美観地区の道端で見かけた植物(秋)

切り株かと思いましが、木製の電柱の名残りかもしれませんね。

車も通る道路のわきで見つけました。鉢植えのような仕上がりでしたが、多分、自然にこうなったのだと思います。苔は「ホソウリゴケ」か「ギンゴケ」でしょうか? どちらも、道路わき、石垣、コンクリート塀などでよく見かける苔のようです。少し紅葉したツタも生えていますね。しかも葉っぱがハート形。 倉敷アイビースクエアのアイビーの葉とは形が違うようです。多分「ハートアイビー」だと思います。

                  

向かって右側は紅葉した萩ですね。注目してほしいのは、水面近くの石垣に見えるピンクの花です。

こんな所にも。

なかなかの生命力ですね。よく見かけるピンクの丸い花で、「ヒメツルソバ」と言います。原産地はヒマラヤで、多年草です。葉っぱは秋になると紅葉するので、花も葉もとてもきれいです。日本にはロックガーデン用として明治時代に導入されたそうです。

    

この花もよく見かけますよね。「ハナカタバミ」と言います。南アフリカ原産で、江戸時代に渡来したそうです。多年草で、秋から冬によく見かける花です。美観地区の路地裏に咲いていました。この路地は、人が一人通れるくらいの細い路地で、 筆者お気に入りの路地なんです。

     

2020年11月の「ツメレンゲ」です。過去記事(2020年元旦のツメレンゲ)でも紹介しました。真冬の時よりもブリブリしている感じがしました。屋根の上に確認できる数も秋の方が多かったです。

     

この一角は素晴らしかったです。倉敷川の「くらしき川舟乗り場」の近くなんですが、注目してほしい植物が写っています。木の根元付近に生えているシダ植物です。「オニヤブソテツ」ではないかと思います。過去記事(鶴形山:かつて島だった名残り)で紹介しましたが、海岸近くの岩場やその周辺に多く見られるシダなんです。ここにも、倉敷川がかつて海に通じる運河だった名残りがあったということです。
その他、前出のヒメツルソバカンサイタンポポ(在来種)、そして石垣に生えているシダ植物は「イノモトソウ」だと思います。

        

過去記事(鶴形山で見かけた植物(夏))で紹介しました「マメヅタ」です。茶色の胞子がびっしり付いた胞子葉が出ていました。マメヅタの胞子葉はヘラ形で、写真のように立ち上がります。

         

今回紹介した植物はどれも、特に珍しいというわけではありません。(ツメレンゲはちょっと珍しいですけど。)普通にその辺で見かける植物たちです。人に管理され大事に育てられた植物は確かに美しいのですが、自然の中で見かける何でもない植物もなかなか良いものですョ。

大原美術館:『サン=ドニ風景』ヴラマンク

積み木にような建物がたくさん描かれていますね。

大原美術館
モーリス・ド・ヴラマンク(1876-1958)
『サン=ドニ風景』1908

【鑑賞の小ネタ】
・この水面は川の水面?
・ヴラマンクはフォーヴィスムの画家
・セザンヌの影響あり
・ヴラマンクは文筆家でもあった

ポール・セザンヌ(1839-1906)没後1年(1907年)に、サロン・ドートンヌでセザンヌの回顧展 が開催されました。ヴラマンクはセザンヌにとても触発され、1908年頃からセザンヌの影響を強く受けた作品を数多く残しています。 大原美術館の『サン=ドニ風景』の制作年は1908年なので、セザンヌの影響を受けた初期の作品ということになりますね。 次の作品はセザンヌの作品です。

ワシントンナショナルギャラリー
ポール・セザンヌ (1839-1906)
『ガルダンヌから見たサント・ヴィクトワール山』1886-1890

どうでしょう? 建物の形や色、ヴラマンクの『サン=ドニ風景』ととてもよく似ていると思いませんか? セザンヌ「自然の中のすべての形態を円筒、球、円錐で処理する」という言葉を残していますが、ヴラマンクの『サン=ドニ風景』も確かにそんな感じに 描かれていますよね。

