Sponge Cakeを作る (その4); シフォンケーキを極める part 1: シフォンケーキの基準点となるエンゼルフードケーキを一般公開されているBoston Cooking Schoolの標準レシピに忠実に作成、high ratio cakeの神髄に迫ってみました。

エンジェルフードケーキ

 エンゼルフードケーキ: Classic Angel Food Cake

Swiss Roll用のスポンジケーキの黄金比を前回捻出しましたが、この比率は非常にシフォンケーキの組成に酷似しています。これは単においしい生地はシフォンケーキであると肯定したにすぎません。そこでシフォンケーキの原点であるクラシックエンゼルフードケーキ(卵黄混合なし、油脂混合なし、ベーキングパウダー混合なし)から少しずつ卵黄/油脂を混合していきオリジナルなシフォンケーキの混合比とHigh ratio cake(砂糖の添加量が小麦粉に比べて相当多いケーキ)に関して極めてみたいと思います。

まず、ゼロに値するもの(卵黄なし)をまず作成してその食感を確かめる必要がありますが、これには①エンゼルフードケーキ(油脂、ベーキングパウダー混合なし)と②ホワイトスポンンジケーキ(バター(混合比 小麦の重量の約1/2)、ベーキングパウダー混合)があります。いずれも基本レシピは周知されていますが、前者はhigh ratio cake(1:2)になります。断面は両方ともピュアーな白色調ですが前者は高級食パンをさらにモフモフにした食感(今回確認)で、後者は柔らかめのスポンジケーキのような食感(以前に確認)になります。油脂(バター)を加えることでの食感の方向性は前回のSwiss roll同様で重量感と保湿感を加える方向にベクトルが向きます。油脂の方向軸は見当がつきますが、砂糖を増量(high ratio)することに対する方向軸は現時点では確認できていません。

Ingredients: 基本のエンゼルフードケーキの配合組成は以下の通りです。原本(Boston Cooking School Cook Book, 1986) では、11個の卵白とグラニュー糖を用いていますが、グラニュー糖よりも卵白に親和性のより高い上白糖(superfine sugar)をさらにミキサーで粉砕したpowdered superfine sugarで統一しました。さらに10 inch(φ25 cm)相当からφ18 cmに減量換算し、卵白重量(実測値)にあわせて焼き時間も微調整しました。 φ18 cm のシフォンケーキ専用の焼き型を使用します。

IngredientsAmount for φ18 cm tube pan (chiffon cake pan)
Egg white (L)5 ea (210 gram)
Cream of Tartar3 gram
Salt1 gram
Powdered superfine sugar60 gram
Vanilla oila few drops
Almond extracta few drops
Cake flower60 gram
Powdered superfine sugar60 gram
Baking time170℃ x 35 minutes
Classic Angel Food Cake : The recipe is adjusted to a φ18 cm cake pan.

Instructions :
①上白糖120グラムをミキサーで砂粒状に粉砕します(8分位)。これでコーンスターチを含まないパウダーシュガーを作成します。
②薄力粉60グラムと作成したパウダーシュガー60グラムを混ぜて、これもミキサーにかけます。薄力粉を粉砕して細粒化/均質化することでメレンゲとの混合時に気泡消失を最小限に抑えるためです。

エンジェルフードケーキ01
The pictures show powdered superfine sugar and refined flour mixture.
Put superfine sugar into a blender to be crushed into fine powder. Mix the shifted cake flour and the powdered superfine sugar in a cup. Again, put the flour mixture into a blender to be fine powder so as not to deflate the meringue on folding.

③卵黄と卵白を分けます。(余った卵黄はカスタードクリームにしました。今回はsuper gigantic roll を作成してみました)。卵黄は冷蔵庫に保管しますが、今回は卵白は室温でしばらく放置しておきます。
④卵白210グラム(5個分)をメタルボウルに入れ、クリームオブターターを3グラム加えて電動ホイッパーで低速攪拌します。
③3分位でsoft peakに到達しますので30グラムの砂糖を加えてfirm peakまで高速回転で持っていきます。ここでバニラオイル/アーモンドエクストラクトで香りを加えておきます。この辺でオーブンを170℃に予熱しておきます。
④残りの30グラムの砂糖を加えてstiff peakまで持っていきます(ボウルをひっくり返しても動かなければstiff peakに到達していると判断します)。常温から泡立てしたメレンゲの仕上がりは色調も食感もマシュマロののような感じで低温から泡立てしたメレンゲとは仕上がりの感じは異なりますが、小麦粉を抱き込むだけならこちらのほうがかなり扱いやすいです。最後に粉を抱きかかえる工程で終了する場合はこの方法で泡立てしています。

