美観地区の大樹

倉敷美観地区といえば、倉敷川沿いの柳並木も観光スポットの1つですね。定期的に剪定が行われていて、大事に管理されています。

2020年5月撮影 美観地区の柳並木

老木も結構あって、その役目を終えた後には、若木が植えられています。

柳並木の他にも、いくつか巨木を確認することができます。

出展:倉敷物語館前の立て看板
岡本直樹「倉敷川畔美観地区鳥瞰絵図」の一部 使用
『美観地区の巨木分布図』

まずは「阿知の藤」です。
「阿知の藤は有名だと思います。県指定の天然記念物に登録されているようです。 樹齢はなんと300~500年! アケボノフジという珍種なんだそうです。開花当初は淡紅色で次第に白色に変わるという特色があります。アケボノフジとしては日本一の巨樹のようです。

阿知の藤 立て看板
2020年5月撮影 阿知の藤

5月の中旬に行ったのですが、花が確認できませんでした。今年は早咲きだったのかもしれません。幹が凄いのはよく分かります。一時は枯死寸前にまで陥ったことがあったようで、地元住民の働きかけで治療が施されて回復したそうです。

樹勢回復事業は平成29年5月から令和2年3月末までだったようですね! 阿智神社の北側の通路を歩いて行くと阿知の藤です。次回は開花時期ピッタリに行きたいものです。

出展:倉敷市公式観光サイト倉敷観光WEB
2011年5月 阿知の藤

次は「松」です。

2020年5月撮影 「料理旅館 鶴形」の松

「料理旅館 鶴形」の松です。この松の木は、樹齢400年以上ともいわれています。旅館の建物の方は、徳川八代将軍吉宗の時代(1744年)に建てられた商家で、大原邸や大橋邸と並んで倉敷で最も古い由緒ある建物なんだそうです。

次は「メタセコイア」です。

2020年5月撮影 
「倉敷アイビースクエア」のメタセコイア

1957年(昭和32年)に苗木から植えられてもので、驚異的な速度で成長したようです。メタセコイアは、1945年に中国四川省で現存が確認されるまで、絶滅した植物と考えられていて、「生きている化石」と呼ばれることも多いそうです。かつては2本あったのですが、現在は1本です。高さは35メートルで、根元周りは2~3メートルもあるようで、実際見てみるとほんとに大きいですョ。

最後に「センダン」です。

2020年5月撮影 センダンの木

美観地区内の倉敷川沿いには、何本かセンダンの木を見ることができます。江戸、明治期に、船着場付近に植えられたそうです。 この写真のセンダンの木が最も大きいのではないかと思います。

2020年5月撮影 対岸から見たセンダンの木

センダンの開花時期は5月です。淡い紫色の小さな可愛い花を咲かせます。花と同時に実も付いていたのですが、去年の秋の実が残っていたのでしょうか?また、幹の一部がモルタルか何かで塞がれていました。老木なので空洞が出来たのだと思います。丁寧に治療されていますね。

ところで、センダンの木と船着場の関係はとても深いものなので、また次回書きたいと思います。

美観地区の夜の写真②~倉敷春宵あかり~

今年は第14回になるはずでしたが、残念ながら中止となりました。

2017年3月撮影 「倉敷春宵あかり」の和傘あかり

和傘あかりは本当にきれいですョ。

  

2018年3月撮影 倉敷川沿い
2018年3月撮影 倉敷川の水面

水面のあかりの演出は、毎回工夫が凝らされています。夕暮れ時からの散策をお勧めします。

2018年3月撮影 美観地区の路地

来年は無事開催されるといいですね。

続報:タンポポと樹木のシルエット

美観地区のタンポポ、咲き始め

過去記事で種類があやふやだった美観地区のタンポポ、確認してきました。

美観地区倉敷川沿いのタンポポ

花を包んでいる緑色の部分が、反り返っているかいないか で、在来種か外来種かの判断がつくということでした。 緑色の部分をよく見てみると、くるっとなっていませんよね。 予想通り、在来種のカンサイタンポポでいいと思います。
またタンポポは、朝につぼみが開き夕方には閉じます。この写真を撮影した時は昼間ではあったのですが曇りだったのでこんな感じで咲いてました。曇りということでどっちつかずの咲き方になっています。植物の感受性はすごいですね。茎も咲き始めと比べたら随分伸びました。

