Case 19; HFpEF: HFpEFは左室拡張機能の低下を特徴とする心不全であるが、その多くは左室駆出率が正常に維持(LVEF≧60)されている病態とはいえない。左室拡張能とdp/dt曲線、inertia force、 左室サクション、BNPに関してのUPDATEとEFが正常なHFpEFの1ケースレポート

Heart Failure Preserved Left Ventricular Ejection Fraction (HFpEF )

   心不全とは何らかの起点により心臓のポンプ機能が損なわれ、それにより随伴症状(呼吸困難や全身倦怠感、浮腫など)を伴なうことで運動耐用能の低下を来した状態を示しますが、左室駆出率(LVEF)の低下により、HFrEF(LVEFが40%以下に低下した心不全)とHFpEF(LVEFが保たれた心不全)の2グループに大別されています。また40%<LVEF<50%までの心不全はHFmrEF(LVEFが軽度に低下した心不全)に分類されますが前2者の境界にあたる領域を埋めるクライテリアです。HFrEFは世間一般に認識されている心不全の臨床症状を示すもので、その主因は冠動脈疾患(心筋梗塞)ですが、HFpEFは最近概念や診断基準が統一されてきた心不全です。しかしながらHFpEFは心不全全体の約半数の症例を占めると報告されており、予後もHFrEF同様に好ましくないことがわかってきました。急性/慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)が出版されましたが、最新のガイドラインにおいてもHFpEFに特異的な治療関してはエビデンスの確立されたものがなく、HFrEFで確立された治療を代用して用いるのが現状である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。