エンジェルフードケーキ02
The pictures show “cream of tartar” (left), beginning of electric mixture (center), and soft peak form (right).
Separate egg yolks from egg whites, and leave egg whites at room temperature for a while. Place 5(210gram) egg whites and 3gram cream of Tartar in a metal bowl. Electric-whisk the egg whites. In a few minutes, it comes to a soft peak form. Adding a half volume of the powdered superfine sugar, continue to whisk at high speed until a firm peak form.
エンジェルフードケーキ03
The pictures show flavors (vanilla oil/ almond extract) (left), firm peak form (left-center), stiff peak form (center-right) and sieving flour mixture (right).
Then, put a few drops of flavor( vanilla oil and almond extract) into the meringue, and continue whisking until it gets to a stiff peak form. I think it somewhat differs from the stiff peak of the beaten with chilled egg whites. Sieve the flour mixture in 2 batches over the meringue.

⑤②で調整した粉類を1/2量ずつメレンゲに篩い、スパチュラで抱き込みます。混ぜにくいですので基本に忠実に中央から辺縁にむけて丁寧に混合(center to margin fold)を行い粉類の痕跡がなくなるまで混ぜます。
⑥シフォンケーキ用のセンターチューブのある焼き型に注ぎます。注いだ後、竹串で底にたまった空気や大きな気泡を追い出しておきます。ケーキパンの側面についた生地はできる限りキッチンペーパーで拭き取ります。焼くと生地は焼き型の側面を這いあってきますのでそれを邪魔しないためです。
⑦170℃で35分オーブン焼きします。焼き始めて15分くらいで表面がgolden brownに到達しますので表面割れ防止もかねてこの時上からアルミフォイルでカバーします。

エンジェルフードケーキ04
Going by the down to up fold method, fold the flour into the meringue until no grainy. Pour the batter into the cake pan and remove air bubbles with a skewer. Wipe out the protruding part of the batter. Oven-bake at 170C for about 35 minutes. If the surface of the batter comes to dark early, cover the top with aluminum foil.

⑧さかさまにしてマグカップの上に置いて室温で冷やします。重力を利用して縮みを最小限に抑えます。
⑨パレットナイフで辺縁を切り離して筒と一緒にケーキを抜きます。底面と中央を切り離してケーキをひっくり返して外します。これで完成です。

エンジェルフードケーキ05
Cool the cake upside down with the center tube on a mug. Then, release the margin with a palette knife and pick up the center tube. Release the bottom and center fall. Flip down the mold and drop the cake.
エンジェルフードケーキ06
The angel food cake is done.

このまま置いておくと私が一人で始末することになりますのでクレームシャンティでフロスティングしてキーウィとラズベリーをのせました。さすがにラズベリーは渋いので今回は10%ゼラチンと30%上白糖でナパージュを作成し2回塗りしました。
断面も食感もまるで”天使の羽”のような感じに思えました。これを最初に考え出した人、天才だ。

エンジェルフードケーキ07
The cut surface of the angel food cake looks fluffy and super-white like an angel’s wing.

<クレームシャンティイを簡単に速攻で作成する方法>

クレームシャンティイを作成する際、氷水で冷やしながらとほとんどのauthorが指南していますが氷も結構必要ですし煩雑です。これを簡素化する方法を私は用いています。
①使用する耐熱ボウルの内面を軽く水に浸し、軽く水切りします。
②電動ホイッパーのパドルも軽く水に浸し耐熱ボウルに入れてこのまま冷凍庫に入れます。
③10分ほどして取り出すと表面は完全に氷結して曇っています。
④パドルをセットしてすぐにボウルに冷蔵庫にある生クリームを注ぎます。
⑤粉砕した上白糖(powdered superfine sugar)を分量入れて、即座に低速攪拌開始します。
⑥3分間でstiff peakのホイップクリームができます。
(注意)耐熱ボウルの曇りが消失するまでに素早く作業は完了してくださいね。

編集後記
Swiss Rollの生地の極みが、単にシフォンケーキの生地にすり替えただけのような形で収束することにはなかなか受け入れがたい所が残ります。もう一つの選択肢となりそうなタンパク濃度11%位の”これぞスポンジケーキ”という配合組成からまたいつか改良を加えてみたいと考えています。

Sponge Cakeを作る (その3); スイスロール(Swiss Roll)を極める part 2: 前回決定したスイスロールの生地のタンパク濃度(6~7%)をベースに充填油脂として植物油の代わりにバターを加えることで口当たりを改善、重厚感あるオリジナルな配合黄金比を決定

