes and add further baking at 160C for about 50 minutes. Do not over-bake.

水分が蒸発して生地がスポンジケーキの様にならないように控えめの焙焼時間の決定が必要です。焼き加減は竹串で刺してみて微妙に表面が湿る程度が目安です(生焼けではだめですのできっちり焙焼は行います)。その後も水分を蒸発させないことが秘訣です。天板ごと取り出して濡れタオルの上において冷まします。アルミホイルはすぐに温度が下がりますので、内側のクッキングシートに触れることが出来るくらいになったらクッキングシートをもってカステラをアルミホイルの焼型から抜きます。クーリングラックにのせて触っても火傷しない程度まで温度が下がるのを待ちます。温度が下がったら紙型を剥がさずにすぐにラップでぐるぐる巻きにして蒸発を防ぐとともに冷蔵庫に半日ほど入れてお冷やします。これで口溶け感がグーッとよくなります。

一般に食材(炭水化物、タンパク質など)に含まれる成分では水の熱伝導率がとびぬけて高く(0.600 W/(m・K))、そのため焙焼時間は水の含有量に左右されると言えます。カステラは”如何に水分を保持した状態でしっとり焼き上げるか”が焼成の基本テクニック。最近は電子レンジ調理(microwave cooking)も流行っている様ですのでこれを用いてうまく焼き時間と熱量の設定条件を決めることができれば家庭でも大量に焼き上げることが可能かもしれませんね。

カステラ : Castella Sponge Cakeを作る

チョコ&苺ワインカステラ

Chocolate / Strawberry Wine Castella Sponge Cake (チョコ/苺ワインカステラ)を作ってみました。

牛乳パックで作成したカスタムの長方形の焼型を利用して33cm x 6.8cm x 8cmサイズの大型のカステラを焼いてみました。家庭用オーブンに入る最大サイズのカステラです。カステラを作る際は、卵黄:卵白=5個 : 4個 〜 5個 :3個くらいの比率にしますが卵白の量が少なくなるほど小麦粉との混ぜ合わせが困難となってきます。シフォンケーキの対極となる混合比となります。生地をしっとりとした状態に焼き上げることができるかどうかがキモですので小麦粉は吸水性の高い強力粉のみを使用しています。家庭用オーブンを用いて専用の道具不要で、簡単にカステラを焼くことができました。

チョコレートカステラ
Chocolate Castella Sponge Cake
苺ワインカステラ
Strawberry Wine Castella Sponge Cake

Ingredients: 材料

IngredientsChocolate CastellaStrawberry Wine Castella
Coffee Sugar Crystal (crushed)4Tsp (20gram)4Tsp (20gram)
Egg Yolk (L)5 (100gram)5 (100gram)
Superfine sugar65gram65gram
Syrup45gram (Cake Syrup)45gram (Cake Syrup)
Fluid for dilution45gram (hot milk)45gram (Warm Strawberry Wine)
Bread Flour130gram150gram
70% Cocoa Powder30gram
Egg White (L)4(160gram)4(160gram)
White Wine Vinegar2〜3gram2〜3gram
Superfine Sugar120gram90gram
Dark chocolate20gram
Vegetable Oil20gram
Food Coloring (red)3 attached spoon

Recipe:レシピ

1.カスタムの直方体の焼型の作成方法です。

必要な材料は1Lの牛乳パック2本とアルミホイル、クッキングシートです。
①クッキングシートにマジックで底面33×6.8cm、高さ11.6cmの直方体の型を作図します。左右側面となる11.6cmのラインをハサミで切ります。ホッチキスで止めて直方体の紙型を作成します。
②1L牛乳パックの長方形面と正方形面のそれぞれ一面だけをハサミで切断し2つを重ねて合わせて最大長33cmになるように組みます。その位置でホッチキスでガッチリ止めます。
③アルミホイルで牛乳パックの型を2重に覆い、剥がれないようにこれもホッチキスで止めます。紙型を内側に入れて完成です。

牛乳パック焼型
Preparing a 33cm original baking pan: ①Draw lines on a cooking paper to make 33cm x 6.8cm x 11.6 cm rectangular prism. Use a cooking paper of 30cm width that makes it easy to mark 11.6 cm and further 6.8cm. Cut lines as shown in the upper-middle picture, and staple the paper to create a rectangular paper mold. ② Cut a 1L sized milk pack as shown in the lower-left picture and put it together in the longitudinal size of 33cm. Staple it and carefully wrap double with aluminum foil overlapped. ③Place the paper mold in the aluminum-foiled mold.

