Montblanc Cream(モンブランクリーム)を作る

モンブランクリーム

モンブランクリームを自作してみました。

Montblanc(モンブラン)を作る時には、Chestnut Paste(マロンペースト )を用いるのが普通だと思いますが、近所のスーパーではマロンペーストは手に入りませんのでこれを自作する必要があります。となると原材料のChestnuts, fresh(生栗)を手に入れなければなりませんが、これもなかなかお目にかかる事はない様に思います。そこで今回Tianjin sweet roasted chestnuts(天津甘栗)からマロンペーストを作ってみました。

最近スーパーでよく見かける天津甘栗のレトルトパックを使用してみました。

sweet roasted chestnuts
天津甘栗の外包装(左)、内包装(中央)、取り出した甘栗(右)

外装を開けると120gram入りのレトルトパックが2袋出てきました。これを開けると16個くらいの天津甘栗が入っていました。真空パックで保存されていました。食べてみると渋味が結構あり、ゴムの様な弾性の食感でした。

marron diced
刻み甘栗

このままミキサーで粉砕すればどうにかなる感じは全くありませんでしたので、まず5mm角くらいに刻んでホワイトソースの要領で牛乳と等量混合して熱を加えてPurée(ピューレ)に仕上げてみました。

配合組成は、
① 170gram Tianjin sweet roasted chestnuts(天津甘栗)
② 170gram Whole milk(酪農牛乳)
③ 30gram superfine sugar(上白糖)
火力は Medium-Low heat
加熱時間は約20分くらい balloon whisk(フラワーホイッパー)でクリーム様に濃縮されるまでかき混ぜました。この砂糖の量ではかなり甘さ控えめのかなり濃いめの栗の味がしました。
とりあえずピューレになった様なので焦げ付かないレベルで出来る限り水分を飛ばして500ml計量カップに移しました。total volume 約240gramのピューレが取れました。

marron paste
甘栗/牛乳のピューレ(左)、ブレンダーでの粉砕作業(中央)、完成品の代替マロンペースト(右)

次にElectric blender(電動ブレンダー)で固形物を粉砕し、2回mesh strainer(篩)で裏ごししてtexture(キメ)を整えました。
得られた最終生成物は、total volume 210gramで水分が十分引けたpaste(ペースト)といえるものになっていました。味と香りはかなり強めの印象でした。

ここからどうするかですが、よくわかっていない代物の混ぜ物を作るわけですから、まずheavy cream(生クリーム(fat 40%))の用量を200 gram(丁度1pack分)に固定し、superfine sugar(上白糖) 20 gram(10%)加えてソフトpeakまで泡立てしました。次に25 gramずつ代替マロンペーストを加えてelectric mixture(電動ホイッパーで低速攪拌)して馴染ませていきました。heavy cream 200 gramに対して、代替マロンペースト 100 gram加えて攪拌したところで求める粘度と硬度(stiff peak form)が得られました。甘みは非常に控えめで仕上がっていましたので10 gram上白糖を加えtotal 30 gramとしたところで上品な香りと甘さになりました。
最終的な配合比率は、
① 200 gram Heavy cream
② 100 gram replaced Chestnut Paste
③ 30 gram Superfine sugar
で上品なMontblanc Creamと言えるものが出来上がりました。
十分安定した硬度でしたのでバターやブランデーは加えていませんが、ブランデー風味は少し加えてもいいかと感じました。

モンブランクリーム
Montblanc Cream

今回はこれをprofiterole(プチシュー)に充填し、Xmas cakeを作成しました。モン・サン・ミシェルをイメージして作ってみましたが、仕上がったものはバベルの塔(ピーテル・ブリューゲルの天国への階段)の様に見えました?土台は甘栗の粉砕粉を加えたチョコレートサブレ、ケーキ部分はシャルロット風ティラミス、周囲はプロフィッタロールのカラメル積みで作成してみました。

クリスマスケーキ2019
Xmas cake 2019

French Choux(フレンチシュー)を作る (その3)

Stiff Peak

Italian Meringue(イタリアンメレンゲ)を作成します。

イタリアンメレンゲを作成する際には、一方で沸騰シロップをこしらえながら、同時にメレンゲの泡立てをしなければいけませんので一人で作ると結構慌ただしい工程になります。シロップと合わせるまで砂糖なしで一気に電動ホイッパーで泡立てしますので卵白に弱酸を加えて泡立てます(separation forming methodを使います)。配合組成は基本のその1を適用します。イタリアンメレンゲを作成する時は、私は必ずメレンゲ用のボウルはメタリックボウルを使います。その理由は、最も泡立ての成功率が高く、シロップが壁面に付着してもあとの洗浄が楽だからです。