改良スイスロール

スイスロール(Swiss Roll)を極める part 2

前回、見栄えと巻きやすさから求めた小麦のタンパク濃度は、6~7%と暫定しましたので、sample C (タンパク濃度6.2%)をベースにして口どけと重厚さを改善しに行きました。

したがって、全卵E: Egg)、上白糖S: Superfine sugar)、小麦粉F: Flour)、油脂O: Oil (vegetable oil))、保湿用の水分L: liquid)と略号設定すると

基本骨格の黄金比(重量比(gram ratio))は、E : S : F : O: L = 16 : 6 : 6 : 3: 3

と暫定しました。使用する卵の重量の1/3~1/4量の砂糖(上白糖ですので注意)と小麦粉(厳密には粉類全体)を等量混合し、さらに粉の重量の1/2量の植物油と希釈液(保湿確保のための液体;牛乳、水、生クリームなど)を加えたものが美味しいロールケーキに値する生地ということで、この辺のさじ加減がセンスとして身に着けばレシピの束縛から解放され素人でも自由度の高いオリジナル作成に踏み出せるのではないかと思いました。

タンパク濃度6.2Pロール
<前回作成した小麦粉のタンパク濃度を6.2%に調整して作成したSwiss Roll>
Previously baked Swiss roll, the sponge cake of that was adjusted it’s protein concentration into 6.2 percent,

さらに小麦粉のタンパク濃度を変更することで歯ごたえ(テクスチャー)を調整することができタンパク濃度が高いほど歯ごたえがよく、低いほどふわふわ感がでることもわかりましたが、断面の見栄えのよいスポンジ構造が得られるタンパク濃度は6~7%にあるようです。見栄えもよく歯ごたえも重厚さもあるものを作り出すにはこのタンパク濃度から改良していくのが近道と考えます。前回の断面像を見てどう改善すれば重厚な味が得られるかを考えるとき、このハチの巣状の気泡構造の中に重厚感を押し出す要素を詰め込むのが最も簡単な解決手段と考えられます。何を詰めるかですが、重量保持ができて濃厚さが保てるもの、おあつらえ向きなのがバターです。おまけに冷蔵庫に入れると少し硬度が上がるはずですので歯ごたえも改善することが予想されます。

そこで今回オイルをバターに置換してみました。置換量は小麦粉の重量(粉類の全重量ではありません)と等量にしてみました。バターを加えることで脂質の薄層が形成されスポンジ内部の水分蒸発が抑制されるはずですので加えるのであれば粉全体ではなく、使用する小麦粉の重量と等量混合で十分に効果を引き出したいと考えます。ただし、パウンドケーキのように全卵と等量置換すると明らかに焼き上がりの生地は硬化しますのでせいぜい全卵の半分重量が最大用量と考えました。卵の重量実測値から計算の簡略化をかねて、 小麦粉のタンパク濃度を7%に引き上げました。使用する薄力粉の重量=バターの重量(実質上の100%等量置換)となるように置換しますと、結果的にはオイル+保水分画(=粉の重量)の75%をバターで置換するきれいな置換率となりました。実際の焼く前の生地の流動性から評価すると保湿水は加える必要なく”0″でもよかったかな?という印象でした。

Ingredients: 材料と配合組成

材料配合組成は下記のとおりです。上記のごとく、小麦タンパク濃度は7%に調整しました。卵はegg yolk 4個で77グラム、egg white 4個で136グラム、 total 213グラムでしたので砂糖は80グラム, 粉類(薄力粉60グラム、コーンスターチ20グラム), 牛乳20グラム、バター60グラム、塩2グラムで配合しました。 バターの略号をB(Butter)として、計算上最終的な配合比 は、E : S : F : B: L = 10.5 : 4 : 4 : 3: 1となりました。

MaterialsAmount: for 26 x 26 x 2cm square pan
Egg Yolk4 ea
Superfine Sugar60 gram
Whole Milk for dilution liquid20 gram
Salt2 gram
Cake Flour60 gram
Cornstarch20 gram
Salted butter60 gram
Egg White4 ea
White Wine Vinegar3 gram
Superfine Sugar20 gram
Baking time180C x 10minutes
Original Swiss Roll Batter Recipe: When it’s assumed that Egg Yolk →E, Sugar →S, Flour →F, , Butter →B, Liquid →L,, E : S : F : B: L equals to 10.5 : 4 : 4 : 3: 1.