セザンヌから、キュビスムや抽象絵画が派生して行きます。角ばった感じの建物がそれを思わせますが、興味深いことに、ヴラマンクは終生キュビスムを非難したそうです。

ヴラマンクはフォーヴィスム(20世紀初頭のフランスで発生した前衛運動の1つ。原色を多用した強烈な色彩と荒々しい筆使いが特徴。)の画家としても有名です。確かに『サン=ドニ風景』の筆のタッチは荒々しいですね。でも、色彩はどうでしょう? 比較的抑え目に描かれている思います。これは、セザンヌの影響を受けた後だからのようです。ちなみに、 セザンヌの影響を受ける前(1906年)の フォーヴィスムの特徴がよく表れている作品がこちら。

ポーラ美術館
モーリス・ド・ヴラマンク
『シャトゥー』1906

後景の建物は『サン=ドニ風景』とよく似ていますが、前景の樹木の色使いはかなり激しいですね。フォーヴィスムっぽいです。 次の作品は、さらに色濃く フォーヴィスムの特徴が表れています。こちらの制作年も1906年です。

ポンピドゥーセンター
モーリス・ド・ヴラマンク
『赤い木のある風景』1906

    

ところで、『サン=ドニ風景』の第一印象はどんな感じだったでしょうか? 筆者は、横半分に鏡写しのような絵だなと思いました。地上の建物が主なのか、水面に映る建物が主なのか分からなくなるくらいです。水面の映り込みは、普通もう少し控えめに描きそうなものですが、そこはフォーヴィスムの画家ヴラマンクですね。

この絵は川の水辺を描いたものでしょうか?湖かもしれませんね。ということで、サン=ドニの地図でそれらしい場所がないか探してみました。丁度、20世紀初頭のサン=ドニの地図がありました。

出典:Wikipedia  20世紀初頭のサン=ドニの地図

向かって右下から左上に流れる川があります。川の中をよく見ると、「Canal S. Denis」の文字が見えます。canalと言えば運河のことです。川のように見えますが運河だったようですね。そしてこの運河はセーヌ川に流れ込みます。
その他、適当な川や湖は見当たりませんでした。多分、『サン=ドニ風景』の水辺は、「サン・ドニ運河」の水辺を描いたものではないでしょうか? 運河だとすると、川の流れがそれほど激しくないと考えられるので、あのように建物がはっきりと映り込むのも納得です。

20世紀初頭のサン・ドニ運河がこちら。水の流れをあまり感じません。

出典:Wikiwand 20世紀初頭のサン・ドニの町にあるサン・ドニ運河

現在のサン・ドニ運河がこちら。

出典:#ExploreParis HP   サン・ドニ運河

こちらも穏やかな水面です。水辺の景色や建物が映り込んでいるのがよく分かります。

運河と言えば、倉敷川もかつては運河(過去記事、倉敷川の水源続・倉敷川の水源)でしたよね。美観地区内の倉敷川の水の流れもとても穏やかで、柳や白壁が見事に映り込みます。無風だとさらに鮮明に映り込み、まるで鏡のようです。ちなみに夜景(過去記事、美観地区の夜の写真①)がおすすめです。

『サン=ドニ風景』の水辺が、運河の水辺なのかどうか、もちろん断定はできませんが、筆者は運河推しです。

    

