Case 12; NTMI: 非結核性抗酸菌(NTM)の大部分を占める肺MAC症は、CT検査で空洞(cavity)/小結節(nodule)/気管支拡張(bronchiectasis)を特徴とすることが多い。CT所見に加えて血中抗MAC抗体陽性の場合は確定診断に至る。肺MAC症に関して検査、診断、治療法に関してのUPDATEと肺MAC症の典型的画像所見のケースレポート

Case :
空洞形成型、小結節/気管支拡張型の肺MAC症例の CT画像を提示します。
①空洞形成型(類結核型)

左から空洞形成型のCT画像として、①  small cavity ( well-defined)、②ill-defined small cavity with tree in bud pattern 、③large cavity(well-defined)

②小結節/気管支拡張型

左から小結節/気管支拡張型のCT画像として、①   tree in bud pattern、②well-defined nodule、③  bronchiectasis  、④traction bronchiectasis、⑤ ill-defined nodule

中高年女性に多く見られるパターンの画像所見です。やや大きめの結節で辺縁不正のものや磨りガラス陰影を伴うものは初期の肺癌との鑑別は困難です。定期的な画像検査による経過観察や場合によってはF18-FDG PET-CTによる精査が必要となります。緩徐に進行することが多い様ですので年齢や疾患背景を考慮した上で経過観察可能ですが、画像検査所見で明らかに進行性であるなら化学療法による治療で肺野全体に拡散するのを止めに行く必要があります。

肺MAC症の治療は、クラリスロマイシン(CM)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)の3剤併用療法が基本で、重症度に応じてストレプトマイシン(SM)または、カナマイシン(KM)を上乗せ投与することが推奨されています。

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 参考文献:

1. 森田幸雄, 藤田雅弘, et al. 『話題の感染症』非定型抗酸菌と非定型抗酸菌症. モダンメディア 2006; 52(3): p57-66
2. Runyon, E. H.: Mycobacterium intracellulare, Am. Rev. Respir. Dis 1967; 95 : p861-865
3. 赤川志のぶ. 肺MAC症の画像所見. Kekkaku 2009; 84(8): p569-575
4. Lee Y, Song JW, t al. CT findings of pulmonary non-tuberculous mycobacterial infection in non-AIDS immunocompromised patients: a case-controlled comparison with immunocompetent patients. Br J Radiol 2013;86: p1-11 dog:10.1259/bjr.20120209
5. 渡辺彰, 菊池利明.  非結核性抗酸菌症の診断と治療はどうなっているか?ー生物学的製剤への対応を含めてー 日サ会誌 2015; 35: p39-45.
6. 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会 日本呼吸器学会感染症・結核学術部会. 非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012 年改訂.Kekkaku 2012; 87(2): p83-86

個々の症例のデータ、画像の引用または転載を一切許可しない。

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