生地の作成法はは前回同様で標準的な別立て法に基づき作成しましたので詳細は割愛します。ただし今回はバターが加わりますので、バターは湯煎で完全に液化し、メレンゲと卵黄混合液を混合した最終段階で加え、丁寧に混合しました。その後オーブンで180℃x 10分焼き上げました。

タンパク濃度7.0%の生地
<タンパク濃度7.0%に調節し、バターを60グラム加えた生地のオーブン調理前後>
The batter, adjusted it’s protein-percentage into 7.0 with adding 60gram butter, was oven-baked at 180C for 10minutes until the color of the surface got golden brown.

完成した作品は、蜂巣構造がタンパク11%の時に見られるのと同じくらいにしまっていましたが保湿感も弾力性も6.2%のロールケーキを上回っていました。いわゆる”モフモフ”でかつ重量感がずっしりとあります。しかしながら、スポンジ骨格を支えるタンパク濃度が7%ですと壁面の重量が不釣り合いに増加したことにより円筒状に巻いても最終的には楕円形の底面に至る様でした。巻く際には充填するフルーツを減らしてクリームを少し薄層にしたほうが綺麗に巻けるものと思われました。最終バージョンのロールケーキ において焼き色、重量感、保湿感の全てが改善され、濃厚さが加わっていました。十分満足のいく改善が得られたものと自己評価しました。下図写真左はタンパク濃度6.2%、右は7.0%およびバターに油脂を置換して食感の改善を試みた作品です。蜂巣構造内にバターが充填されたのがはっきりと見て取れると思います。

ロールケーキ の断面比較
スイスロールの拡大断面比較:(左)タンパク濃度6.2% (右)タンパク濃度7% + バター
蜂巣構造の中にバターが入りこんで重量感と保湿が改善されているのが見てとれます。
Cut surface of the Swiss roll: The left picture shows the cut surface of the roll containing 6.2 percent protein in its sponge cake, and the right does that of 7.0 percent protein and additional butter. Butter displaced the pneumatic space, and that attained moist and rich bulky taste.

食べごろサイズにカットしてみると、色調も変化(黄色調から白色調に)、表面の焼き上がりも食欲をそそる褐色調となっています。

ロールケーキ 断面比較2
スポンジが黄色調の方が6.2%、白色調の方が’7%+バター
Converting the previous recipe(6.2%) into the present(7.0% plus butter), the color of cut surface turned yellowish to pale and the color of surface got more brownish that stimulates the appetite.
最終バージョン
一番黄色調なのがタンパク濃度11.2%, 中間が6.2%, 褐色調なのが7.0%+バター
3 types of the rolls’re shown. The most yellowish corresponds to 11.2 percent protein concentration, and the most brownish does to 7.0% plus butter.

以上より、チョコレート苦手派流オリジナル定理としてのロールケーキ生地の材料配合黄金比を、
E : S : F : B: L = 10~11 : 4 : 4 : 3: 1
と決めました。

簡単には、卵(Mサイズ)4個、薄力粉60グラム、コーンスターチ20グラム、上白糖80グラム、バター60グラム(含塩)、牛乳20グラム、塩2グラムが基本骨格となります。

Sponge Cakeを作る (その2); スイスロール(Swiss Roll)を極める part 1: 究極のスイスロールの生地を求める予備実験として小麦粉のタンパク濃度に注目、その他の材料の配合比と焼成時間を一律固定して作成した生地のタンパク濃度の変化に伴う断面構造の変化と折り曲げに対する強度を比較してみた。

スイスロールケーキ

ロールケーキ: Cake Roll ( Swiss Roll または Gateau Roule)

ロールケーキの正式名称(英語)はSwiss Rollで、フレンチペーストリーではGateau rouleに相当するようです。前回スポンジケーキの基本骨格の配合重量(gram)黄金比として、全卵(E)、砂糖(S)、小麦粉(F)の比率をE : S : F = 2: 1: 1 と暫定しました(これは多くの海外、国内のauthorのサイトを参照して最頻値と考えられたことを根拠としました)。ただしこれはグラニュー糖を用いた比率ですので、上白糖に置換しなおして修正黄金比は、E : S : F = 8 : 3 : 3と暫定しました。油脂の混合比もオイルであれば小麦の半分量バターでを使用するのであれば小麦の10~20%位ジェノワース相当)のように大体の混合比に落ち着いているように見て取れます。今回は油脂(オイル)の混合比を小麦の重量の半分に固定して小麦粉のタンパク(グルテン)濃度を濃い方向から低い方向に変化させて巻きやすさと食感の極値に幅寄せしてみました。人間の感覚として1%の違いははっきりと認識できない可能がありますので簡易計算できるレベルで2~3%づつ濃度を落としてみました。

