Case18; OH: 閉鎖腔ヘルニア(OH)の典型症例は、閉鎖神経の圧迫によるHowship-Romberg sign(HRS)を伴い、右側の閉鎖腔に小腸が嵌入した閉塞性イレウスとして発症する確率が高い。また嵌入した小腸は、絞扼性イレウスに進展することが多く(Richiter型ヘルニア)、手術療法が必要である。HRCTで確定診断した1ケースレポート。

術前CT診断可能であったOH症例を提示する。

[CC] 3時間前から増強する下腹部痛と嘔気
[PH]痩せ型の高齢女性、Howship-Romberg signと考えられる左大腿内側から膝部の疼痛を自覚。腹部触診では鼓腸と下腹部の圧痛を認めたが、その他特異的な所見は認めず。大腿ヘルニアを疑うような鼠蹊部腫瘤は触知できなかった。

[ID]
①腹部Xray:胃〜小腸の著名なガスを伴う拡張を認める。小腸イレウスを疑う所見であるが閉塞部位ははっきりしない。左下腹部の位置で Beak signを疑う先細り所見を疑う。
HRCT(CE) :小腸の液体貯留を伴う著明な拡張と左外閉鎖筋と左恥骨筋の間にΦ3cm大の軟部腫瘤陰影(矢印)を認める。直腸にはガスを認める。

腹部単純X線写真(左)とダイナミックCT画像(右)

Uploaded on May 31, 2019.

参考文献:
1. Hodgins N, Cieplucha K, et al. Obturator hernia: A case report and review of the literature. Intern J Surg Case Rep 2013; 4: p889-p892.
2. Kulkarni SR, Punamiya AR, et al. Obturator hernia: a diagnostic challenge. Intern J Surg Case Rep 2013; 4: p606-p608
3. Gray SW, Skandalakis JE, et al. Strangulated obturator hernia. Surg 1974;75: p20-p27.
4. Yokoyama Y, Yamaguchi A, et al. Thirty-six cases of obturator hernia: does computerized tomography contribute to postoperative outcome? World J Surg 1999;23: p2144-p2147.
5. 藤山 准真, 望月 聡, et al. 閉鎖孔ヘルニアの2例. 京府医大誌 2008;117(9): p697-p703

個々の症例のデータ、画像の引用または転載を一切許可しない。

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