番外編:やりたい放題のアルジイーター

おかしなことが続きました。

倒された流木
浮遊する水草(アヌビアスナナ)
顔を出し過ぎのシジミ

間違いなく何かが起きています。確信したのは、これを見た時です。

完全に出て来たシジミ

シジミが自らこんな風に底砂の上に出て来ることはまずないです。何者かにほじくり返されたに違いありません。今までの経験上、 コリドラスがここまで掘り返すことはまずありません。底砂の表面をモシャモシャしている程度ですから。新入りのトランスルーセントグラスキャットはどうでしょうか?ひっそり生活をしているので、これもなしだと思います。 アルジイーターしか考えられません。犯人は絞られました。

倒された流木は、アルジイーターがきっと体当たりしたか、木の下をほじくったかしたのでしょう。浮遊する水草(アヌビアスナナ)は、根元をほじられて、根が底砂から抜けてしまったという感じでしょうか? その様子はまるでラピュタの世界です。

引用:スタジオジブリ
  『天空の城ラピュタ』より

そんな疑惑満載のアルジイーターの今の定位置がここです。

流木の下のアルジイーター

見えるでしょうか? なんと流木の下にいるんです。これだけ掘れるのなら、シジミを掘り返すことくらい何でもないことでしょうね。

しばらくアルジイーターを観察しました。なんと、シジミの上に口を付けて何かやっているではありませんか!食べることはないと信じていたので、ちょっと衝撃的な光景でした。慌てて調べました。アルジイーターが貝類を食べることはまずないとされていたので、少し安心しました。ところが、川魚水槽専門サイトで、ドジョウがシジミを食べたという記述を発見してしまったのです!動揺しました。アルジイーターはドジョウの仲間です。何とも悩ましい…。

とりあえず、アルジイーターのすみかから少しシジミを離すことにしました。

シジミが自分の力で底砂の中に潜ってくれないかなと思いしばらく見ていたのですが、殻を硬く閉じたままで、変化なしでした。このままではまたアルジイーターに吸い付かれてしまうと思い、アルジイーターのすみかからさらに遠ざけて、筆者が底砂の中にそっと埋めてやりました。

少し顔を出したシジミ

底砂に埋めた次の日、少しシジミが顔を出していました。その時、水管も出ていたので、大丈夫そうです。まだアルジイーターには気づかれていない様子です。やれやれです。

それにしても、大暴れのアルジイーターなんですが、なぜか憎めないアルジイーターです。

流木の下から様子をうかがうアルジイーター

番外編:クワガタの産卵木が凄いことに!

数日前のことです。深夜にかけて、コクワガタの飼育ケースから音がしていました。これ、メスが産卵木を割る音なんです。次の日、飼育ケースを開けて見てみると、変化ありです!

コクワガタの産卵木

樹皮が浮いているのが分かりますか?もう少し覗いてみます。

コクワガタの産卵木

ぐるりと樹皮が剥がされていました!メスが頑張りました。素晴らしい。中の白木部分は、いい感じに朽ちていました。コクワガタのメスは見当たらなかったのですが、多分、産卵木の下側にいるんだろうと思います。あまり刺激して産卵の邪魔をしてはいけません。少し開かせてもらった樹皮を元通り白木に被せ、飼育ケースの蓋を閉じました。

この時、樹皮をあらかじめ剥いた状態でセットすることを思い出しました。久しぶりだったのですっかり忘れていました。ただ、樹皮を剥く剥かないについては意見が分かれるところのようです。あらかじめ剥いておくとメスの負担が軽減されることは確かなのですが、樹皮が無いことで乾燥したり、朽ち木に必要な菌の勢いが弱まったりもするので悩ましいところなんです。ちなみに、朽ち木の繊維質は、幼虫の大事なエサになります。

それにしても、虫の力は強いですね。一夜にして樹皮を剥ききりました。あんなに小さなコクワガタのメスがこれですから、オオクワガタのメスはとてつもない力の持ち主だったということですね。(※過去に飼育経験あり)

筆者撮影:オオクワガタのオスとメス

過去に飼育していたオオクワガタのオスとメスです。中がほとんど空洞状態になった樹皮の中で、仲良くじっとしているところです。この様子を見る限りでは、樹皮を剥かずにセットするのも、やっぱりありだなと思いました。ちなみに筆者は、クワガタの中ではオオクワガタが一番好きです。賢く、穏やかで、ケンカをするのは必要な時だけです。いいですよねェ。

ということで、コクワガタのメスも順調です。

番外編:60㎝水槽の新入り熱帯魚

川魚が30㎝水槽へ引っ越した後、60㎝水槽は本来の熱帯魚水槽に戻りました。水槽の中間域を泳ぐ魚がいなくなったので、新たに3種類の熱帯魚が仲間入りしました。

ネオンドワーフレインボー

ネオンドワーフレインボーです。3匹購入しました。まだ2.5㎝ほどなのでオスとメスの区別がはっきりしませんが、多分、オス2匹、メス1匹だと思います。この写真のネオンドワーフレインボーは多分メスだと思います。優雅に1匹で泳いでいました。他の2匹はクルクルと追いかけ合っていました。縄張り争いかメスの取り合いでしょうか、大抵2匹で小競り合いをしています。
見た目が、婚姻色の出た日本のタナゴにちょっと似てますね。

