オプション治療

慢性疼痛対策として下記オプション治療を行なっております。
慢性疼痛は、生活の質を下げると共に社会的生産性を低下させる原因ともなっています。慢性疼痛により運動制限が生じることで、骨粗鬆症やサルコペニア、鬱を引き起こすことにもなりかねませんので当院では慢性疼痛の根絶に力を注いでいます。EBM(科学的根拠に基づく医療)として下記①、②の治療をオプションとして用意しております。

①トリガーポイント注射(Trigger Point Injection: TPI)

サリチル酸ナトリウム・ジブカイン配合キット(ネオビタカイン(R))を疼痛の強烈な部位(トリガーポイント(TrP))に局注することで疼痛過敏領域をリセットしていきます。経口薬剤の効果の出にくい、または経口薬剤では副作用が強く出る神経障害性疼痛に対する対症療法としてのオプション治療となります。TPIは保険診療の適応ですので健康保険が使えます

●用語説明
○トリガーポイント(Trigger Point: TrP)とは

TrPは、筋肉内に存在する硬結(nodule)または、緊張性索状帯(taut band)として触知されます。この結節内には、部分的に短縮/腫脹しこぶ状になった筋線維(contraction knot)が複数存在しています。TrPは、活動性TrP(ATrP)と非活動性TrP(CTrP)の2つに分類されます。非活動性TrPは、通常緊張性索状帯として存在し疼痛を伴いませんが機械的刺激が加わると活動性TrPに変化します。

活動性TrPは、高度の圧痛(局所痛)、関連痛(referred pain)、局所攣縮反応(local twitch response)を伴うようになり痛痛を広範囲に拡散します。活動性TrPも、一次性TrPと二次性TrPに分類され一次性TrPを根治できないと疼痛制御はできません。関連痛により広範囲に疼痛部位が広がっている場合一次性TrPがどこなのか分からない場合があります。複数回の治療により疼痛領域を縮小/限局していく必要があります。

トリガーポイント
参考文献②より引用しました。

○関連痛(referred pain)とは

     一次性TrPにより引き起こされる、一次性TrPの存在部位とはかけ離れた部位に生じる疼痛でこれが主訴となる場合が多々存在します。関連痛の部位は、一般に異常所見が認められず治療効果が得られませんが一次性TrPを根治させると消失します。関連痛の発現部位のパターンは多くの臨床症例の蓄積によりマッピングされています。筋肉特有のTrP関連痛の発症部位が想定できます。

②ドライニードル(Dry Needling :DN)

消炎鎮痛剤(NSAIDS)や、理学療法抵抗性の頸部痛/腰背部痛/可動域制限を伴う関節痛に対する治療法としてDry Needling (DN) があります。

●DNの適応

①整形外科等でのNSAIDSの十分な使用、理学療法にもかかわらず解除できない 可動域制限、または筋力低下を伴う難治性疼痛症例
②MR画像で椎間狭窄や骨変形が軽微にもかかわらず、神経根症状(しびれ、運動痛など)が高度な症例
③理学療法(リハビリ等)の進行の抵抗因子となる筋硬直/攣縮をともなう関節可動域制限
④心房細動/脳血管疾患などで抗血小板/凝固療法中でNSAIDSの継続使用が困難か、または中断を選択する症例
⑤日常生活の質を低下させる因子となっている薬物治療抵抗性の運動器疼痛
⑥筋筋膜疼痛症候群(Myofascial Pain Synrdome(MPS))症例
⑦リハビリテーション科より依頼を受けた症例

 DNは保険外診療で、すべて予約制で行いますので必ずまず電話で時間予約くださいますようお願いいたします(予約時間以外では行いません)。

●用語説明
○DNとは

      DNは、IntraMuscular Stimulation(IMS)で使用する特殊針を通常鍼治療に使用する鍼に置き換えた治療法です。疼痛の原因となっている筋肉内の硬結を伴う疼痛部位(トリガーポイント(TrP))に細い針を刺入することで筋肉短縮の解除と除痛を行います。使用する針は直径0.14~0.25mmの細いステンレス製の盲端針で1回使い捨てのディスポーザブル針です。DNの利点は、薬剤を使用しないことにあり、それでいて局所麻酔薬を注入するトリガーポイント局注と同等以上の効果を瞬時に得ることができることです。薬剤注入を行いませんので筋肉にやさしく、炎症を惹起することはありませんし、一度に複数回施行できます。筋肉の攣縮が抵抗性の場合10~15分留置します。

IntraMuscular Stimulation(IMS)とは

Chunn Gunn先生が確立した治療法で。プランジャーという特殊な外筒を併用してTrPの直上から皮膚面に垂直に鍼を刺入することで疼痛を瞬切する。通常数秒単位で迅速に筋収縮/血管収縮/除痛が得られることから現在米国では主流の治療法となっている。この際twitchingという局所筋肉が細波だつような特異反応を引き出すことが出来れば安定した鎮痛効果が得られます。

 参考文献:
①.Mense S, Gerwin RD (eds,). Muscle Pain: Diagnosis and Treatment, Chapter2 Myofascial Pain Syndrome, Splinger-Velag Berlin Heidelberg  2010; p15-83
②Gunn CC. Dry needling of muscle moter points for chronic low back pain. Spine 1980; 5: 279-291

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