④PBCの診断基準
PBCの診断基準は、
①組織学的にCNSDCを認め、検査所見がPBCとして矛盾しないもの
②AMAが陽性で、組織学的にはCNSDCを認めないがPBCに矛盾しない組織像を示すもの
③組織学的検索の機会はないが、AMAが陽性で、しかも臨床像および経過からPBCと考えられるもの
と表記されているが、実際のところは大部分の症例がALP上昇を伴う胆汁鬱滞所見に加えて血液検査でAMA(M2)陽性所見を持って暫定診断することになると考えられる。肝硬変症に至っていない症例では胆管消失の度合いとALP上昇の度合いは強い相関があると言われている。
PBCの治療に関しては、ウルソデオキシコール酸(UDCA)が第一選択となる。UDCAは13~15mg/kg/dayの用量で2回に分けて服用する場合が最も治療上でも医療経済の面からも効果的であると報告されている(寝前1回まとめて服用しても良い)。本邦では上限900mg/dayまで保険適応がある。UDCAの効果は、投与後数週間で顕著となり6~9ヶ月で90%の症例で肝機能検査異常改善が見られ、投与後2年で約20%の症例の肝酵素値が正常化する。UDCAの作用機序は、胆汁組成の置換(細胞障害性をほとんど認めない親水性胆汁酸の比率を50%以上に増やす)による保護作用と胆汁酸トランスポーターの活性化(類洞側への胆汁排泄促進)による利胆作用によると考えられている。UDCA投与により肝機能障害の改善のみならず、肝組織所見の改善を示す症例もあるが、掻痒感や易疲労感などの自覚症状の改善には効果を示さない。しかしながら40%以下の割合でUDCAで制御困難な症例が存在すると言われ、このような症例に関してはフィブラートの上乗せ投与が検討される( PBCに対する保険適応なし)。