Ingredients: 材料と 配合組成

配合組成は以下の通りです。以下、たんぱく濃度(protein percentage)はPPと略します。すべてgram表記です。Aが前回のスポンジケーキ(今回検証の基準点です)。まずB, Cを同じ条件で火入れできるように天板に同体積の紙型を2つ乗せ1度に焼けるように1/2の分量で作成しました。材料や混ぜ具合で差がでないように卵黄から塩を混ぜるまでの過程と卵白からメレンゲを起こすまで過程は卵3個分の分量でAと同様に1つにまとめて作成し小麦粉を加える時点で卵黄混合液を2分(約80 gramずつに2分)、メレンゲは約58 gramづつに2分して最終段階の生地を作成し紙型に注いで目立つ気泡を追い払ったあとすぐにオーブンで調理しました。使用した材料はいつもの材料です。Cake Flourは薄力粉、Bread Flourは強力粉(Topval)を示します。

A: PP=11.2B: PP=9.3%C: PP=6.2%
Egg Yolk31.51.5
Superfine Sugar402020
Vegetable Oil301515
Whole Milk301515
Salt211
Cake Flour303020
Bread Flour3000
Cornstarch0010
Egg White31.51.5
White Wine vinegar6drops33
Superfine Sugar201010
Baking time170C x 22min180C x 10min180C x 10min
D: PP=11.2% E: PP=3.1%
Egg Yolk 1.51.5
Superfine Sugar 2020
Vegetable Oil 1515
Whole Milk 1515
Salt 1.51.5
Cake Flour 1510
Bread Flour 150
Cornstarch 020
Egg White 1.51.5
White Wine Vinegar 33
Superfine Sugar 1010
Baking time 180C x 10min 180C x 10min
Ingredients are shown in the figures above. The concentration of protein has been adjusted into 9.3% in B, 6.2% in C, 11.2% in D, and 3.1% in E, individually. All cakes were treated in the same way and condition through cooking. I assumed that the best concentration would exist in between 6 and 7 percent. Considering that, upper limit in 11.3%, and lower limit in 3.1% are selected for the extreme value.

バイオレット、スーパーバイオレットのタンパク濃度を考慮した上で、B-Cの間に理想的なタンパク濃度があると推定していますので両極限としてAと同じPPのものD(PP=11.3%)とCをさらにコーンスターチで希釈したものE (PP=3.1%)をB,Cと同じ条件で作成し仮に上方極限、下方極限値と仮定して比較サンプルのロールケーキの生地を4種類作成しました。

Procedure: 手順

紙型は、14.5 cm x 24 cm x 3 cmを2つ作成しホッチキスで止めて合体させました。これで2種類の生地に対してほぼ同じ条件で火入れすることができます。オーブンは180℃で予熱し、生地を注いですぐに焼き工程にはいりました。生地作成方法は別立て法で、いつもの通りseparation forming methodに従いメレンゲを作成し、最終段階で卵黄混合液とメレンゲを混合しました。foldの回数はきちんと混合されたと確認できる最低限の回数(ほぼ30回)に限定しました。

簡単に工程を説明しますと
Bain-Marieで、耐熱ボウルに卵黄3個(B+C=58グラム, D+E=61グラム)に上白糖40グラム、キャノラオイル30グラム、牛乳(酪農牛乳)30グラム、塩2グラムを投入し砂糖が解けて全体がスムースになるまでフラワーホイッパーで攪拌、火から離します。
②ホイッパーで卵黄混合液がクリーム状でやや蒼白調になるまで攪拌します。
③ここで卵黄混合液を均等に2分します。ほぼ80グラムずつになります。
④それぞれの小麦粉分量相当を振るってスパチュラで混合し安定した乳化状態にしておいておきます。
⑤卵白をメタルボウルに投入し白ワインビネガーを3グラム注ぎ、電動ホイッパーで低速で泡立てします。3分ぐらいでsoft peakに到達しますので、ここで砂糖20グラムを全量投入し高速で泡立てstiff peakで完成です。
⑥メレンゲと卵黄混合液を混和し約30回スパチュラで混ぜて生地完成としました。
⑦完成後、即座に型に注ぎオーブン焼きします。

作業工程 B-C
The pictures show the sequence of making the batter of B and C.
作業工程 D-E
The pictures depict the sequence of making the batter of D and E.