ポーラ美術館
モーリス・ド・ヴラマンク
『湖』1913

この湖は、アルプスの麓の町アヌシーのアヌシー湖 と考えられいるそうです。『サン=ドニ風景』の構図とよく似ていますね。しっかり建物が水面に映り込んでいます。

水鏡状態になるのは、やはり湖か運河でいいのではないかと思っています。

倉敷川の生き物~イシガメ編~

美観地区から倉敷川沿いを歩いて南下することにしました。倉敷川の生き物を歩道からチラチラ見ることを忘れてはいけません。

倉敷川の水源(過去記事、倉敷川の水源)辺りには、小魚がたくさん泳いでいました。 いつものように白鳥もいましたョ。

2020年11月14日撮影 倉敷川の水源辺り

この白鳥はコブハクチョウだと筆者は思っています(過去記事、美観地区:倉敷川の生き物)。そして、写真では分かりにくいと思いますが、川魚もたくさん写っているんですョ。かなりの数です。ほとんどが日本の在来種だと信じています。

美観地区を出る頃、今日はスッポンを見なかったなぁと思いました。さらに倉敷川沿いを歩いていたら、なんと‼

黄土色に輝く亀がプカ~と浮いているではありませんか! 遠目から見てもスッポンではないことは明らかでした。まさかのイシガメ⁈ かなりテンションが上がりました。黄土色の甲羅と言えばイシガメなんです。現在イシガメは、環境省レッドリストで準絶滅危惧種となってい て、野生ではなかなか出会えなくなってきているカメなんです。
川や池、用水路で見かけるカメは大抵、アカミミガメかクサガメです。ちなみに、アカミミガメ外来種で、幼体はミドリガメ(夜店でよく売られていたあの小さな緑色のカメ)と呼ばれていましたね。そして、クサガメは在来種という認識でしたが、現在では外来種の可能性が高いとされています。
また、一昔前まで、イシガメ(二ホンイシガメ)の幼体は銭亀として親しまれていました。現在は、イシガメの個体数減少により、クサガメの幼体が銭亀として販売されているそうです。

在来種のイシガメ(二ホンイシガメ)はこんな感じのカメです。

出展:BIO PARK 長崎バイオパーク HP 
   二ホンイシガメ

筆者が見つけたカメはこれです。👇

倉敷川で筆者が見つけた水中を泳ぐカメ

どうでしょう? 似てると思いませんか?
イシガメ(二ホンイシガメ)の特徴を詳しく調べてみました。

前出の長崎バイオパークの二ホンイシガメの写真を引用して説明したいと思います。まず、顔が細長くシュっとしています。首の辺りに目立った模様はあまりないようです。足の横際に黄色(オレンジ色)の線が入っています。尻尾は比較的長めです。甲羅は黄褐色で、山形に隆起した筋(キール)が1本縦に通り、お尻周辺部分はギザギザと波打っています。

ほぼ、合致するのではないかと思うのですが…。
ちなみに、アカミミガメは顔の横に赤いラインが入るので判別しやすいです。クサガメについては、全体的に黒っぽく、甲羅に山形の隆起(キール)が3本入ります。

   

石垣と水面の落ち葉と水中のカメ

カメがどこにいるか分かるでしょうか?
しばらくカメと一緒にゆっくり南下しました。歩道から写真を撮り続けていたので、すれ違う歩行者の方々には、ちょっと不思議な光景だったと思います。特に何もない倉敷川をバシャバシャ撮影しているように見えたはずですから。
もう、顔を出しては来ないだろうなと思っていたら、

ちょっとだけ出て来ました(^-^) その後、カメは水草の中へ潜って行き、やがて見えなくなりました。

甲羅のサイズは20㎝くらいあったと思います。イシガメなら多分メスです。成体でもオスは13㎝程度、メスは20㎝程度までなんだそうです。メスの方が大きいんですね。イシガメの平均寿命は20年~30年といわれていますが、15年~20年という見解もありました。何れにしても、イシガメだとすると、立派な大人の亀ということになります。元気いっぱいのおばあちゃん亀です(^-^) またいつ会えるか分かりませんが、このまま穏やかに過ごしてほしいものです。

   

