Case 15; AFPGC: AFP産生胃癌は、国内の胃癌症例の1.3〜5%を占めると報告されている稀な胃癌であるが、一般の胃癌症例と比較してリンパ節転移や血管浸潤、肝転移を来たしやすい。現時点では治療法に関してもコンセンサスが得られたものがない。1ケースレポート

Alpha-Fetoprotein Producing Gastric Cancer (AFPGC): AFP産生胃癌

α-fetoprotein(AFP)は主に胎生期の卵黄嚢(yolk sac)や肝臓から産生される糖蛋白質であり、出生後は約1年で血中濃度は正常レベル(20ng/ml以下)に低下します(妊娠中は母子共に高値です)。成人では正常範囲を超えて上昇することはありませんので、その測定意義は主に肝細胞癌の腫瘍マーカーとして汎用されます。その他肝硬変やウイルス肝炎、一部の胃癌、大腸癌、膵癌、胆嚢癌、肺癌、卵黄嚢腫瘍(胚細胞腫瘍など)が存在する場合上昇すると報告されています。


AFPGCは、胃癌症例の1.3〜15%を占める(日本国内では1.3〜5%、韓国では6.2〜6.3%、中国では6.63%、米国では15%)稀な胃癌亜型と報告されています。大部分の症例はアジアから報告されており、アジア以外からは稀のようですが日本国内では40年以上前から認知されています。

AFP産生胃癌を他の胃癌と区別する理由として、一般の胃癌症例と比較してリンパ節転移や血管浸潤、肝転移を来たしやすいため予後が悪く、治療法に関してもコンセンサスが得られたものがなく手術療法の効果が出にくい癌であるからです。症状にも乏しく、発見された症例は進行癌(Borrmann 2, 3型)が多く、多数の腹腔リンパ節転移を伴っていることが特徴とも言えます。逆に内視鏡的には通常の胃癌と画像所見から鑑別するのは困難であり、血中AFPの測定や免疫病理学的診断により確定診断が得ることになります。

AFPGCは、通常
①AFP-producing non-hepatoid adenocarcinoma、
②hepatoid adenocarcinoma( 肝様腺癌)    の2つに分類されます。

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