B, C, D. Eすべて180℃ X 10分加熱し目視でいわゆる” golden brown”といわれる最適な焼き加減に到達したことを確認しました。タンパク(グルテン)濃度の差(11.3~3.1%)に対して、焼き時間はほとんど依存しない形で終了しています。左上段 PP=9.3%、 左下段6.2%、右上段11.2%、右下段3.1%。

記事と焼きあがり
Both of them receive oven-baking at 180C for 10minutes. Pre and post-baking batter has shown alternately. In the left picture, 9.3% PP batter is on the upper, and 6.2% PP on the lower. In the right picture, 11.2% batter is on the upper, and 3.1% on the lower.

焼きあがったケーキの表面と断面を見てみますと表面はタンパク濃度が低いほうが濃い色調に焼きあがっています。裏面のシートのはがしやすさはタンパク濃度が低いほど楽で高いと表面が一緒に剥がれます。断面はタンパク濃度が低いほど蜂巣構造(スポンジ)が荒く、一つ一つが大きくなってきています。左端PP=11.2%、左中央9.3%、右中央6.2%、右端3.1%。

生地の構造の変化
The cross sectional image reveals that the lower is the protein percentage of batter, the more brown-colored it has baked. Conversely, honey comb pattern is more rough and more remarkable of the lower percentage of protein. The baking sheet can be easily removed of the lower percentage of protein.

巻きに対する柔軟性は11.3%でも3.1%でもそれほど困難な感じはなく90度折り曲げに対しても即ひびが入るような印象はありませんでした。火入れを温度180度に上げ焼き時間を10分に短縮したことで、表面が早く焼けることによる生地の内部の水分蒸発とタンパク質の変性が抑えられた結果と考えられました(ステーキ焼くのと同じですね)。

生地の弾力性
All sponge cakes are durable against bending at a right angle. No intimidation is felt.

ロールケーキ用の生地は基本組成は普通の台座のスポンジケーキとほぼ同じですから、以上の結果から高温での短時間調理(180℃ X 10分前後)が必須のbaking trickであると再認識しました。ロールケーキにもいろいろな焼き方のレシピがありますが、再現性や簡便性を考えたうえで180℃ x 数分というのは公式化していいのではないかと考えました。

Swiss Roll 焼き時間の公式: 

180℃ x 数分(表面がgolden brownになるまで)
               目安10分前後

次に食感ですが、ふわふわ感はタンパク濃度が下がるほど感じられますがそれとともになにか物足りなさというか重量感(ずしっと来る歯ごたえ)は失われていきます(日ごろ私がプロテインを愛用しているせいかもしれません?)。6%前後まで下がるとなにか一味足りない感じがします。フィリング(中の詰め物)が加わると食感は変わりますが、グルテン含量が下がると今一つ物足りなさを感じてきます。

断面の構造を見てみますと、濃度が下がるほど蜂巣構造が荒くなってきています。見た目は6%位が最も美しいように感じます。3%濃度ではやはり巻きに対して脆弱さがあり巻き目の下段部位が冷蔵庫にいれておいた間に裂け目が入っていました。たんぱく3%はだれでも初回で簡単に巻けるという点では除外項目に入るようです。下図で左上はタンパク11.2%(これも見方によっては美しい)、右上が9.3%(若干メレンゲ の量が少なめだったかも)、左下が6.2%(蜂巣構造は最も美しい)、右下が3.1%(ここまでくるとスカスカに見える)になります。

スイスロールの断面
Here show the cut surfaces of various types of Swiss rolls (left upper: 11.2% PP, right upper: 9.3% PP, left lower: 6.2% PP, right lower 3.1% PP). According to decreasing in the percentage of protein, the honey comb pattern gets widen and clear, as you can see.

以上から、見た目と巻きやすさはタンパク6-7%位、味と巻きやすさはタンパク9-10%位と今回は結論しました。次回この6%生地の見た目の美しさに旨さを加えることを考え、オイルをバターに置換して工夫してみます。ということで次回はSwiss Roll part2です。

タンパク濃度の違うスイスロール
I figured that the sponge cake of 9.3%PP has good texture, but instagrammable is the cake of 6.2%PP. I’ll try to add the chewy and rich in flavor to the sponge cake of 6.2%PP in the next corner.

