Case 09; PLEC: 膵臓の偶発腫瘍(incidentaloma)としてリンパ上皮性嚢胞(LEC)が認められることがある。典型症例のMRI画像所見はT1WIで高信号、dynamic MRIで嚢胞壁(被膜)が濃染されるパターンを示すが膵癌と鑑別が困難な症例も多い。非典型的画像を呈したPLECの1ケースレポート。

③症例

Case
2型糖尿病の精査の際、膵尾部に表面から突出する低エコー腫瘤を指摘、DCEMRI/DCECTによる精査を行った。腫瘍マーカー:  CEA=8.2ng/ml

画像所見:LECの典型的パターンを示さず。

❶[腹部USG] : 膵尾部に境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めるが腫瘤後方エコー増強効果のため周辺臓器との境界ははっきりしない。

腹部超音波画像

❷[膵MRI, MRCP] : MRCPでは膵尾部腫瘤は膵管との交通を認めない(膵体部には、8mm大の分枝型IPMNを認める)。
T1, T2強調画像では、膵実質よりも軽度の高信号、T1 in-outで信号強度減衰の乏しい直径4cm大の円形の腫瘤を膵尾部に認め腫瘤は膵全面から突出して認められる。腫瘤の中心部にはT1低信号、T2高信号の結節を認める。

MRCP(左)、T1WI Dual in(中央)およびT1WI Dual out(右)

拡散強調画像(DWI)では高信号(特に中心部)腫瘤として認められる

T2WI(左)、T2w-fs(SPIR) (中央)およびDWI [b=800}(右)

❸[膵DCEMRI]
腫瘍の中心部のT1低信号結節は、造影早期から濃染を認める。

DCEMRI(左からpre, 30sec, 60sed, 90sec, 180sec)

❹[膵DCECT(HR)]
 腫瘍の平均CT値は57.8 HU(sd12.5)。DCEMRI同様の造影パターンを示す以外特徴的な所見は得られなかった。

DCECT(左からpre, 30sec, 40sed, 50sec, 60sec, 180sec)

最終的に、腹腔鏡下腫瘍核出術にてLECの確定診断

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参考文献:

1. Adike Abimbola, Horsey-Silva JL, et al. An usual suspect: Lymphoepithelial cyst of pancreas. Case Rep Gastrointest Med. 2016: p1 – 3.
2. Arumugam P, Fletcher N, et al. Lymphoepithelial cyst of the pancreas. Case Rep Gastroenterol 2016; 10: p181-192.
3. 寺川 裕史, 牧野 勇, 他. 核出術を施行した膵頭部リンパ上皮嚢胞の1例. 胆と膵 2014;35(5): p481-485.

個々の症例のデータ、画像の引用または転載を一切許可しない。

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