Case 17; ARCD vs ALCD: 真性憩室の炎症である右側大腸憩室炎は左側大腸憩室炎より重症化しにくい。憩室炎罹患後には、約半数に過敏性腸症(post diverticulitis irritable bowel syndrome)を認める。右側結腸憩室炎の2ケースレポート。

症例呈示

Case1:
[CC]2日前から増強する右下腹部痛と38℃台の熱発
[PE]かかとおろし衝撃試験陽性。
[BC]WBC 8100/μl, CRP 13.3mg/dL.
CTでは上行結腸の複数の憩室を指摘できるが、このうち背側の糞石の存在を疑う高吸収域の憩室周囲に脂肪織濃度の上昇を認める。
抗生剤経口投与による外来治療で完治した。

単純CT画像

Case2: 
[CC]前日から増強する高度右下腹部痛と39℃台の熱発
[PE]踵おろし試験陽性。
[BC]WBC 11300/μl, CRP 6.7mg/dL.
CTでは複数の憩室を上行結腸に認めるが、糞石を疑う背側の憩室周囲には炎症所見を指摘できず。腹側の憩室周囲に脂肪織濃度の上昇を認めることから腹側の憩室のいずれかの憩室炎を疑うが、炎症憩室の同定は困難である。

HRCT画像

外来で抗生剤内服を開始したが腹痛症状の改善がうまく進まず治療抵抗性のようであったので3日後に大腸ファイバーによる炎症憩室の同定と抗生剤を用いた局所洗浄を追加したところ排膿され腹痛症状は改善、完治した。 

Colonoscopic findings:
上行結腸の粘膜は全体的に浮腫状/発赤調で粘血便の付着を所々に認める。結腸憩室を複数認め、腹側の憩室の一つに糞石の嵌頓した周囲粘膜が著明に発赤した憩室を認め、糞石の除去とともに排膿と疼痛緩和が得られた。

Cecum                         Terminal ileum                                      Diverticulum         Mucosal reddness

大腸ファイバー画像

                            Diverticulitis    Mucous and bloody stool

 この症例は9年後に近傍の憩室に憩室炎を再発したが、この際は抗生剤経口投与で容易に完治した。

  Uploaded on April 15, 2019.

参考文献:
1.Peery AF. Colonic diverticula and diverticular disease: Ten facts a clinician should know.  N C Med J. 2016 ; 77(3): p220–p222. DOI:10.18043/ncm.77.3.22 
2.Commane DM, Arasaradnam RP,et al. Diet, ageing and genetic factors in the pathogenesis of diverticular disease. World J Gastroenterol 2009;15: p2479-p2488. 
3. Stollman N, Raskin JB. Diverticlar disease of the colon. Lancet 2004; 363: p631-p639. 
4. Lee IK. Right colonic diverticulitis. J Korean Soc Coloproctol 2010; 26(4): p241-p245 DOI: 10.3393/jksc.2010.26.4.241 
5. Tursi A. Advances in the management of colonic diverticulitis.  CMAJ 2012; 184(13): p1470-p1476 

個々の症例のデータ、画像の引用または転載を一切許可しない。

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