2. ザラメの敷き方

 ザラメにはコーヒーシュガー(Coffee Sugar Crystal)を用います。ただし原品のまま敷いて焼くとゴツゴツと舌触りが悪くなるので一度ミキサーで粉砕して下図のように細粒にして均等に敷きます。焼くとこれで丁度いいくらいのザラメができます。

コーヒーシュガー
Preparing crystal sugar: Place 20gram coffee sugar crystal (per one mold) in a mixer bowl and crush adequately into the powdered. Sprinkle it in the mold evenly.

2. カステラスポンジケーキのレシピ : Making Castella Sponge cake

使用する材料は近所のスーパーで簡単に揃ういつもの製品(材料1)です。チョコレートはガーナブラックを使用しました。
①卵を卵黄と卵白に分け、フラワーホイッパーを用いて卵黄5個と砂糖65gramをBain-marieで十分に混ざり合わせます。卵白は使用するまで冷蔵庫に冷やしておきます。
②次に卵白を4個分取り出し、白ワインビネガーを加えます。電動ホイッパーを用いて、Separation forming methodに従いメレンゲをsoft peakまで泡立てします。その後で、3回分くらいに分けて砂糖を加えながらstiff peakまで仕上げます。
③出来上がったメレンゲの1/3ほどを①で仕上げた溶き卵に加えて十分に混ぜ合わせます。

カステラ生地 No1
① Separate whole egg into egg yolk and egg white. Place 5 egg yolks and 65 gram sugar into a middle bowl over the double boiler. Whisk it evenly until sugar is completely dissolved. ② Place 4 egg whites into a metal bowl and add 1tsp white wine vinegar. Electric-whisk until the soft peak form. Gradually adding sugar in 3 batches, continue to electric-whisk until the stiff peak form. ③ According to the go-back method, dump 1/3 volume of the meringue into the egg yolk mixture and fold it until well incorporated.

④これを全部メタリックボウルに返します(go back method)。down to up foldでメレンゲのlossが最小限になるよう丁寧に混ぜます。このとき必要ならバニラオイルを数滴加えます。
強力粉(ココアパウダーを使う際はここでいっしょに)を一度篩にかけます。ココアパウダーを加えるときは篩った粉をフォークで念入りにかき混ぜて均等な色調になるようにします。ダマににならないようここで十分にかき混ぜたほうがいいです。
⑥④で仕上げた生地に篩った強力粉をもう一度上から篩います。スパチュラで混ぜてだいたい均等にします。

カステラ生地 No2
④ Get the meringue-egg yolk mixture back into the metal bowl, and fold it gently until well incorporated. ⑤ In advance, sieve strong flour and cocoa power in a bowl and stir sufficiently not to become chunky. ⑥ Sieve the mixed flour over the batter and fold evenly.

⑦ダークチョコレートとキャノラオイルを混合し、湯煎で溶かして生地に混ぜます。

チョコレート
⑦ Place 20gram dark chocolate and 20gram vegetable oil in a measuring cup and warm it on a hot bath until the chocolate is completely melted. Pour it into the batter and mix well.

