倉敷アイビースクエアで見つけたもの

筆者は散歩中、倉敷アイビースクエアによく立ち寄ります。レンガや季節ごとに変化を見せるアイビー(ツタ)はとても美しく、中庭広場の周辺にはベンチも置いてあるので、ちょっと休憩するのにぴったりです。毎回じろじろ見ているのは、池の中の睡蓮やコイ、カメ等なのですが、クリスマスシーズンは館内エントランスや「レストラン蔦」付近のディスプレイが素晴らしく、そちらも見に行きます。

今回まず注目したのはこちら👇

ドイツ・シンフォニオン社の『シンフォニオン ディスクオルゴール 1890年代』 です。このディスクオルゴールは、この時期のみというわけではなく常設です。ただ、クリスマスシーズンが一番映えると筆者は思っています。

ディスクオルゴールは、1885年又は1886年にドイツのシンフォニオン社(ディスクオルゴールの発明者はシンフォニオン社のパウル・ロッホマン)によって製品化されたそうです。その後、1887年にドイツのポリフォン社、1894年にアメリカのレジーナ社が創業しています。この3社がディスクオルゴールの3大企業で、その売上はオルゴール市場の約90%を占めていたということです。

どんな音がするのか興味ありますよね。

なんとワンコイン(500円)で聴けるんです👍 筆者はまだその瞬間に出くわしていません。またいつか、筆者なりの理由をつけて、ワンコイン投入してみたいと思います。ちなみに、現在聴くことができる演奏は、マスカーニのカヴァレリア・ルスティカーナです♪

   

倉敷アイビースクエアのマンホールも洒落てます👇

    

そして、こちら👇

中庭広場で見つけました✨ こんなところにニコニコ顔が!です。隠れミッキーを見つけた気分でした。 すぐには見つからないと思います。ヒントは、壁側のレンガではなく地面側です。そして西側中央辺り…。 あまり言い過ぎるとおもしろくないので、この辺で止めておきます(^-^)

阿智神社のしめ縄

筆者の散歩コースには阿智神社があります。いつものようにお参りしていた時、しめ縄(注連縄)が青いのに気が付きました。

阿智神社では、毎年12月の第2日曜日に「注連(しめ)縄奉張祭」が行われ、拝殿などのしめ縄が張り替えられているそうです。青いワラの色が新鮮で、「」と呼ばれる3つの房の模様も、下から見ると花のようでした。

神社のしめ縄は、鼓胴(こどう)型・一文字(いちもんじ)型・牛蒡(ごぼう)型に分けられるそうです。(※鼓胴型→中央が太く端にかけて細くなっていく形。一文字型→端から端まで同じ太さで一本の線のような形。牛蒡型→ゴボウのように片方が太くもう一方が細くなっている形。)阿智神社のしめ縄は、きっと鼓胴型でしょうね。

しめ縄によく垂らされている白い稲妻状の紙、これ「紙垂(しで)」と言います。阿智神社のしめ縄には2つ垂れ下がっています。この紙垂、神社(神道)関係のものによく使用されていますよね。なぜこの形状なのか少し調べてみました。どうやら落雷があると稲が育ち豊作となるそうで、稲妻や雷光の形をした紙垂を垂らすことにより、邪悪なものを追い払うという意味があったようです。

   

帰りの南参道で、いいものを見つけました!

南参道の鳥居です👆 鳥居の上に注目してみてください。 筆者の好きなツメレンゲ(過去記事:2020年元日のツメレンゲ美観地区:植物の冬姿(倉敷川沿い)②美観地区の道端で見かけた植物(秋))が生えているのが分かるでしょうか? これまで、美観地区の色んな所で目にしてきましたが、鳥居の上にもしっかり生えていたんですね✨

  

次の年を迎える準備が着々と進んでいる阿智神社でした(^-^)

大原美術館:『二人のブルターニュ人と青い鳥』セリュジエ ~その2~

大原美術館
ポール・セリュジエ(1864-1927)
『二人のブルターニュ人と青い鳥』1919

次に気になるのは、やはり「青い鳥」ではないでしょうか。メーテルリンクの童話『青い鳥』が思い出されます。チルチルとミチルが登場するあのお話です。ただ、チルチルは兄、ミチルは妹、しかもどちらも子どもということで、この絵の二人にはどうも当てはまりもせんね。

