番外編:水槽の川魚とエビ

自宅水槽の魚たちは、大暴れです。

カワムツ、オイカワ、アルジイーター and アヌビアスナナ

それぞれが一回り大きくなりました。黒いスジの入ったカワムツが特に成長したように思います。もう一匹小ぶりのカワムツがいたのですが、ある日突然いなくなりました。多分、跳ねて飛び出たのだと思います。ガラスの蓋の隙間は、少ししかないのですが…。水槽の周辺を探しましたが、見つかりませんでした。干からびて煮干しのような状態でいつか見つかるんだと思います。

昨夜、銀色のオイカワが水槽の外に飛び出て、床でピチピチしていました。発見が早かったので、すぐに水槽に戻すことができ、今は元気に泳いでいます。野生の川魚をこんなに真剣に飼ったことがなかったので、色々驚かされます。筆者がこれまで飼っていた、性格がおとなしい混泳向きの小型養殖熱帯魚とは違いますね。とにかく激しい感じがします。

野生種なので、縄張り争いが凄いんです。大きなカワムツがオイカワを追いかけまわします。(昨夜オイカワが飛び出た理由は、筆者がエサをやる時の音に驚いたからなのですが。)調べてみると、カワムツもオイカワも縄張り意識が強い魚のようです。

ヤマトヌマエビが2匹いたのですが、1匹魚たちのエサになってしまいました。脱皮の直後に襲われたのです。残念ながら目撃してしまいました。どの生き物もそうなのですが、脱皮の直後は体がやわらかく、動きも鈍く、狙われやすい状態にあります。脱皮は命懸けなのです。目に付きやすい所で脱皮してしまった結果だと思います。残されたもう1匹は、殻が転がっていたので脱皮はしたようなのですが、現在も無事です。水草の陰に隠れていることが多いです。学習したのでしょうか?そして、水質改善のために一時的に投入している活性炭の袋にしがみついていることもあります。

活性炭袋とヤマトヌマエビ

活性炭袋は水槽内を浮遊しているので、魚たちも不気味に思うのか、近寄りません。良い隠れ場所を見つけたなと感心してしまいました。

隠れる場所を増やすために、水草(アヌビアスナナ)をもう一株投入することにしました。ほんとは、別の水草にしたかったのですが、葉が軟らかいと魚たちが食べてしまうので、今回もアヌビアスナナにしました。丈夫な水草ですからね。

大原美術館:『聖ジャンの祭火』コッテ

焚火のまわりに、何人いるんでしょうね。

大原美術館
シャルル・コッテ(1863-1925)
『聖ジャンの祭火』1900年頃

【鑑賞の小ネタ】
・聖ジャンとは誰なのか?
・絵の中に何人描かれている?
・絵の中の焚火は1つではない。
・この場所はどこなのか?

聖ジャンとは誰でしょうか? シャルル・コッテはフランスの画家なので、フランス語で考えてみたいと思います。 ジャン=バティストまたはジャン・バティストは、フランス語でよく見られる男性名なんだそうです。これは、洗礼者ヨハネにちなんだものです。洗礼者ヨハネの本名は、フランス語で「Jean le Baptiste」なので、聖ジャンとは、洗礼者ヨハネ(聖ヨハネ)のことでいいと思います。

6月24日はキリスト教のお祭り、聖ヨハネ(Saint Jean)の日です。前夜祭として各地で祭りが行われるそうです。夏のクリスマス・イブみたいですね。

出展:Wikipedia 聖ヨハネの前夜祭 フランス

夏至(南半球では冬至)近くのお祭りなので、キリスト教と関係のない各地の夏至祭と結びついて、「火祭り」として祝われることが多いそうです。

ノルウェーの夏至祭のたき火(1906年)

『聖ジャンの祭火』の中に描かれている人たちを見てください。子どもが多いですよね。暗くて何人いるか分からないのですが、結構な人数が集まっていることが予想されます。後方にポツポツと白っぽい点があるのが見えるでしょうか?そこでもきっと火が焚かれているんでしょうね。あちらこちらで「火祭り」が行われていると想像することができます。そうなると、ぐっと絵に奥行きが出てきて、広がった感じがしませんか?