    

ラミノーズテトラ

ラミノーズテトラです。2匹購入しました。定番の熱帯魚で、弱酸性を好み、調子が良いと顔の赤が強く出ます。パイロットフィッシュ(テストフィッシュ)としても有名で、性格が穏やかなので他の魚との混泳に適しています。

トランスルーセントグラスキャット

トランスルーセントグラスキャットです。1匹購入しました。どこにいるのか分かりますか? 頭部を除く体が、なんと透けているんです。

トランスルーセントグラスキャット

ナマズの仲間で、2本の長いヒゲをもっています。中間域を群れで泳ぐタイプの魚なんですが、1匹しか投入しなかったためか、いつも水草の陰に隠れています。エサも、サッと取りに行っては水草の下で食べています。こんなに用心深い魚だったとは思いませんでした。過去に飼育した時の様子は、優雅に中間域をユラユラ泳いでいる印象でしたので。確かあの時は4~5匹ほど泳がしていました。随分違うものですね。

新入りの熱帯魚たち、本日で2週間が過ぎました。みんな元気に過ごしています。

ロートレックとボナールのポスター(リトグラフ)

筆者がアートに興味を持つきっかけとなった作品がこちらです。

『ディヴァン・ジャポネ』1892
トゥールーズ=ロートレック (1864-1901)

高校生でした。幼い頃から絵に親しみを感じてはいたのですが、「この絵好き!」と強く思ったのはこの作品が最初です。全体のバランス、色、お洒落な文字、そしてリトグラフ(石版画)。何もかもがとてもセンス良く感じたことを覚えています。今でもリビングの壁に飾っています。他にも色んな作家の作品(ジクレープリントポスター)をいくつか飾っていて、時々展示替えをして楽しんでいるのですが、この絵だけは替えずにずっと展示したままにしています。しかも筆者がいつも座っているソファーの位置の真正面に。今でも好きが止まりません。

このポスターの場面は、カフェ・コンセール(19世紀後半から20世紀のはじめのフランスのショーを見せる飲食店の形態)の「ル・ディヴァン・ジャポネ(le Divan Japonais)」というお店の中です。「ディヴァン・ジャポネ」を直訳すると「日本の長椅子」で、お店の内装は日本風に飾られていたそうです。 黒いドレスの女性は人気の踊り子のジャンヌ・アヴリル、片眼鏡の男性は音楽評論家のエドゥワール・デュジャルダン 、奥の顔の見えない黒い長手袋の女性は歌手のイヴェット・ギルベールです。

出展:Wikipedia 
   ジャンヌ・アヴリル1893年
イヴェット・ギルべール

次の作品も大好きです。ロートレック1作目のポスターです。

『 ムーラン・ルージュのラ・グーリュ 』1891
トゥ―ルーズ=ロートレック

パリに新しくできたダンスホールの宣伝用広告ポスターです。このようにセンスの良いロートレックのポスターが、街のあちらこちららに貼り付けられていたと想像するだけでテンションが上がります。ロートレックの展覧会で実物を観たことがあるのですが、かなり大きいですョ。畳一畳分くらいはあったように思います。

中心で踊る女性は、ムーラン・ルージュ(パリのモンマルトルにあるキャバレー。フランス語で「赤い風車」)の看板ダンサーのラ・グーリュです。手前の黒いシルエットの男性は、ダンスの名手の「骨なしヴァランタン」です。まるで骨がないみたいに踊ったそうです。

ラ・グーリュ

ロートレックのポスター(リトグラフ)に興味を持って、他にどんな作品があるのだろうと色々と画集を見ていたら、ロートレックではないのですが似たような作品を見つけました。

『フランス=シャンパーニュ』1891
ピエール・ボナール(1867-1947)

このポスターの存在自体は以前から知っていたのですが、ロートレックの影響を受けた作家の作品かなと思ったぐらいで、あまりこの作品について深めていませんでした。 あのナビ派の画家ボナールが手掛けたポスターだったんですね。しかも、ボナールがロートレックにリトグラフを勧めたというではありませんか。

ボナールのこのポスター 『フランス・シャンパーニュ 』は、ポスターのデザインコンクールで優勝しています。1891年にパリの街に登場したこのポスターを見たロートレックは衝撃を受けたそうです。ボナールを探し出し、印刷者を紹介してもらうなど、アグレッシブに行動したようです。

ボナールの『フランス・シャンパーニュ 』の制作年は1891年、ロートレックの 『 ムーラン・ルージュのラ・グーリュ 』の制作年も1891 年です。ロートレックはすぐに制作に取り掛かったのでしょうね。

