外注画像検査の説明(詳細)

画像検査のため、連携病院先を検査受診して頂くことが多々ありますが、検査前日/当日不安になることがございませんよう、個々の検査の必要性と内容に関してご理解いただきたいと存じます。ご自身がお受けになる検査がどんな検査でなんのために必要なのか、外来で説明が行き届きませんところをこのページでは補足説明させていただこうと存じます。

病気を治療するためには、まず確定診断を下すことが必須です。確定診断のためには、その病気の特徴的所見を捉えるための適切な画像検査が必要となります。多くの場合、核磁気共鳴画像法(MRI)や高分解能CT検査(HRCT)がそれに相当する検査となると存じます。

このような 特殊検査には、それぞれ遵守していただく検査前の準備も必要となります。

高分解能CT (High Resolution Computed Tomography : HRCT))

多数の検出器を装備したCT(Multi-Detecter-row CT : MDCT)の出現により薄いスライスで高速撮影が可能になったことから、いろいろな断面の画像や3D画像を再構築できる様になっています。CT検査では、X線の吸収値により画像のコントラストが形成されますのでどうしても被曝をさけることができませんが、CT検査により得られる情報は被曝による不利益を大きく上回るものがあり、これゆえに質的診断のゴールドスタンダードとなっているのも事実です。

造影剤を用いることで血管とその他の組織との間にコントラストをつけることができます。これを利用して、全身のいろいろな臓器のアクシデントや臓器腫瘍などの質的評価ができます。

紹介となるのは造影HRCT検査となります。主にダイナミックCT/CTA、CCTAが検査紹介の対象となります。

造影剤を用いる検査でもあり、下記に該当する場合は注意が必要です。

①ヨードのアレルギーのある方は検査を受けることはできません。
②X線被爆を受けますので妊婦、もしくは妊娠の可能性のある方も原則検査はお勧めできません。
③年間totalの被爆線量が多い方も当院では検査をお勧めしていません。
④小児では、CT被爆による脳腫瘍の発症頻度の上昇が疑問視されていますので、必要最低限での検査をお勧めしています。

核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging : MRI)

1H原子核(プロトン)に対してある磁場強度と共鳴周波数の電磁波(高周波)を照射する(例えば1T(テスラ)の磁場強度では、共鳴周波数は42.6 MHz)と、プロトンが共鳴して振動を起こし受信コイルに起電力が生じますがこの起電力が、MRIにおける信号強度となります。MRIで捕捉できるプロトン信号は、水と脂肪ですのでこの2つから放出される信号は画像のコントラスト構成の上で重要な因子となりますが、T1/T2緩和時間(磁場から吸収したエネルギーを信号を放出できる状態(励起状態)から元の状態(安定状態)に戻ることを緩和と言います)の相違も画像のコントラストに関係してきます。

MRIでは、ざまざまな角度の撮像が得られます。
拡散強調画像( Diffusion Weighted Image (DWI))は、組織中の水分子の運動の自由度を検出して画像化したもので、フレッシュな梗塞巣の検出や悪性腫瘍の良性/悪性の鑑別に威力を発揮します。またMRCP(MR Cholangio-Pancreatography)では、胆管/膵管の全体像を非侵襲的に撮像できます。

造影MRI検査としては主なものに、ダイナミックMRI/EOBMRIMRA/MRAPなどがあります。

MRIの利点は、被曝を受けることなく必要な画像情報が得られる点にあります。若年者や生殖年齢の方には、まずは、できる限りこちららの検査による精査をお勧めしております。近年は磁場強度3Tの高速MRIを装備されている病院も散見される様になりましたが、飛躍的に画像の鮮明度向上と撮影時間の短縮が達成されています。しかしながら呼吸、心拍動との同期の問題があり肺、心臓領域はMRIの不得手な分野ではあります。

まず、注意事項として撮影室内に金属類の持ち込みはできません(もちろん携帯電話もダメです、ヘアピン御注意下さい)。

下記に該当する方は基本的に検査を受けることはできません。
①心臓ペースメーカー、植え込み除細動器、脳深部刺激装置を挿入されている方
②インスリン注入ポンプの植え込みをされている方
③人工内耳を装着されている方
④体内に移動しうる金属が挿入されている方

また、下記に該当する方は事前に可能かどうか確認が必要になります。
①脳動脈クリップ、冠動脈ステント、下大静脈フィルター、塞栓コイルなどが挿入されている方
②金属製の人工弁を挿入されている方
③金属プレート骨接合、人工骨頭置換を受けた方

また、下記に該当する方は注意が必要です。
①入墨がある方、ヒートテックなどの特殊な下着の着用者(火傷を生じることがあります)
②現在妊娠中の方(妊婦に対する安全性ははっきりと検証されていません)
③閉所恐怖症の方(閉塞感のあるガンガン音のなる筒の中に入りますので)

その他の細かい注意事項は紹介先の病院の説明書に従ってください。

以上総論としてMRI/CT検査の概要と注意事項を説明致しました。また各検査の詳細はリンクページに説明しております。

参考文献

1. 日本医学放射線学会/日本放射線専門医会. 診断ガイドライン 2013. Japan. 金原出版株式会社.  2013
2. 渡谷 岳行、岡田 吉隆. 造影MRIによる肝腫瘤の診断:鑑別とピットフォール. 断層映像研究会雑誌 第36巻 第3号  p126-140
3. Murakami T, Okada M, Hyodo T. CT versus MR imaging of hepatopcellular carcinoma toward improved treatment decisions. Mega Reson Med Sci, vol.11, No.2, 2012: p75-81
4. Lim KS. Diffusion-weighted MRI of hepatocellular carcinoma in cirrhosis. Clinic Radiol 69, 2014: p1-10
5. Kondo T, Anno H. Evaluation of coronary artery by multi detector-row computed tomography( MDCT). J Jpn Coron Assoc 2005; 11: p167-173
6. Takehara Y, Isoda H. Magnetic resonance angiography for the peripheral vessels of the lower limbs. J Jpn Colle Angio 2004: 44 (11): p743-753
7.日本核医学会. FDG PET, PET CT 診療ガイドライン 2012. Japan. Japanese society of nuclear medicine 2012.

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