①よく冷やしたEgg White:卵白に弱酸を加えます。イタリアンメレンゲ の際は泡立てがキモですので最初の泡立てがスムースにできる様にCream of Tartar : クリーム オブ ターターを使います。

②水と砂糖をソースパン(シチュー鍋)に入れ、100%レモンジュースを少量加えます。中火(medium-low heat)で沸騰させます。レモンジュースを入れる必要性はないですが鍋の内側面にはねて付着する砂糖が剥がせなくなって後片付けが大変なのでレモンジュースを入れることにしています。

②電動ホッパーをセットし、low speedでゆっくり泡立てていきます。
Bain-marieで途中まで泡立てる方法がありますが、低温からゆっくり立ち上げた方が硬くてしっかりしたメレンゲになる様に感じます(*マシュマロがあまり好きではありませんのでその方向には仕上げません)。

③Soft peakまで仕上げたらシロップの温度を確認しながらホイッパーの回転スピードを上げてfirm peakまで仕上げます。

④シロップの温度が121度(Ce)に達したところでメレンゲ にゆっくり加えながら絶え間なく電動ホイッパーで混ぜていきます。直立型の電動ホイッパーであればボウルの縁に沿ってシロップを垂らすのが定石らしいですが、ハンディーホイッパーの際にはそうはいきません。回転パドルのすぐ外側の陰圧になっているところを狙って少量ずつ垂らしていきます。パドルにかけると固まってしましますのでここは少し緊張します。動画貼っときましたが自分で思っているところより結構ずれています。これが121度を扱うプレッシャーでしょう。跳ねて手や顔にかからない様に安全に慎重にかつリズミカルに混ぜていきます。

⑤Stiff peakまで仕上げたら、細線ホイッパーでキメを整えます。完成したstiif peakのイタリアンメレンゲは下図の様になります。この時ボウルをひっくり返してもメレンゲ はびくともしません。このことで最下層まで確実に泡立て完了したことを確信します。

Stiff Peak
Stiff Peak Form

⑥室温で放置して、先行して作っておいたクレームパティシエールと温度が平衡したらspatula : スパチュラで混ぜます。せっかく作ったメレンゲ が潰れない様に切る様なイメージでdown to up foldを繰り返して均等になったら完成です。

Chiboust-mixing
クレームパティシエール(左)、イタリアンメレンゲ(中央)、クレームシブースト(右)

あとはassemblingです。メレンゲ混ぜる分仕上がりは結構なvolumeになるので、余剰分に遊び心が刺激されます。きちんとした道具揃えたらきっときれいに白鳥も舞上がるだろうね。

French Choux fine



French Choux(フレンチシュー)を作る (その2)

Chiboust cream

次にCrème Chiboust : クレームシブーストを作ります。

シブーストクリームは、Crème Patissierre(クレームパティシエール)とイタリアンメレンゲを混ぜ合わせて完成します。材料は、基本のその2を使います。

まずはCrème Patissierre を完成させます。今回はシブーストクリームの分量です。
バニラオイルを用いることを前提にしています(バニラビーンズを使用する場合は①の時点でバニラビーンズを牛乳と共に投入します)。レシピは以下の通りです。

①牛乳をsaucepan(ソースパン:シチュー鍋)に分量分入れます。(*動画撮影し易い様にステンレススチール計量鍋を使っています)
②弱火に掛けて、一度沸騰させます(牛乳を張った面の周囲に軽く泡が立つくらいまでです=80℃前後になります。rolling boilはやりすぎです)。
③この間に、耐熱ボウルに卵黄と砂糖、小麦粉とコーンスターチ を分量分入れてムラなくクリーミーになるまでホイッパーで混ぜます(泡立てる必要は全くありません)。

egg cream
Egg Yolk Cream

④下の画像の様に少しずつホットミルクをホイッパーでかき混ぜながらゆっくりなじませていきます。この時一気にホットミルクを注いだり、かき混ぜを中断するとスクランブルエッグになってしましますので注意が必要です(この一連の手技をEgg Tempering(卵のテンパーリング)といいます)。

Egg tempering01

⑤すぐにソースパンにエッグクリームミルクを全部戻します。
⑥バーナー点火(中火)、ホイッパーで常にグルグルかき混ぜながらミルクの粘度が急上昇したところで火を切ります。この時のタイミングの見極めが少し難しいです。グルグルかき混ぜるのは鍋底の高温部位での焦げ付きを防いで液体温度を均等に保つためです。

Making Custard
While making custard, remember to continue stirring vigorously.

