Case 24-5; COVID-19 part5-2: 数理モデルから予見される接触追跡(コンタクトトレーシング)と早期隔離の有効性、2次発病率と症状発症前感染が基本再生産数に及ぼす影響、実行再生産数から推定される流行制圧率を80%以上に保つために必要な疫学的手段の実行強度について

下図(Fig 3)Aにおいて基準となる想定線は、中央の黒い●を結んだ折れ線グラフで、①PST(症状発症前感染)が15%、②迅速隔離(Short Delay)、③I(0)=20人、④Ro=2.5としてシミュレーションした場合の制圧曲線である。
*Ro=2.5は、I(0)一人あたり感染性期間に平均2.5人に新規感染を生じさせる状況(see→part2, part3)

Hellewell J, Abbott S, et al. Feasibility of controlling COVID-19 outbreaks by isolation of cases and contacts. Lancet Glob Health 2020; 8: p488-p496.より引用しました。

同じ条件の発端者集団I(0)=20人からスタートしても、
Ro=2.5では、その70%に相当する14人のCTが完遂できた状況で制圧達成率は約80%である。
Ro=3.5であればCTは90%完遂されないとコントロール不能である。
Ro=1.5(赤色の折れ線)ではCTが60%完遂できれば、ほぼ100%感染流行はコントロールできる
Roの値に対してどれだけCTが完遂できないと感染流行を収束させることができないかがシミュレートされている。

次にFig.3Bは、実行再生産数Rtがわかっている時、どれだけCTが完遂できればRt<1(これは感染終息に向かう絶対条件)が達成できるかを示している。
Rt=1.25くらいであれば95%区間を考えるとCTが40%追えていればなんとかRt<1.0(赤い点線以下)に持っていける。
Rtが1.0付近にあるとき、新規発症患者の50%のCTが完遂できた状況というのが感染流行制御のための1つの目安になりうることが直感でイメージできるグラフである。このグラフを見ていれば、感染対策専門部会が感染ルート不明新規患者数を全体の50%以下に維持したい理由は明白である。これゆえに、一般市民は感染ルートの情報開示に積極的に協力する義務があると考えられる。

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