Case 24-4; COVID-19 part4: 接触追跡(コンタクトトレーシング)から見えてくるCOVID-19の感染性期間、発病間隔、世代時間と台湾のレポートから窺われる無症候性感染者の感染リスク、qRT-PCR定量法によるCOVID-19感染者体内のウイルス量の経時的変化について

(2)感染性期間(IfP)のうち特にハイリスクな期間の同定と2次発病率(Secondery Attack Ratio)

Chengら(→see 参考文献3)は、台湾での100症例のCOVID-19確定診断症例(=1次感染者)とその濃厚接触者2761人に対して詳細な接触追跡(Contact Tracing)を行った 結果を報告している。

①totalの濃厚接触者の発病率(2次発病率)は、0.7%(95%信頼区間)であった。

②1次感染者が発症前(症状出現前4日以内)に接触した濃厚接触者の2次発病率は0.7%(95%信頼区間)、発症後5日以内の2次発病率は1.0%(95%信頼区間)であり、発症6日後以降の濃厚接触者の2次発病率は0%であった。これは、COVID-19のIPが発症5日前から発症5日後位までの期間である可能性を暗示しているかもしれない(少なくともこの期間はハイリスク感染性期間である)。
ちなみに、WHOは発症日の4日目まで接触追跡をさかのぼることを推奨している。

③世代別に見ると、1次感染者→2次感染者→3次感染者と世代が進むにつれて発病率は低下する傾向を認めた(=人→人感染を繰り返すうちに元株のウイルスの感染力は低下すると考えられる)。

④1次感染者の症状経過から見ると、発症後重症に陥った1次感染者との濃厚接触者の2次発病率に関して、最終的に重症肺炎に至った1次患者との接触で3.76%(95%信頼区間)、急性呼吸窮迫症候群に至った1次患者との接触で3.99%(95%信頼区間)と高値であるが、これに対して軽微症状の1次患者との接触では2次発病率は小さかった。さらに無症候性患者との接触では2次感染は全く認められなかった

ただし、ここで無症候性患者とは発熱を含め臨床症状を全く示さなかった症例である。症例数が少ないので断定はできないが、軽微症状患者と異なり無症候性患者は感染伝播に寄与していない可能性がある。そうであれば症状がない者にPCR検査を強制する必要性は小さいと考えられる(ないのかもしれない)。

Cheng HY, Jian SW, et al. Contact tracing assessment of covid-19 transmission dynamics in Taiwan and risk at different exposure periods before and after symptom onset. JAMA 2020 より引用しました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。