⑦この後、1~2分ホイッパーでかき混ぜで焼きこみの仕上げを行います。この時点でまったりした感じになっていれば成功です(自分の好きな粘度でかき混ぜを止めます)。ここからのステップはスピードが必要です。時間がかかると鍋底にカスタードが焦げ付きます。

⑧すぐに他の容器に移してホイッパーでかき混ぜます。これはこれ以上の焼き進みを止めるためです。(元の耐熱ボウルでもいいと思いますが不潔操作が多い時はお勧めしません。ちなみに私は耐熱ボウルに戻します。理由は単にボウルの数が少ないからです。)

Complete Custard
Custard is almost done

⑨ここで混ぜ物をする場合は一気に投入します。バニオイル、ブランデー、ワイン、食用色素等混ぜたいものをすべて投入します。これもカスタードの冷却を補助してくれます

⑨さらに熱反応を停止させるために冷却します。氷水で冷やすのが定石ですが、この方法はボウルの底表面しか冷やせませんので私は嫌いです。このステップを飛ばします。

⑩サランラップをカスタードの表面にできるだけ空気が入らない様に貼ります(空気と接触した部分はあたかも皮膚の様に硬く変化します)。そしてこのまま私は冷蔵庫に突っ込みます。最も失敗しない冷却法だと考えています。

Custard wrapping
Plastic-wrapped

これでクレームパティシエールは完成ですが、あとでイタリアンメレンゲと混合しますので冷やしすぎない様に注意が必要です。40℃位まで下がったら冷蔵庫から出します。両者を混ぜるときには温度がだいたい等しい必要があります。

最後にEgg temperingとCustardの混ぜ方を短い動画にしました。

Egg Tempering
Making Custard

いかがでしょうか?
(今回動画編集に用いたソフトはwondershare社のuniConverterです。)
今回はここまでです。次回はイタリアンメレンゲからです。

French Choux(フレンチシュー)を作る (その1); 基本のシュークリーム: French Pastryのレシピに基づきシュー皮(Pata a choux)を作成/絶対に膨らむシュー生地の作成法、粘度と焼成を極める

French Choux 01

フレンチ・シュー : Basic French Choux

French Choux
フレンチシューとチョコレートサブレの帽子

というのも固定ページに載せるメレンゲペーストリークリームの良い写真がなかったのが本当の理由です。今回はシュー皮もカスタードクリームもFrench Pastryレシピです。ただしカスタードクリームには、シブーストクリームを使いました。シブーストクリームのいいところは、卵白を捨てずにイタリアンメレンゲとしてクレームパティシエールと混ぜて完成させるところにあります。クレームパティシエールを作ると必ず卵白が余るので、メレンゲ菓子やホワイトケーキ、ランドシャなどの卵白消費メニューがついて回るのですが、シブーストのときはキッチリ気持ちよく使えます。味も美味ですし申し分ないです。やっぱり材料を残さず使えるメニューがいいですね。

まずはPata a choux(シュー皮)から作ります。メニューは基本その3の通りです。
シュー皮作りレシピで気を付けるところは、●バターを溶かしたソースパンに一気に小麦粉を入れてかき混ぜるところと、●溶き卵を加えて生地を粘稠にしていく所だけです。ここさえクリアすればまず失敗はありません。慌てないように前もって小麦粉は別容器に篩をかけて準備しておきましょう。これで一気に投入するさいに落ち着いて対処出来ます。投入後は一度火を切って木べらで混ぜます。水分が吸収されてまとまってきたらもう一度火にかけます。かき混ぜ続けながら、生地が丸まってなべ底に1枚薄い皮が残るくらいになった時が別容器に移すタイミングです。別容器に移したら下図のように平らにして表面積を増やして放熱を促し焼きの進行を止めに行きます

Pata a Choux

この後溶き卵を混ぜていきますが、溶き卵は全量を一度に全部混ぜるのではなく、少量づつ粘度を確認しながら混ぜます。右図の様に三角形に垂れて止まるくらいの粘度になれば理想的な硬さ(consistency)です。後は、しぼり袋に詰めて下図の様に絞るだけです。Baking trickは、オーブンで200度(Ce)で30分間です。もちろん前もってオーブンは200度に予熱かけときます。オーブンに投入する前に霧吹きで軽く生地表面にスプレーしておきます。シュー生地の乾燥は膨張不良の原因となります。あと30分間は絶対にオーブンのふたを開けて焼きを中断しないことも基本的な注意事項です(もし何か手順を忘れていたことに気が付いたなら、投入後5分以内なら中断してもほぼ問題なく膨らんでくれます)。

Pata a Choux02

チョコレート苦手派流
シュー生地焼き時間の公式
200℃ x 30分 (オーブンに入れる前に霧吹きを忘れずに)

さっと冷ましてdiagonal cutすると綺麗に仕上がっています。
前半が少しわかりにくかったかもしれませんのでいつかJapanese Chouxの作り方をアップして補足説明する予定です。