  

ところで、「聖ジャン」と検索をかけて一番に出てくるのは、ジャン=バティスト・ド・ラ・サール でした。初めはこの聖人のお祭りなのかと思っていました。ジャンとヨハネが結びつかなかったもので。ジャン=バティスト、洗礼者ヨハネにちなんだ名前でしたよね。この聖ジャンは、フランスの宗教家(カトリックの司祭)で、教育者でもあったようです。「ラ・サール」と言えば、日本にもこの名が付く学校がいくつかありますよね。その「ラ・サール」なんです。

名前に「ド」があるので、貴族です。当時の西欧では、上流階級の子女だけが、家庭教師からラテン語による教育を受けるのが一般的だったのに対し、平民の子どもにフランス語(日常用語)で教育を行ったそうです。学年毎にカリキュラムも設定し、現代の義務教育の基礎を作ったとも言われています。当時の迫害はすさまじかったようで、1719年に亡くなるのですが、その頃には司祭職をはく奪されています。街の人々にとってジャンは、この頃から聖人としてみられていたようですが、教皇によって聖人に列せられるのは1900年になってからです。なかなか理解されなかったことが分かります。1950年にすべての教育者の守護聖人と宣言されています。

ここで注目です。この絵の制作年は1900年頃です。まさに、ラ・サールが聖人に列せられた時期なんです。偶然だとは思いますが…。 もしかしたらコッテは、ラ・サールが聖人に列せられたことに触発されて、描いたのかもしれません。そして、洗礼者ヨハネの誕生を祝うと同時に、ラ・サールについても祝っているのかもしれません。ちょっと想像し過ぎでしょうかね。 何れにしても聖ヨハネの前夜祭、クリスマス・イブのように盛り上がりそうですね。

大原美術館:『セゴヴィアの夕景』コッテ

なかなかお目にかかれないのですが、大好きな絵です。

大原美術館
シャルル・コッテ(1863-1925)
『セゴヴィアの夕景』1905-1909

【鑑賞の小ネタ】
・スペイン セゴヴィア旧市街は世界遺産
・中心の建物はきっとセゴヴィア大聖堂
・コッテはシャヴァンヌに師事
・版画も手掛ける画家

お城のような中心の建物は、まず、セゴヴィア大聖堂だと思います。16世紀から18世紀にかけて建てられたゴシック様式の大聖堂です。

出展:旅工房HP 「セゴビア 大聖堂」

セゴヴィアの旧市街図を見てみると、スペイン語でcatedral(カテドラル)となっていますが、これは大聖堂のことを意味しています。キリスト教で司教座のある聖堂がカテドラル(大聖堂)ということのようで、教区全体の母教会ということになりますね。

出展:segoviaturismo.es 「セゴヴィアの旧市街図」

お城のような大聖堂なのですが、セゴヴィアの旧市街の西端に本物のお城がちゃんとあります。アルカサルです。スペイン語で城を意味します。このお城はすごいですよ!ディズニーの「白雪姫」のお城のモデルになっています。

出展:Wikipedia  「アルカサル」

コッテは、過去記事でも紹介しましたピュヴィス・ド・シャヴァンヌのもとで学んでいます。シャヴァンヌは壁画等、装飾的な画風でしたが、コッテはそれにそまらず、現実の自然を描くことに取り組んだそうです。

大原美術館の西洋美術の収集に尽力したのは画家の児島虎次郎なのですが、大原コレクションの第1号はアマン=ジャンの『髪』という作品なんだそうです。そしてコッテは、アマン=ジャンの仲間だったようですョ。児島虎次郎はコッテの作品を積極的に購入しています。大原美術館には油彩作品5点、版画作品19点が所蔵されているそうです。(参考資料:大原美術館HP)

