Case20; PBC: 抗ミトコンドリア抗体(特に抗ミトコンドリアM2抗体)と慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)の存在意義、標準治療薬としてのウルソデオキシコール酸(UDCA)の効果に関するUPDATEと側副血行路発達に伴う著明な食道静脈瘤を認めた門脈圧亢進型の1ケースレポート

Primary Biliary Cholangitis ( PBC ): 原発性胆汁性胆管炎

従来、原発性胆汁性肝硬変 ( PBC : Primary Biliary Cirrhosis )と呼ばれていた疾患(指定難病93)ですが、2015年の欧米での名称変更に従い、2016年に本邦でも原発性胆汁性胆管炎と名称変更されました。

推定総患者数は5〜6万人(有病率は100万人に対して110人(男性)、430人(女性)程度)と言われ、男女比は約1:9と発症性差を認める(本邦では1:7)。最近は早期発見症例が多く報告されるようになり新規登録患者の70-80%が無症候性のPBCであり、診断時の平均年齢は50歳台である。PBCの発症に関しは、いまだにはっきりと解明されてはいないが、疫学調査などにより遺伝的要因と環境因子が重なって発症するのではないかと考えられている。家族集積性などの傾向を認めるが遺伝要因の関与は15%程度と考えられている。一方、環境因子としては尿路感染症、ホルモン代替療法、マニキュア、喫煙歴などが関与していると報告されている。

PBCは自己免疫性疾患とみなされるが、他の自己免疫性疾患とは異なりステロイド剤の効果は芳しくない。PBCには様々な自己免疫性疾患が合併するが、①シェーグレン症候群(12.5%)、②慢性甲状腺炎(橋本病:6.6%)、③関節リウマチ(3.6%)、④強皮症(2.6%)、⑤潰瘍性大腸炎(0.2%)などが合併頻度順位が高い。

①PBCの自覚症状

PBCの自覚症状としては、全身倦怠感( 50~78%)、掻痒症 ( 20~70%)、腹痛(17%)などがあるが、非特異的愁訴と言える。おそらく無症状で検診でにて肝機能検査異常を指摘されて診断を受ける症例がもっとも多いと考えられる。骨粗鬆症は頻度の高いPBCの合併症である。PBCにおける骨粗鬆症の原因は消化管からのビタミンD吸収不良とも考えられるが、血清ビタミンD値の低下が認められないことから血中に増加したGGTによる破骨細胞の生成促進が関与しているとの報告もある。

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