Sponge Cake を作る (その1); 基本のスポンジケーキを作る: 美味しいスポンジケーキの配合組成を考えるにあたり、まず等温不可逆過程における卵白の泡起性と水蒸気圧によるスポンジケーキの膨張性変化、配合組成の関係から探って黄金比決定の足掛かりを作る。

sponge cake tower

基本のスポンジケーキ : Basic Sponge Cake

スポンジケーキは全てのケーキの土台となる基本ですが、これが美味しいかどうかにより出来上がり作品に大きく影響しますので、妥協のできない重要なアイテムです。トッピングやフィリングとの相性を考えつつ、いかにして、口溶けの良い、美味しいものを持ってくるかと常に悩むところでもあります。という事で、今回から美味いスポンジケーキを作る方法を探っていきたいと思います。自由度の高い配合組成を追求して行きます。

まずはスポンジケーキの基本組成から根本的に考えます。スポンジケーキは、卵、小麦粉、砂糖を攪拌ー混合することにより出来上がる生地(batter : バッター)を加熱調理することにより形成されるスポンジ状の焼き菓子で、その生成に卵の起泡性を利用して得られた空気の熱膨張と水蒸気圧を利用します。スポンジケーキの材料で泡気性を示すものは卵白のみでありその他は全て気泡維持を抑制する方向に作用するはずですので適切な混合比が存在するはずです。いろんなサイトで汎用スポンジケーキのレシピを散見しますと、ほとんどは重量比で卵(E):小麦粉(F):砂糖(S)=1:1:1〜2:1:1くらいの範囲に収まっていてよほど変則的な作品でない限り小麦粉(F)と砂糖(S)の分量は同じで、卵(E)の分量をこれに対して増やすかどうか程度のアレンジに留まっている様です(ただし卵黄、卵白の配合分量は様々です)。これに油脂としてBatter(バター)を加えることでほとんどのauthorは口どけが良くなると表現されていて卵の重量の10-30%程度のバターを加えたバタースポンジケーキに仕上げている様に伺います。美味しいスポンジケーキというサブタイトルで色々サイトアップしてある中で最も頻繁に見る配合比は、E:F:S:B = 10 : 5 : 5 : 2前後のジェノワーズスポンジケーキを踏襲した配合でこれに保湿のための水分としてミルクや生クリームなどを加えたものである様でした。そこで恐らく流行の美味しいスポンジケーキの配合黄金比は、E : F : S : B =10: 5 : 5 : 2と考えて良いのだろうと考えました。ジェノワーズを踏襲しているのでバターの比率が低いのだろうと推定しましたが、シフォンケーキでオイルを置換する際に最初の投稿記事で油脂の含量比を5くらいにまで引き上げると口溶けと香ばしさが圧倒的に良くなることは経験していますのでベーキングパウダーを加えてバターの含量比を小麦粉の60〜100%位まで上昇させてみても良いのかなとも考えました。ちなみにE : F : S : B = 1 : 1 : 1: 1に組成配合したものの代表格がビクトリアスポンジケーキです。今回は材料配合の基本骨格の黄金比を公式化する?を考えてみました。

基本骨格となる黄金比を利用してロールケーキ(Swiss Roll)用の角形のスポンジケーキを焼いてみました。

Ingredients: 材料と配合組成

材料はいつもの使用しているものです。小麦粉はplain flour (薄力粉:強力粉=1:1のブレンド)で統一しました。卵の総量が約165gramでしたのでグラニュー糖換算で約82gramの糖を加えることになりますが上白糖換算で60gramに減量できますので、小麦粉=上白糖=60 gramとしました。油脂はキャノラオイルを30gram使用し水分調整に牛乳(酪農牛乳)30 gramを加えシンプルで綺麗な比率での配合組成に設定しました。

VanillaChocolate
Egg Yolk (M)33
Superfine Sugar40 gram40 gram
Whole Milk30 gram30 gram
Vegetable Oil30 gram30 gram
Dark Chocolate12 gram
Salt2 gram2 gram
Vanilla Oilany you wantany you want
Cacao Powder12gram
Plain Flor60 gram48 gram
Egg White (M)3 3
White Wine Vinegar3 gram3 gram
Superfine Sugar20 gram20 gram

Procedure: 手順

①クッキングシートから26 cm x 26 cm x 2 cmサイズの正方形の底面を持つ紙型を作成します。オーブンを170℃で予熱しておきます。
②冷蔵庫に冷やしておいた全卵を卵黄と卵白に分け、卵白は出番まで冷蔵庫に冷やしておきます。先に60グラムのplain flour(薄力粉:強力粉=1:1混合)を振るっておきます。カカオパウダーを加える場合はカカオパウダーを12グラム、その分plain flourを減らして48グラム混合して前もって別容器に振るっておきます。
③卵黄3個分(約60グラム)、上白糖60グラム、常温の牛乳30グラム、塩2グラムを中型耐熱ボウルに入れBain-marieでフラワーホイッパーを用いて攪拌します。
④卵黄混合液に30グラムのキャノラオイルとバニラオイルを数滴加えて十分に混ぜます。ダークチョコレートを生地に混ぜたい場合はキャノラオイルに12グラムのダークチョコレート(カカオパウダーと同量)を混ぜて湯煎で溶かして混ぜに行きます。
⑤メレンゲ混合時のロスを最小限にするため、ここで小麦粉(または小麦粉ーカカオパウダー)を篩って卵黄混合液に混ぜに行きます。乳化を安定した状態にしておいて次のメレンゲ作成に移ります。