⑧焼型に注ぎます。たくさん気泡が出てきますので何回かトントンと軽く底面を小突いたのち、楊枝で大きな表面の気泡を潰しておきます。
⑨表面がきれいになったところでオーブン焼きします。170度で15分上面に焼きを入れたのち、アルミホイルで表面をカバーして160度で50分ほど全体を焼きます。焼き過ぎてしっとり感がなくなると元も子もありませんので焼き過ぎしないよう注意が必要です。爪楊枝で刺してみて少し水気が残る位が最適な火入れです。
⑩クーリングラックに置いて室温で冷やしますが焼きが進まないようにすぐにアルミフォイルを巻いた外側の焼型から抜きます。ラップが出来る程に温度が下がったところで紙型の上からグルグルまきにラップして冷蔵庫に一晩置きます。翌朝には丁度いいしっとり感に仕上がっているはずです。

カステラ生地 No3
⑧ Pour the batter into the mold. Then flip the mold several times to remove air bubbles. ⑨ After the surface gets silent, oven-bake at 170C for 15 minutes. Then covered with aluminum foil on top, additionally bake at 160C for about 45 minutes. Do not over-bake. ⑩ Cool it at room temperature on a cooling rack, and plastic-wrap the castella tightly to chill it in a fridge overnight.

☆シロップとシロップの希釈液=total 90mlをそのままメープルシロップ90mlで置き換えると美味しいメープルカステラを作る事もできます.これも是非試してみてください。



*Go Back Methodとは

一般に”捨てメレンゲ”とも呼ばれています。メレンゲと卵黄ベースの生地を混ぜ合わせる際にまず、前もって作成したメレンゲ全体量の1/3を卵黄を攪拌して作った方の生地に投入し十分に混ぜ合わせた後、このメレンゲが十分馴染んだメレンゲー卵黄混合生地を残ったメレンゲに全量返して混ぜ合わせる手法です。最初に混ぜる1/3のメレンゲ が犠牲になる様なイメージがあるため”捨てメレンゲ”と呼称されている様です。メレンゲに対しては、卵黄をはじめとした油脂を含むもの、粉類、砂糖ですら実際のところ、メレンゲ を縮小させる方向に働きますので対極にある2物をいきなり混合するとせっかく作成したメレンゲが台無しになる可能性があります。これを最小限に抑える目的で橋渡しの役目を果たしてくれる中間媒体を作成します。捨てメレンゲをしっかり利用して混合しやすい中間媒体を作成したほうがいいですので、躊躇せずしっかり混ぜ合わせましょう。


Chocolate Ciffon Cake (チョコレートシフォンケーキ)を作る

チョコレート苦手といいつつ、いきなりチョコレート系の作品からスタートです。シフォンケーキの基本レシピをもとにオイルをバター&マーガリンに置換して作成してみました。パウンドケーキの様な生地の固さはなく、シフォンケーキの様なパサパサした食感もなく少し締まったスフレチーズケーキの様なテクスチャーの仕上がりになっています。我が家はこれくらいのの硬さが好みです。

Chocolate Chiffon Cake : 33cm x 7cm x 7cmの大型ケーキです

組成は、以下の通りです。

Ingredientsfor 33cm x7cm x 7cm amount
Butter Blended(Butter & Margarine)100gram B + 85gram M
Superfine Sugar225gram
70%Cocoa Powder30gram
Whole Milk150gram
Dark Chocolate30gram
Egg Yolk4(80gram)
Egg White4(140gram)
Plain Flour(C:B=1:1)150gram
Salt0.7gram
Baking Powder7gram
Baking Trick180℃ x about 40minutes

バターは四つ葉バター(含塩)、マーガリンはネオソフトを使用しています。
ダークチョコレートは、いつものガーナチョコレート(板チョコ)です。
表面はチョコレートグレーズでフロスティングしました。
33cmは我が家のオーブンに入りきる最大の長さになります。牛乳パックを二つ合わせたものをアルミホイルで2回覆ってこしらえたカスタムのケーキ型を使用します。

マーガリンが40%ほど混ざっていますので冷蔵庫保存で丁度いい硬さになります。冷蔵庫に入れることが前提であれば低温でも軟度が保たれるマーガリンの混合することを考えます。混合比はバターの風味をどれだけ効かせたいかと、どれくらいの硬さに仕上げたいかに依存しますのでほとんどアドリブになります。バターは最近高値ですので、コストダウンにはマーガリンは有効ですが全置換するとべとつき感が出てきますのでかなり仕上がりの印象が異なります。50%を超えるなら全部マーガリンに置換しても同じ仕上がりかもしれません。