ところで、この『セゴヴィアの夕景』、どう観ますか?夕暮れ時ということはよく分かるのですが、夕日に照らされている大聖堂周辺と、手前の暗い部分との差が際立っているように思うのです。単に地形的なものなのかもしれませんが、何か意味があるとしたら、どうでしょう? 城壁のような壁に守られている所と守られていない所との差とでも言うような…。 ただ、写真でも手前が暗めなので、日当たりが悪いだけなのかもしれませんけど。

何れにしてもコッテは、目の前に広がる現実(自然)の中に何かを感じてこの絵を描いたのだと思います。それを色々想像するのは鑑賞側の自由なので、おもしろいですね。

番外編:ストロベリームーン

昨晩は満月でした。2020年6月5日の夜から6日の明け方にかけての天体ショーだったのですが、6月に見られる満月はストロベリームーンと呼ばれます。この呼ばれ方も随分一般に浸透したように思います。

2020年6月5日22時頃撮影 一眼レフカメラ感度低め
2020年6月5日22時頃撮影 一眼レフカメラ感度 高め

今回は、「半影月食(はんえいげっしょく)」も起こるということでした。グラデーションのように片側が少し暗く見える現象です。半影食の最大は、6日の4時半頃ということだったので、頑張って起きてみたのですが、雲がかかっていてよく分かりませんでした。

ストロベリームーンなのだから、イチゴのように月が赤く見えるのかなと思われがちなのですが、月の出、月の入り辺りで若干赤く見えるかな程度のようです。南の空に高く上がっている時は、普通の白っぽい満月の色です。

ところで、夏至の頃は日が長く、太陽の南中高度も高いですよね。冬至の頃はその逆ということはよく知られていますが、満月はどうなのでしょうか? どうやら、満月の南中高度は「夏低くて冬高い」みたいです。ということは、6月の満月(ストロベリームーン)は、低い位置をまわっているということになりますね。

月が赤くなる原理は、朝焼けや夕焼けと同じなんだそうです。月も地平線近くにあるほど赤く見えるということですね。ストロベリームーンに限らず、満月の月の出、月の入り辺りは赤みを帯びるということになるのですが、なぜ、ストロベリームーンは「赤い月」として注目されるのでしょうか? その理由は、この頃の満月が、空の低い位置を通る(地平線から近い位置を通る)ため、地平線近くに満月がいる時間が若干増えることとなり、その結果、赤い満月を観測しやすくなるということだったようです。

【余談】
月には双眼鏡でも見ることができるクレーターがあります。名前は『ティコ』です。月の下部中心辺りにあります。幼い頃から、なぜかこのクレーターのことを凄いと思っています。直径85キロだそうですョ。月の写真を見る時、いつもこの『ティコ』の存在確認をしてしまいます。

出展:Wikipedia
NASAによるティコの写真

番外編:自宅水槽の水草

自宅水槽の水草、アヌビアスナナが、この度花を咲かせました。そこまで珍しいことではないのですが、水の中で咲いた花ということでテンションが上がります。

自宅水槽のアヌビアスナナ

初めはこんな感じで葉っぱみたいにスーッと伸びてきます。2~3日間くらいこの状態だったと思います。

アヌビアスナナの開花

アヌビアスナナは熱帯地域に自生するサトイモ科の着生植物です。中心の棒状の花は、肉穂花序(にくすいかじょ)といいます。花を包んでいる黄緑色の部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)といって、葉っぱが変形したものです。仏像の光背の炎形に似ているからこの名前がついたということなのですが、そうなると棒状の花は仏像ですよね。奥深いネーミングだなと思いました。

アヌビアスナナの花

開花して2~3時間でこの状態になっていました。なんだかミズバショウに似ていますね。 ミズバショウもサトイモ科です。

出展:Wikipedia ミズバショウ

  

アヌビアスナナの花、1日経過したら、こんな感じになってました。

アヌビアスナナの花のアップ

どんどん花の様子が変わって行くので、おもしろかったです。