③リコンビナントワクチン(NVX-CoV2373) の有効率について
現在までのところ、mRNAワクチン(BNT162b(ファイザー社)及びmRNA-1273(モデルナ社))の有効率(発病阻止効果)は94〜95%と報告、またウイルスベクターワクチンの有効率はChAdOx1 nCoV-19(アストラゼネカ社)→70%、Gam-COVID-Vac→92%、Ad26.COV2.S→67%と報告されています(2)。
リコンビナントワクチンの有効率に関して、査読が終了しているHeathらが報告したNVX-CoV2373のphase3臨床試験の結果を表3に示します(5)。英国(33地域)で募集した年齢層18〜84歳の16,545人の登録者のうち、プロトコールに適合しない対象群を除いた151,187人に対し、偽薬(生理食塩水 x 2)または、NVX-CoV2373ワクチン(5μgドース(5μgのリコンビナントS蛋白+50μgのMatrix-M1) x 2(21日間隔))のいずれかを投与する形での評価者盲検無作為比較対照試験の結果を投与開始後3ヶ月までの期間限定で報告された(mRNAの臨床試験同様に接種開始後1年以上の経過を追うスタディーデザインとなっています)。
偽薬群とワクチン投与群は1:1の比率(7569人:7594人で、年齢比は27.9%が65歳以上、44.6%が何らかの現病歴(抗レトロウイルス治療を受けているHIV患者や心臓病、腎臓病、神経疾患、肝臓病、呼吸器病を含む安定した慢性疾患)を有している)で振分けされ、人種、年齢構成、男女比などのバックグラウンドは両群で統一されていた。
最終的にワクチンを2回接種完遂した7020人と偽薬を2回接種完遂した7019人の2群の比較をもって総ワクチン有効率を評価している(Table.1参照)。
プロトコールに基づく全体の成績では、総有効率89.7%を達成していた。しかしこれは時期的にすでに英国がN501Y(B.1.1.7)変異株が流行していた時期の臨床試験となるためmRNAワクチンの成績と同じバックグラウンド(Non-B.1.1.7)に限定してサブ解析を行うと96.4%の有効率、一方、B.1.1.7に対しては86.3%の有効率を叩き出しておりmRNAワクチンと同レベルの高い有効率が得られている。治療中の病気があるかどうかにおいても有効率の差は認められていない。少し気になるところはmRNAワクチン同様に、白人以外では少し有効率が下がる傾向があるように見えるところであるが参加者の母数が小さいので断定はできない。また現在、USAとメキシコで行われているPREVENT-19 臨床試験では、メキシコにおいて中等症~重症の発症を100%予防し、全体での有効率は90.4%と報告されている。