COVID19 2022 地域住民の皆様へ:抗ウイルス薬(モルヌピラビル: ラゲブリオ(R))処方解禁に際しての情報開示

新型コロナウイルス(COVID19)に対する抗ウイルス剤モルヌピラビル(ラゲブリオ(R))処方に関する約束事項にてついて

モルヌピラビル(ラゲブリオ(R))の処方が解禁されましたが、現時点では全国民に行き渡る備蓄量は国内にございませんのであらかじめ重症化が予測される基礎疾患のある通院患者に優先投与する形で処方解禁されております。当院かかりつけの自己免疫性疾患(難病指定の肝炎や膠原病など)で免疫抑制剤使用中、血液腫瘍(リンパ腫など)により基幹病院で治療中、癌で治療または経過観察中、慢性心不全やコントロール不良の糖尿病、肺気腫などの慢性呼吸不全の方は、緊急優先投与の対象となります。上記該当の方が家族や親戚にCOVID19感染者が発生し偶然濃厚接触してしまった場合、症状がなくても放置せず、PCR検査(または迅速抗原定性検査)を受けてくださいます様お願い申し上げます(保健所での濃厚接触者追跡が追い付かない状況となりつつあります)。モルヌラピルは感染早期に使用しないとウイルス増殖抑制効果が期待できません。ちょっした発熱や咽頭痛でも”単なる風邪”と自己判断せず積極的に検査を受け、可能な限り早期診断する気持ちを常に持って注意を怠らない様お願いいたします。またその様な病気で通院中の方と同居のご家族の皆様には当該患者のちょっとした変化に注意いただき、風邪のような症状がある場合は躊躇せず早々に受診する様促して頂けましたら幸いです。また受診の際、身内の方が引率して来られる場合があると存じますがその際は自家用車内でクラスターを生じません様、不織布マスクを厳重に着用の上、車内の換気を十分確保してご来院いただけます様お願いいたします。特に咳嗽症状がある場合は発熱症状がなくてもフェイスシールド着用を義務化いたしましたので、受診の際必ず咳のある場合は申告くださいます様お願いいたします。また、最近発熱で近医を受診できなくなったことを理由に市販の解熱剤を服用して2-3日様子見しておられる高齢者が時々受診されますが、高齢は重症化の最大のリスク因子です。グズグスせず早々に近傍の発熱外来を受診して確定診断を受けて頂けます様お願い申し上げます。

モルヌピラビル(ラゲブリオ(R))処方に関する約束事項

処方対象:原則重症化が予測される基礎疾患のある方(後述の重症化リスク因子が1つ以上
 添付文書上は、18歳以上ですが妊婦は処方禁忌となっています。原則以外での医師の裁量で投与が可能となる適応もありえますが、県の感染対策室等で許可を確認する必要がある場合があります。忖度はいたしませんのでクレームのございません様お願いいたします

 重症化リスク因子とは、下記の(1)~(12)です。

(1)年齢61歳以上
(2)活動性の癌(免疫抑制又は高い死亡率を伴わない癌は除く)
(3)慢性腎臓病
(4)慢性閉塞性肺疾患
(5)肥満(BMI 30kg/m2 以上)
(6)重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)
(7)糖尿病
(8)ダウン症
(9)脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
(10)コントロール不良のHIV 感染症及びAIDS
(11)肝硬変等の重度の肝臓疾患
(12)臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後

処方適用:症状発現後6日以内
 したがって早期診断が必要になりますので有症状の上記該当者は、原則当院では15分で診断可能な迅速抗原定性検査を受けて頂く方針とします(PCR検査は補助診断とします)。

服用方法:1回800mg(4カプセル)を1日2回(合計8カプセル)、5日間継続服用。カプセルが少し大きいようですので嚥下障害がある方は服用が困難かもしれませんので注意願います。

◯処方には、同意書にサインしていただく必要があります。全処方症例に対して市販後調査報告の義務があります。一定期間副作用のモニタリングを行いますので電話等による定期的な副作用調査にご協力願います。同意いただけない場合は処方致しかねます。

現時点で添付文書上報告されている副作用は以下の表の通りです。

MSD社の添付文書で確認できる副作用:添付文書より引用

有効率:相対有効率は30%(ただしワクチン未接種者に対する成績です)。 
*高齢者全般に対して重症化リスクを低減できるかどうかははっきりしていません。

以上モルヌピラビル処方解禁に際し、情報公開いたしました。門前薬局には2人分位の在庫が配分してありますが該当感染者が多数となるとすぐに欠品することが予想されます。抗インフルエンザ薬のように万人に有効な薬剤ではありませんので、医療機関通院治療中の方はできるだけ感染を被らないように自己管理と公衆衛生対策を徹底願います。

また現時点ではデルタ変異株とオミクロン株が種々の割合で混在した状態で感染者数の増加を押し上げていますが、全国での感染者数増加のため遺伝子解析が追い付いていません。当県でも遺伝子解析が滞っているようですので感染増加スピードが緩い地域はデルタ変異株の占める割合が大きいと考えます。東京、沖縄とは事情が異なると考えられますのでこの点もご注意願います。

Uploaded on Jan 16, 2022.

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。