中世の女性と鳥の絵がないか探していたところ、見つけました👇

ガースベーク城
『ブルゴーニュのマリアの肖像』
マグダラの伝説の巨匠

この女性はブルターニュではなく、ブルゴーニュのマリアとなっています。でもこの鳥は青くなく、なんだか結構黒い…。お腹がまだらに色が付いていますね。一瞬ハトかなと思ったのですが、少し前に阿智神社の参道で見かけた鳥に似ていることを思い出しました。この鳥は何⁈と思って、写真も撮っていました👇

調べたところによると、この鳥はイソヒヨドリのメスのようです。過去記事(お出かけ:春の海釣り)でイソヒヨドリのオスを紹介したことがありますが、イソヒヨドリのオスはなんと青色なんです👇

出典:Wikipedia イソヒヨドリ

地域によっては、「幸せの青い鳥」と呼ばれます。なんだかちょっと大原美術館の『二人のブルターニュ人と青い鳥』の青い鳥に近付いてきました!ただ、イソヒヨドリのお腹が結構茶色なのが気になります。お腹まで青い鳥はいないかと探したら、いました。ヨーロッパやヒマラヤ周辺に生息するイソヒヨドリの亜種、アオハライソヒヨドリという全身が青色の鳥です。

絵の中の鳥の名前は、どちらもはっきりはしませんが、幸せの青い鳥のオスとメスだったらいいなぁと筆者は思っています。(※ 大原美術館の『二人のブルターニュ人と青い鳥』の青い鳥 の尾は結構長いのですが、アオハライソヒヨドリの尾はそれほど長くはありません。)

     

ところで、前出の「ブルゴーニュのマリア」とは、マリー・ド・ブルゴーニュのことで、14世紀から15世紀に栄えたブルゴーニュ公国の最後の君主だったようです。その1で紹介した、アンヌ・ド・ブルターニュブルターニュュ公国最後の女公でしたね。そしてなんと、二人ともマクシミリアン1世(神聖ローマ皇帝)の配偶者でもあるんです。
〖マクシミリアン1世の配偶者〗
 1477年―1482年 マリー・ド・ブルゴーニュ
 1490年―1492年 アンヌ・ド・ブルターニュ
 1494年―1510年 ビアンカ・マリア・スフォルツア

    

結局、詳細はなに一つ不明のままですが、色々繋がっていそうでとても興味深かったです(^-^)

大原美術館:『二人のブルターニュ人と青い鳥』セリュジエ ~その1~

高貴な女性に青い鳥、物語の一場面のような絵だなと思いました。

大原美術館
ポール・セリュジエ(1864-1927)
『二人のブルターニュ人と青い鳥』1919

【鑑賞の小ネタ】
・ナビ派の画家
・ゴーギャンから指導を受ける
・ブルターニュにゆかりのある画家

ポール・セリュジエナビ派(ポスト印象派の流れをくむフランスで活動した芸術集団)の画家です。ナビ派は、セリュジエがブルターニュ地方のポン・タヴェンを訪れ、ゴーギャンから指導を受けたことから始まったと言われています。ピエール・ボナール(過去記事、大原美術館:『欄干の猫』ボナールエドゥアール・ヴュイヤール(過去記事、大原美術館:『薯をむくヴュイヤール夫人』ヴュイヤール)、モーリス・ドニ(過去記事、大原美術館:『波』ドニ)もナビ派の画家です。こうしてみると、大原美術館はナビ派の画家の作品が充実してますね。

この二人のブルターニュ人、見るからにただものではない感じがします。現代、近代ではなく、中世の高貴な女性っぽく見えませんか? その理由の1つに、額の広さがあります。二人のブルターニュ人の額の生え際に注目してみてください。結構後退しているように見えませんか?14世紀~16世紀のルネサンス期の女性たちにとって、額の広さは美しさの大事な条件だったのです。(額を広く見せるため、脱毛までしていたようですョ。)