次にこの樹木のシルエット。

樹木のシルエットとレトロな街路灯

過去記事では、多分センダンの木ではないかと書いたのですが、昼間見てみるとどうも違っていたようです。

昼間の樹木とレトロな街路灯

あまり枝垂れていないのですが、柳だと思います。美観地区の倉敷川沿いといえば、柳並木が有名なのですが、結構センダンの木もあるんです。今の時期(5月)のセンダンは、淡い紫色の小さな花を咲かせています。

美観地区のセンダンの花 5月

シルエットの樹木は、花を咲かせていませんでした。葉っぱの形状や付き方も、センダンとは違うようです。柳でいいと思います。

ところで、樹齢何百年という巨木を美観地区内でいくつか見ることができますのでまた紹介したいと思います。

美観地区にかつてあった茶屋山(城山)

倉敷アイビースクエアの北東辺りに、かつて小さな山があったのを知ってますか?古地図で確認してみると、確かにありました。

出展: 倉地克直『絵図で歩く倉敷のまち』
   窪屋群倉敷村屋敷割絵図(1710年) の一部

この地図では「茶屋山」と書かれていました。「城山」とも呼ばれたといいます。小高い丘のような山だったのでしょうか?以前から気になっていて、今でもその名残がないか、倉敷アイビースクエアの北東部周辺を散策してみました。

アイビースクエアの石垣と薄い水色の歩道橋

北東に行くほど石垣のサイズが大きくなり、段も縦に一段増えていて、緩やかに傾斜しているのが分かります。これは「茶屋山」の名残と考えていいのではないかと思います。薄い水色の歩道橋も架かっていますね。この歩道橋を渡って、倉敷市民会館方面へ行くことができます。

薄い水色の歩道橋 倉敷アイビースクエア側

歩道橋の欄干に注目してください。この形、どこかで見たような…。

薄い水色の歩道橋の欄干

「龍」をかたどっているのだと思います。ヒゲまでちゃんとあります。過去記事でも紹介しました「前神橋」の欄干に似てますよね。龍は縁起物で、しかも大原孫三郎の干支でもあるので、美観地区内の橋には、龍のデザインが施さたものをよく見かけるのですが、ここにもありました。倉敷アイビースクエアの奥まったところにある歩道橋なので、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、興味のある方はぜひ行ってみてください。なかなかかっこいい龍ですョ。

ちなみに、「茶屋山」の名前の由来は、大名茶人であった小堀遠州の茶屋があったからといわれています。

美観地区の夜の写真①

2020年5月撮影 大原美術館

大原美術館は8月中旬まで休館となりました。館内の絵に思いを馳せながら開館を待ちたいと思います。  夜のライトアップは変わらす美しいですョ。

2020年5月撮影 白壁と常夜燈

美観地区内の倉敷川は、そもそも運河だったこともあって、川の流れがほとんどありません。そのため、水面に白壁や樹木が見事に映り込みます。美観地区の夜を撮影する時の1つのポイントだと思います。水面に映る景色は、よく絵画にも描かれますよね。まさに絵になるのです。

 

2020年5月撮影 大きめの路地

  

過去に撮影したお気に入りの写真をいくつか紹介します。

2018年9月撮影 日本郷土玩具館

まるで影絵のような世界観でした。倉敷川を挟んで対面(向こう岸)から撮影しました。中央のオレンジに光る窓は、「日本郷土玩具館」のディスプレイ空間です。この時のディスプレイは、ガラス作家の方が手掛けたものだったと聞いています。とても芸術性の高いもので感動しました。 ※この写真の筆者なりの撮影のポイントは、柳のシルエットと行き交う人の影です!

2018年3月撮影 美観地区の樹木と街路灯

下から見上げると、「モチモチの木」のようでした。小学校国語で習いますよね。「モチモチの木」の正体はトチの木です。この木は多分、センダンの木だったと思います。また調べておきます。街路灯はガス灯ではありませんが、世界的な照明デザイナー石井幹子プロデュースの街路灯(過去記事「レトロな街路灯」で紹介)で、形状等とても雰囲気があります。また、写真中央の奥に小さく見える木のシルエットも気に入っています。

2018年3月撮影 人力車

一本奥に入った路地を撮影していたら、後ろから静かにスッと人力車が通り過ぎました。人力車は美観地区内を軽やかに走っています。路地、白壁、なまこ壁、街路灯、人力車。ザ・美観地区といったところでしょうか。夕暮れと相まって、お気に入りの一枚となりました。