New York cheesecakeは、濃厚でしっとりしたclassical cheesecakeの代表格として有名で完熟しきっていないクリームチーズ、卵、コーンスターチ、サワークリームを用いて作成するのが特徴です。オリジナルな調理法は、湯煎法を用いず400oF(≒200℃)で10分表面に焼き目をいれた後、225oF(≒110℃)で25分追加焙焼を行う2段階焙焼を基本としその後オーブン内でクーリング(約1hr)することで十分に焼き進みを加えて仕上げるようです。最近は湯煎焼き(hot bath)を用いたレシピが主流となっているようなので湯煎焼きで仕上げてみました。
高温で焼き上げるbaked cheesecakeとしてはBasque blunt cheesecakeが有名でバスクチーズケーキは220℃で約45分焙焼して焼き上げます。個人的には、表面の焦がし具合を除けば湯煎法を用いなければ濃厚さ、食感ともに近似しているように感じますが湯煎法が主流になったことでに食感(特に口どけ感)がかなり変化した印象を受けます。ちなみに以前に焼成したバスクチーズケーキの断面像は下図です。
Ingredients: 材料と配合組成
使用した材料は、ビスケット:チョイス(森永)、バター(トップバリュ)、クリームチーズ:雪印メグミルククリームチーズ(雪印)、サワークリーム(メイトー)、レモンジュース:100%レモン(サンキスト)、その他はいつもの材料です。
Biscuit plate | Amount for φ18cm cake pan |
Powdered Biscuit | 120 gram |
Meletd Butter | 60 gram |
Cheesecake Batter | Amount for φ18cm cake pan |
Cream Cheese | 500 gram |
Superfine Sugar | 82 gram |
Coarse Salt | 3 gram |
Lemon Juice | 5 gram |
Whole Egg | 2 e.a. |
Sour Cream | 100 gram |
Cornstarch | 10 gram |
Vanilla Oil | a few drops |
Baking Trick | 160C for about 90 minutes (hot bath) |
Instructions: 調理法
まず、オーブンを180℃に予熱します。
<1>ビスケットプレートの作成
①すり鉢にビスケットを入れ、すりこぎ棒で丁寧に粉砕しビスケットパウダーにします。全部で120グラム使用します。
②バターを60グラム用意し、バーナーで加熱して溶かしバターにします。
③ビスケットパウダーに溶かしバターを加えフォークで均一になるまで混ぜます。
④すりこぎ棒とスプーンを用いて表面が平らになるように圧迫して固めます。焙焼の際に割れないように丁寧に押し固めます。
⑤180℃ x 5~6分調理します。色調がもとのビスケット様になるくらいで十分です。焦がしを入れる必要性はありません。
⑥室温に放置します。
<2>チーズケーキの生地の作成
まず、クッキングシートをφ18cmスプリングフォームケーキパンの側面に貼ります。クッキングシートの高さは10cmにします(チーズケーキを焼くときは常に高めにしておきます)。湯煎焼きで水が入ってこないようにケーキパンの外側をアルミフォイルで2重に覆います。今回は電動ホイッパーは用いません、すべてフラワーホイッパーで手動で丁寧に混ぜます。
①クリームチーズ500グラムを耐熱ボウル大に投入し、Bain-marieでクリーム状にしていきます。フラワーホイッパーで混ぜるのに難渋しない程度になったら加熱を止めます。丁寧に均一になるまで最小限の回数フラワーホイッパーで混ぜます。
②上白糖82グラムを投入し、均等になるまで混ぜます。
③レモンジュースを5グラム混ぜます。
④全卵を1個ずつ丁寧にフラワーホイッパーで混ぜ込んでいきます。
⑤サワークリーム100グラムを混ぜます。
⑥コーンスターチを10グラム混ぜます。食感の変化という意味から10グラムのコーンスターチを混ぜる必要性はないと思いますが、表面の焼き色を改善するには少量混ぜ込んだ方がよいと思います。
⑦用意したモールドに生地を流し込みます。
⑧天板に乗せてモールドの下端2㎝以上になるまでお湯を注ぎます。2cm以上注いでおかないと30分位で水が蒸発してしまいますのでこれ以上水浸出来ない天板では数回湯を補充する必要がありますが頻回にオーブンを開け閉めするとチーズケーキの高さが出なくなりますので注意が必要です。
⑨160℃で約90分湯煎焼きをした後、加熱を中止し少しオーブンのふたを開けた状態にして20~30分オーブンの中で放置します。
⑩オーブンの温度が十分温度が下がったら取り出してクーリングラックの上で冷まします。
⑪冷蔵庫に収納できる温度にモールドの温度が下がったら(触れることが出来る程度)冷蔵庫で6時間以上冷やしておきます。
ベイクドチーズケーキに関しては混ぜすぎにより仕上がりの感じが変化します。つねに控えめに混ぜるよう心掛けます。調理手順としてはシンプルで明快ですが、ちょっとしたオーバーミクスチャーもアンダーミクスチャーも自分が想定している仕上がりに影響が出ますのでこの部分の調整次第で同じ材料を用いても違った作品を作り出すことができるのがベイクドチーズケーキの面白さだと思います。
材料を混ぜ合わせるときに本当に温度を近似させる必要があるか?
大抵の指南書では異なる温度の材料を混ぜるとき温度を近似させるようにとありますがこれは結構面倒くさい作業だと感じる方は多いと思います。
食べ物の材料は、固体ー液体ー気体と温度により相変化を起こすものが多くあります。こういった物質は化学ポテンシャルという温度(T)、圧力(p)、分子数(N)の関数で示される内部エネルギーのようなもので平衡状態が決まります。熱的な平衡状態は温度が互いに等しいことにありますので同じ液体の状態でもあまりに温度がかけ離れたものを混ぜると化学反応に偏りが生じると考えられます。室温放置といった処置はこのことを考慮した手法と考えらますので可能なら温度は近似させたほうがいいのだと思います。かといっていちいち合わせて調理などやってられませんので25℃前後にアバウトに感じ取れば十分でしょう