Case 24-3; COVID-19 part3: 現時点での基本再生産数(Ro)と接触頻度、感染確率から考えられる行動制限の根拠と妥当性、現在国内で行われている控えめなPCR検査の原因と規模の妥当性、PCR強制率から見えるもの、海外との比較、最終規模方程式(極限方程式)と臨界感受性人口密度に関して

②PCR検査について

2020.4/1の各自治体の人口および人口密度、人口密度順位、4/9までのPCR検査施行総数、PCR陽性総患者数、PCR強制率(人口1000人に対するPCR検査施行数と定義)、4/14の県別感染者総数(全国順位)下記HPより参考、データを計算/加工した。国内のPCR強制率は平均0.5、これに対してイタリア、ドイツでは10を超えている。諸外国は5倍以上のプレッシャーをかけて検出努力をしていると見てとれ、これが日本が検査を怠っていると指摘される所以である。国内でも民間各検査会社がPCR検査の受注を受ける体制は出来がっているが、問題はインフラにあり各社のラボが大都市近郊にしかないことがネックである。このため、地方都市でのPCR件数は非常に小規模でしか実現できない。しかしながら小規模しか実行できないのでPCR検査をしなくて良いという理屈は成立しない。感染患者を確実に隔離にいかなければsocial distancingの効率は悪くなる(最悪、放置しているのと結果は同じかもしれない)。なぜなら入院した患者の感染力は隔離により限りなく0に近似されるからである。現在、PCRの対象にしていない軽微症状(臨床的疑診も含む)感染者が無視できないdriving forceである限り、感受性集団のコンタクト数を減らすにも程がある(本来減らすべきは、これら軽微症状感染者のコンタクト数ではないか!ここを強力に制限せずして今の理屈は私には理解しがたい。)。PCR検査で確認しないことを前提とするなら、少なくともこれら疑い患者全てを無条件全隔離(自宅ではなく病院以外の施設への強制隔離)が最低限行うべき必須対策ではないか?現行の方針では感染防御体制の脆弱な末端の診療所や中小病院でのクラスター多発が懸念され、閉鎖または外来診療中止により結果的に医療崩壊につながる。現在死亡者数が少ないのは幸いにも医療崩壊していないからで、一旦崩壊すると諸外国同様1日数百人単位の死者(これはコロナウイルス多臓器不全が原因の患者とそれ以外の外傷や病気が原因の重症患者)が出ることは容易に想像される。PCR検査数の増量が医療を崩壊するのではなく、PCRの検査体制の不備(全診療科に依存しない独立した体制がない)と陽性者の隔離体制の不備(隔離施設の準備不足)が崩壊を起こす。

この表を作成してわかることは、20倍近いプレッシャーをかけてPCR検出をかけても陽性率は30%に満たないことである。以上を考慮すると国内でのPCR検査の結果は、統計解析の手法を用いて全体の傾向を追うには妥当な標本数である(これは諸外国が出してくれたデータが存在することが前提である)。現状で国内のPCR強制率を比べてみても強制率が高ければ(諸外国に比べて極めて低いため効果が出ていない可能性は充分にありうる)感染者数の増加を制御できているわけではない。感染流行状況は、北海道を除き、感受性人口(人口密度)に従っている傾向の方が大きく見えるので人口密度の高い都市でのsocial distancingの確保は即効性のある絶対手段となることは想定できる。逆に人口密度が低く、臨界サイズより小さい場合は何もせずとも感染流行は起こらない。島根(100.46)、鳥取(176.57)、岩手(80.29)はCOVID-19に対する臨界サイズ(臨界感受性人口密度)に近いのかもしれない。social distancingとしてどれだけ距離をおけば良いか?という基準の目安になるかもしれない。北海道や高知の場合は人口密度は低いが、外からの感染人口流入が止まらないことが流行の原因となっていると推定される。

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