カモもいましたョ。

ヒドリガモ、かな? 日本で最も普通に見られるカモで、渡り鳥として全国に飛来するそうです。

美観地区:2020年11月の紅葉

とても天気が良かったので、美観地区を歩いてきました。

2020年11月14日撮影  語らい座 大原本邸(旧大原家住宅)付近

木の間から見える紅葉の写真、何かが写り込んでいます。どうでしょう? 木に同化してしまって、なかなか見つからないと思います。

2羽のハトがいます。キジバト(過去記事、美観地区のキジバト)ではないですね。そして、カワセミ(過去記事、美観地区:紅葉の中の宝石)でもありません。木の間からの紅葉の撮影中にハトの存在に気が付いて、そのまま写り込ませました。2羽で仲良く行動していましたョ。

この撮影場所は、 語らい座 大原本邸(旧大原家住宅)付近 です。向かい側は、大原美術館喫茶エル・グレコになります。

2020年11月14日撮影  喫茶エル・グレコ

喫茶エル・グレコは、大原美術館のすぐ側にあるツタの絡まる喫茶店です。夏には青々と茂っていたツタも、すっかり秋の景色になっていました。

  

2020年11月14日撮影  紅葉した萩

倉敷川沿いのです。向かって左端に見える建物は有隣荘です。どちらかが、白い萩(過去記事、美観地区:白い彼岸花と白い萩)だったような気がするのですが…。もう少し近寄って、散り残っている花の色を確認すればよかったです。萩の紅葉は、カエデ系の紅葉と比べると筆者的には今一つのイメージだったのですが、今回はなぜか良いなと思いました。それまでは気づかなかったことでも、年を経て何となく感じることが出来るようになることってありますよね。そんな気分でした。 萩の紅葉、いいですね(^^)/

ちなみに、絵画鑑賞も同じことが言えると思います。同じ絵でも見る状況が変われば、随分見え方が違ってくると筆者は思っています。

もう少し歩いて、倉敷アイビースクエアのツタを見に行ってみました。

2020年11月14日撮影  倉敷アイビースクエア

どんどん紅葉が進んでいる様子です。
ツタの合間に見える木の扉と丸みを帯びた小窓が好きです。日本の小中学校の教科書にも採用されているオー・ヘンリー『最後の一葉(The Last Leaf)』を思い出しませんか? 煉瓦の壁を這う蔦はほんとに雰囲気がありますね。

2020年11月14日撮影  倉敷アイビースクエアの中庭

アイビー(ツタ)と煉瓦、緑のパラソルに青い空がとてもきれいでした。

番外編:コクワガタ(メス)の越冬状況

お母さんコクワガタの飼育ケースを越冬用にリセットして、5日経ちました。リセット初日に昆虫ゼリーを食べて以来、お母さんコクワの姿を見ていません。順調に越冬していることと思います。そっとしておくことが一番と分かっているのですが、どうしても気になって、ちょっと覗いてみることにしました。

のぼり木の周り等見てみましたが、お母さんコクワはやはりいないようです。のぼり木の下にいるかもしれないと思い、のぼり木を取り出してみました。

いませんね。でも、クヌギマットに穴が開いています。ここからさらに下へ潜って行ったのでしょうか? クヌギマットの上半分は固めていないので、割り箸でチョコチョコ探ってみました。案の定、黒い物体を発見することは出来ませんでした。ある意味、予想通りです。どうしようか迷いましたが、固められていない上半分のクヌギマットを斜めにして取り除いてみました。 すると…

いました‼ チラッとお尻の半分が見えています‼

固められていないクヌギマットと固められたクヌギマットの境界辺りに、ちゃんといました(^-^) 予想通りの展開に大満足です。
略図で示すとこんな感じです。

黒の楕円がお母さんコクワです。お尻がちょっと出ています。

早々に飼育ケースを元の状態に戻して、蓋を閉じました。お母さんコクワにしてみたら、大迷惑だったと思います。今後はそっと見守ろうと思います。