その他、昔の高貴な女性は外出時に手袋をしていたことや豪華なコアフ(髪型、かぶり物、髪飾りのこと)等、中世の高貴な女性(特に向かって右の赤い衣装の女性)の特徴を色々と確認できます。

同時期に描かれた似たような作品を見つけました👇

ブレスト美術館
『黄金のネックレスを持つ2人のブルトン人』1917~1920

こちらもやはり、右側の赤い衣装の女性がかなり高貴なご様子です。コアフも金色で豪華ですね。また、背景の葉っぱの緑、その中の青く抜けたところ等、大原美術館のものとよく似ていると思います。制作年に幅があるので微妙ではありますが、こちらの作品の方が先に描かれたのではないかと筆者は思っています。(※ブルトン人とはブルターニュ地方に主として暮らすケルト系民族のこと。ブルターニュ人、ブレイス人ともいう。)

前出2作品に共通する右側の高貴な女性はいったい誰なのかとても気になります。色々調べていたら、こちらの作品を見つけました👇

ヤマザキマザック美術館
『ブルターニュのアンヌ女公への礼賛』1922

ブルターニュのアンヌ女公とあります。コアフの形状が違いますが、前出の赤い衣装の高貴な女性と様子がよく似ていると思います。アンヌ女公なんでしょうか?

アンヌ女公とは、アンヌ・ド・ブルターニュ(1477-1514)のことで、ブルターニュ公国最後の公です。隣国から公国の独立を守ろうとした人物で、ブルトン人の記憶の中で生き続けている女公のようです。
アンヌが生きた同時代の画家の作品がこちら👇

ジャン・ブルディション(1457-1521)
『「アンヌ・ド・ブルターニュの大冒険」の一部』1503年頃~1508年頃

様々な記録から、アンヌ女公は美しく強い女性で、ブルターニュ人にとってかなり人気のある歴史的人物であることが分かりました。その名が建物や通りの名前に使われたり、近年になっても新しく銅像が作られたりする等、その人気は現在でも衰えていない様子です。

セリュジエはブルターニュの歴史に興味を持っていたそうなので、アンヌ・ド・ブルターニュについて当然知っていたと思います。これらのことにより、「二人のブルターニュ人(ブルトン人)」の右側の赤い衣装の高貴な女性は、アンヌ女公だったらいいなぁと筆者は思っています。

ちなみに、多分セリュジエが生きた同時代のブルターニュ人を描いたと思われる作品がこちら👇

カンペール美術館
『水瓶を持つブルターニュの若い女性』1892 

19世紀後半の目の前にいる働く女性たちを描いた感じがします。もしかしたら、この作品も中世の女性なのかもしれませんが、前出3作品とは様子が随分違いますよね。

      

~その2へつづく~

倉敷屏風祭

毎年この頃、倉敷美観地区周辺で開催される「倉敷屏風祭」。
今年は2023年10月14日(土)、15日(日)でした。
いくつか紹介したいと思います。

奥の方に屛風が見えます👇

2023年10月14日撮影
語らい座 大原本邸(旧大原家住宅)
2023年10月14日撮影 
棟方志功(1903-1975)
『花鳥童子図』1941

大原孫三郎(1880-1943)と息子の總一郎(1909-1968)は、棟方志功と親交が深かったようです。この作品は、もとは襖絵だったものを後年切り取って屏風に仕立てたそうです。

次は「倉敷物語館」です👇

2023年10月14日撮影
松林桂月(1876-1963)
『幽山狐村図』

大きな屏風でした。

そして「林源十郎商店」のショーウインドウ👇

2023年10月14日撮影

       

年代物の屏風たちが美観地区のあちらこちらで展示されている中、現代の屏風も👇

2023年10月12日撮影
日本郷土玩具館のショーウインドウ

屏風と共に、丸いガラスがディスプレイされているのが分かるでしょうか?こちらは、ガラス作家のオカベマキコさんが手掛けたものです。夕方から夜にかけての様子はさらに素晴らしかったです。

2023年10月12日撮影

        

【おまけ】
白鳥が上手に乗っていました👇

外国の小さな男の子2人が「スワン!」「ダッキー!」と言い合いをしていて、とても微笑ましかったです(^-^)