Cerebral Microbleeds (CMBs): 脳微小出血
①CMBsは2種類に分類される。
CMBsは、T2*画像またはSWI(susceptibility-weighted image) 画像の様な特殊なMRI撮影条件下でのみ描出される通常径5mm以下の点状〜小斑状の低信号を呈する病変です。CMBsは一般成人の5%に認められ、主に毛細血管破綻により流出した赤血球が血管周囲のマクロファージに取り込まれ、ヘモジデリンとして蓄積した状態(Primary CMBs)と考えられています。CMBsは、高血圧性細小動脈病変(hypertensive microangiopathy)を原因とする深部白質(基底核、視床など)に見られるdeep CMBs(dCMBs)と脳アミロイド血管症(cerebral amyloid angiopathy)を原因とする脳浅層(皮質または皮質下)に認められるlober CMBsに分類されますが、脳出血の発症リスク因子として関連する病変はdCMBsです。dCMBsは、高血圧、糖尿病、年齢などの血管危険因子と関連し、脳梗塞患者の33.5%、脳出血患者の60.4%に認められると報告されています。
②CMBsと抗血栓療法
抗血栓療法(抗血小板療法、または抗凝固療法)を行う際に、CMBs保有症例で脳出血リスクが上昇するかどうか?という命題は、心房細動などの経口抗凝固剤(ワルファリンやDOAC)治療を行う際の適応の是非を左右する重大な要因となりえます。投薬による脳出血のリスクが脳血栓塞栓症の発症リスクを上回る様では投薬の意義すら不明瞭になってしまします。CMBsの種類と数との関連性は明らかにしておく必要があります。
CBMs保有者に対する一次予防としてのワルファリン投与、2次予防としての単一抗血小板剤(特にアスピリン)投与に関しては明らかな有意差を持って頭蓋内出血の発症頻度が増加することが報告されています。CMBsの数が5個以上で脳出血のリスクが抗血栓薬の予防効果を超えてしまうとの指摘もある様ですので、最近使用頻度の増えてきたDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)に関しても安易な投薬には注意が必要と考えられます。