同じテーマで制作した2人の作品があります。こちらです。

『ラ・ルヴュ・ブランシュ』1894
ピエール・ボナール
『ラ・ルヴュ・ブランシュ』1895
トゥ―ルーズ=ロートレック

「ラ・ルヴュ・ブランシュ」とは、1889年に創刊された芸術雑誌のことです。 この2作品は、雑誌の宣伝用ポスターということですね。雑誌の発行人タデ・ナタンソンの妻であるミシアが、この雑誌のミューズ(画家たちが敬愛する女性たち)で、宣伝用ポスターのモデによく登場しています。この2作品の女性のモデルもミシアで大丈夫だと思います。

出展:Wikipedia ミシアとトゥールーズ=ロートレック

ロートレックのリトグラフ「ディヴァン・ジャポネ」から始まった筆者のアートへの興味は、今もなお続いています。不思議なもので、あまりピンとこない作品でも、今では興味を持って観ることが出来るようになっています。
好きなこと(もの)が増えると、ささやかではありますが、日々の生活が少し楽しくなるものですね。

大原美術館:『欄干の猫』ボナール

猫が2匹、かわいいですね。

大原美術館
ピエール・ボナール(1867-1947)
『欄干の猫』1909

【鑑賞の小ネタ】
・ボナールはナビ派の画家
・日本美術の影響あり
・左下の人はボナールの妻マルト
・欄干の形状が謎
・2匹の猫は何猫?

絵筆のタッチが印象派っぽいですが、ボナールはナビ派(神秘主義的で装飾的な画面構成が特徴)のフランスの画家です。最後の印象派と言われることもあるそうですョ。またボナールは、日本美術の影響を強く受けていて、屏風のような作品も制作しています。

オルセー美術館
『乳母たちの散歩、辻馬車の列』1897

『欄干の猫』に戻ります。猫が2匹、欄干の上にいますね。色はどうでしょう?白色、黒色、薄い茶色、灰色が見えます。灰色はもしかしたら、影かもしれませんね。白、黒、茶となれば、三毛猫でしょうか?

出展:Wikipedia キジ三毛

三毛猫は種類ではなく、白、黒、茶の3色の毛をもつ猫のことをいうそうです。原産国は日本ですね。そして、猫好きでなくても広く知られていることかもしれませんが、三毛猫のほとんどがメスです。オスが生まれる確率は数万分の一と言われています。また、短くて丸いしっぽは日本猫にしかいないとされていて、西欧や北米では、ジャパニーズボブテイル、愛称「ミケ」として珍重されているそうです。

ボナールは「ナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ)」と呼ばれていたようなので、『欄干の猫』の猫も、三毛猫だったいいなと思いました。 

猫の種類はともかく、ボナールは猫好きだったようです。多くの作品の中に猫が登場しています。

オルセー美術館
『白い猫』1894
ナンシー美術館
『子どもたちの昼食』1897
愛知県美術館
『子どもと猫』1906
ミネアポリス美術研究所
『田舎の食堂』1913

『田舎の食堂』の中の子猫、見つけられましたか?

『欄干の猫』のその他のモチーフを見てみます。右上の柳のように枝垂れている植物は何の木でしょうか?葉っぱの色と形から、筆者にはオリーブのように見えるのですが、枝垂れているオリーブの木を見たことがありません。剪定せずに大木になったら、このように枝垂れるのでしょうか? また、中心に描かれている赤い花、これは、ゼラニウムのように筆者には見えます。フランスではバルコニーを飾る人気の花なんだそうです。

出展:Green Snap ゼラニウム

ただ、絵の中の赤い花は丸い花瓶に生けられてるように見えます。ゼラニウムは基本的には鉢植えだと思うので、これは問題ですね。そして豆知識なのですが、ゼラニウムは防虫効果があるようです。 ちょっと鉢を動かそうものなら、葉(たぶん葉だと思います)が擦れてかなり匂います。そのため窓辺に置くと、室内への虫の侵入を防いでくれるんだそうです。この絵の場所は、屋内なのか屋外なのかよく分かりませんが、屋内と屋外の間のような所ではないかと筆者は思っています。ゼラニウムが置いてあってもおかしくない場所かもしれませんね。

何れにしても、絵の中の植物の判定は難しいです。

最後に、左下の小さな人です。妻のマリア・ブールサン(通称マルト)なんだそうです。1893年に出会って以降、ボナールの作品に描かれる女性は、ほとんどマルトです。最初、大人にしては小さいので子どもだと思って見ていました。妻マルトが描かれていると知ってからも、ちょっと違和感がありましたが、次の作品で納得しました。

フィリップス・コレクション
『棕櫚の木』1926

手前の女性、もちろんマルトです。スッと入れ込むように描いていますね。ちょっと『欄干の猫』のマルトの描き込み方に似ていると思いました。マルトが中心に描かれている作品も数多くあるので、この描き込み方はどうよ?と思っていましたが、ボナール的にはありなんですね。むしろ、いつもどこかにマルトです。

フィリップス・コレクション
『犬を抱く女』1922

マルトを中心に描いていますね。この他、裸婦像等、ボナールはマルトを描いた作品を数多く残しています。

【おまけ】
欄干の幅、どう思いますか? 広いような狭いような…。 花瓶が猫に倒されそうな…。