Case 03; SRLC: 嚢胞は腹部エコー検査で最も指摘される頻度の高い病変であるが、嚢胞内感染や出血(Complicated Cyst)、破裂により時に腹痛や発熱を生じうる。特に単純性肝嚢胞の破裂は重度の腹痛と限局性腹膜炎を伴うことが多い。単純性肝嚢胞の破裂の1ケースレポート

Spontaneous Rupture of Liver cyst: 単純性肝嚢胞の破裂

①肝嚢胞とは

肝嚢胞は2.5~18%の罹患率と報告されていて、健康診断などの腹部US検査など指摘される機会は比較的多いと考えられます。ほとんどの肝嚢胞は単純性嚢胞(Simple cyst (SC))です。SCは、異所性の胆管上皮細胞由来で胎生期に正常肝内胆管単に交通しなかった部分が取り残され生じると考えられており、内腔には胆汁を主体とした粘液を含有します。基本的には、病的意義の少ない水袋と言えます。しかしながら、直径10cmを超える様な大きなものでは周辺の臓器圧迫症状や下大静脈圧排による静脈環流障害(運動時低血圧)などを引き起こしたり、肝表に存在する嚢胞は自然破裂により限局性腹膜炎を生じることがあります。嚢胞内に出血や感染を起こしたものをComplicated Cyst(CC)と呼びます。一般的にCCは、原因不明の発熱や腹痛を主訴に外来を受診されることになるケースが主です。

②肝嚢胞の破裂

肝嚢胞破裂により嚢胞液(ほぼ胆汁に近い組成)が腹腔内に漏出すると限局性腹膜炎を生じ激しい腹痛を伴います。嚢胞が大きく自然閉鎖しない場合は手術療法による根治切除術を必要としますが、軽微な漏出(minor leakage)の場合は対症療法で保存的治療が可能です。

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