ボリューム感たっぷりのパイ生地にイチジクのクリームを挟んでリンゴとアーモンドクリームをトッピングにしたミルフィーユを作る。
ミルフィーユ(mille-feuille)はパイ生地( pâte feuilletée)の間に種々のクリームを挟んでを3枚重ねて作成します。パイ生地の作成方法には2種類あり、①フィユタージュ(パート・フィユテ): フランスパイ生地の基本で、デトランプ(小麦粉、油脂、塩、水を混ぜた生地)の中央にバターを包んで折り込んで作成する、②ラフパフ:イギリスパイ生地ですが、いわゆるラピッドフィユタージュに相当します。ラフパフは簡単に、短時間で作成することができますし仕上がりも美しい層構造をしていますので自家製ミルフィーユの生地にはもってこいの生地です。
Ingredients:材料と配合組成
パイ生地作成には仕上がりのサクサクした食感を意識して小麦のタンパク濃度を調整しますが、濃度調整は基本的に薄力粉、強力粉、コーンスターチを用います。使用している薄力粉のタンパク濃度が基準となりますが、トップバリューの小麦粉は9.0%(w/w)ですので単独使用で自分が想定しているサクサク感に仕上がります。ハードに仕上げたいならコーンスターチを混ぜて7.5%位に調整、ソフトにしたいなら強力粉で置換していけばよいですが強力粉を混ぜるとその分水を吸収しますので加える水を増やして調整する必要があります。仕上げの際の生地のまとまり具合をみての調整が必要です。
Rough Puff (English Pie Dough) | Amount (for total 350 gram pie dough) |
Superfine Sugar | 4 gram |
Water | 50 gram |
Cake Flour | 210 gram |
Salted Butter | 150 gram |
Creme d’amandes | Amount for 5 Mille-Feuille |
Beaten Egg | 25 gram (1/2 ea.) |
Powdered Sugar | 25 gram |
Almond Flour | 25 gram |
Salted Butter | 25 gram |
Fig Cream | Amount for 5 Mille-Feuille |
Heavy Cream (cold) | 100 gram |
Superfine Sugar | 10 gram |
Fig Puree | 50 gram |
Instructions: 調理法
<1>パイ生地の作成
Rough puffで作成するときは使用する材料をすべて冷蔵庫で冷やしておきます。特にバターは”キンキン”に冷やしておきます。途中で解けてきたら練りパイ生地になってしまいますので注意が必要です。
オーブンを180℃で前もって加熱しておきます。
①50グラムの水と上白糖4グラムを混ぜます。混ざったら冷蔵庫で冷やしておきます。
②あらかじめ冷やしておいた薄力粉210グラム、バター150グラム(適当にナイフでキューブ状にカット)をボウル大に入れます。
②ペーストリーブレンダーを用いて切るように混ぜていきます。
③バターが米粒サイズになったら冷しておいた砂糖水を加えます。この時一気に投入せず木べらを用いて生地のまとまり具合を見ながら分量を調整します。べたつかない程度に加えます。
④木べらでソフトに混ぜながら生地がまとまって団子状になってきたら、新聞紙の上にラップを敷いて強力粉を適量撒きます。その上に木べらで生地をすくって全部載せます。少し木べらで平らにしたらラップで大体正方形になるように包みます。ローリングピンで上からプレスして一様に平坦に仕上げます。この後冷凍庫に8分位入れて休ませます。
⑤冷凍庫から生地を出して、少し柔らかくなるまで待ちます。強力粉を振ってローリングピンで平らに伸ばします。3つ折りにしますので長方形に伸ばします。生地の厚みは5mm位にします。これを両端から織り込んで3重層にします。これで生地は3層になりましたのでもう一度平らにします。ここで生地が柔らかすぎる様なら冷凍庫に入れます。
⑥この作業を自分が必要な層数になるまで繰り返します。n回この過程を繰り返すと3n層になりますので薄いパイ生地を作成する場合は2-3回繰り返しでよいと思います。今回は5回⑤の作業を繰り返しています。最後に3-5mm位の厚さに伸ばした後サイドをナイフでトリミングして長方形に仕上げます。
⑦フォークを用いてピケをします。これはタルトを作成するのと同じやり方です。
⑧好みのサイズにカットします。天板にクッキングシートをし下面の焦げ付き防止にパウダーシュガーを均等に篩います、その上にカットした生地をのせます。上面にもパウダーシュガーを篩います。
⑧オーブンで180℃ x 25分位焼きます。
<2>パイ生地の焼き方
①パイ生地を焼く前にフォークでピケをして空気(水蒸気)の逃げ道を作っておきます。パイ生地内部に含まれる水分と空気が等温膨張により生地を膨らませる仕事をします。ピケをすることで膨張圧を調整してやります。
②パウダーシュガーを篩って天板に敷いてあるクッキングシートへの焦げ付きを防止します。
③表面を平坦にしたい場合は、表面にクッキングシートかアルミホイルを敷いて上から金属製のトレイをのせて少し上から加圧しておきます。この時生地表面に網目構造などをもつ金属を置いておくと生地の表面に模様を写すことができます。
④180℃で表面がきつね色になるまで(20-25分くらい)焼きます。焼成開始10分前後で生地が膨らみ始めます。
⑤クリームダマンドを生地の表面に乗せてリンゴを適当にカットしてのせて焼くとアップルパイになります。単独でアップルパイにするときは切れ目を入れたりして工夫するとパン屋でよく見かけるようなパイ菓子に仕上がります。
<3>クレームダマンドの作成法
クレームダマンド(アーモンドクリーム)はタルトのセクションでも使用しましたので端折ります。
①溶き卵1/2個(25グラム)、アーモンドフラワー25グラム、パウダーシュガー25グラム、バター25グラムをボウル小に投入します。
②小型のフラワーホイッパーで、均等にクリーム状になるまで混ぜます。
③クリーミーになったら完成です。1日冷蔵保存できます。
<4>組み立てと仕上げ
①まずホイップクリーム(クレームシャンティイ)を作成します。よく冷やした生クリームに上白糖10グラム混ぜて、電動ホッパーでstiff peakまで仕上げます。
②イチジクのピューレ(冷凍保存している場合は常温に戻す)を50グラム加えて電動ホイッパーで均一になるまで混ぜます。出来上がったら絞り袋に入れます。
③表面を平坦に仕上げたパイを、一番下にまず敷きます。次にその上にイチジクのクリームを絞ります。
④その上にパイを1層載せます。もう一度クリームを絞ります。
⑤最後にリンゴの載せてあるパイを乗せます。これで完成です。
ちなみにタンパク濃度を落として薄いパイ生地を作成すると下図のような感じに仕上がります。食感は硬めでパリパリした感じに仕上がっています。イチゴミルフィーユはこんな感じに仕上げたものを店頭でよく見かける感じがします。好みの問題だと思いますがタンパク濃度が9~12%くらいの生地が美味しような感じがします。パイ生地も作成者のこだわりがはっきりと表現される焼き菓子だと思います。