procedure1
Pictures of upper row : for chocolate sponge cake, lower row: for vanilla sponge cake
① Make a square-shaped paper mold which has 26 cm x 26 cm x 2 cm (hight) in size with using a cooking paper. Preheat the oven up to 170C. ② Prepare cold eggs chilled in a fridge. Separate egg yolks from egg whites. In advance, shift 60 gram plain flour in a bowl. If applying cacao powder, mix 12gram cacao powder and 48 gram plain flour. ③ Place 3 egg yolks and 60 gram superfine sugar, 2 gram salt in a middle bowl over the saucepan with simmering water ( Bain-marie), and beat until the sugar is completely dissolved. ④ Remove from heat. Add 30 gram vegetable oil (Canola) and a few drops of vanilla oil and mix well. If mixing dark chocolate, melt 12 gram chocolate into the vegetable oil in a double boiler. ⑤Sieve the flour over the egg yolk mixture and whisk until well incorporated to get stable in emulsion.


⑥メレンゲはseparation forming methodで泡立てします。 メタルボウルに卵白3個分(約120グラム)に白ワインビネガーを3グラムほど混ぜ、電動ホイッパーで低速でsoft peakまで攪拌します。残りの1/3量にあたる30グラムの上白糖を2回分に分けてメレンゲに加えながら中速~高速で電動ホイップします。stiff peakに到達した時点で完成です。

procedure02
⑥ According to the separation forming method, pour 3 egg whites and 3 gram white wine vinegar into a metal bowl. Electric-whisk at low speed until soft peak form. Gradually adding 30 gram sugar in 2 batches, continue to electric-whisk until stiff peak form.

⑦go back methodでメレンゲと卵黄混合液を混ぜていきます。最初の1/3量のメレンゲを卵黄混合液に投入し十分にスパチュラで混ぜます。次にメタルボウルのメレンゲに全量戻して丁寧にスパチュラで均等になるまで混ぜます。
⑧天板に紙型を置き、生地を流し込みます。何回か天板を軽く小突いて大きな気泡を追い払っておきます。表面が落ち着いたら直ちに170℃で25分ほどオーブン焼きして完成です。

prodedure03
⑦Following go back method, dump 1/3 volume meringue into the egg yolk mixture and fold it until well incorporated. Then, return it to the meringue in a metal bowl, and gently fold evenly. ⑧ Set the paper mold on a cooking plate and pour the batter into it. Flip it several times to remove large bubbles. Immediately oven-bake at 170C for about 25 minutes.

この作成法では問題点が生じました。香ばしさは問題ないですが仕上がりの生地が硬すぎです(保湿の問題もある様でした)。慎重にタオルを用いて筒型をつけようとしてもヒビが入るレベルのでしたのでロールケーキの生地としては不合格です。焼く前の生地の水分量は適度だと思えましたが、焼きあがったものはパサつき感がありましたので次回この問題点を克服に行きます。問題点を改善するには、①火入れの温度を180~190℃に上げて短時間(半分の10分前後)で焼き上げることで水分の蒸発を減少させる。②小麦粉のタンパク濃度を6%台(バイオレット相当)まで段階的に落とすことを試みる予定です。割れずに誰でも簡単にきれいに巻ける美味しい生地の公式を導きに行きたいと思います。

sponge cake fv
Here is the final version shown. The left picture corresponds to the chocolate sponge cake, right does to the vanilla (plain) sponge cake, respectively. They’re well done, but a little bit firm to make a roll. I figured it’ll require lowering the protein concentration to add cornstarch and shortening the baking time to expose higher temperature.

ということで今回はタワー状に2種類のスポンジケーキを積み上げてみました(単に建設中のマンションが目線に入ったせいです)。中央にはクレームシャンティを用いて、バナナとキウイの薄切りの抱き合わせをフィリングに使いました。生地の接着には冷蔵庫に転がっていたアプリコットジャムを使用しました。なかなか面白い味に仕上がりました。

sponge cake tower
The sponge cake towering.