番外編:新入りの熱帯魚スファエリクティス・バイランティ

熱帯魚水槽に新しくスファエリクティス・バイランティが仲間入りです。

スファエリクティス・バイランティ

チョコレートグラミーによく似ています。

出展:Wikipedia チョコレートグラミー

過去に、チョコレートグラミーは飼ったことがありましたが、スファエリクティス・バイランティ を飼ったことはありませんでした。よく似た魚たちですが、スファエリクティス・バイランティの方がシュッとしていますね 。 そして、スファエリクティス・バイランティは見ての通りチョコレートグラミーの仲間で、ゼブラチョコレートグラミーとも呼ばれています。通称バイランティです。かつては幻の美魚だったんですョ。

バイランティは、成魚になるとメスの方が派手な色になります。

出展:Amazon HP  スファエリクティス・ バイランティ 1ペア

手前がオスで奥がメスになります。メスにはシマシマが強く出ていますね。さらにメスは赤く発色します。

出展:Amazon HP  スファエリクティス・ バイランティ  メス

生き物は、大抵オスの方が派手な色になることが多いと思いますが、バイランティはメスなんですね。日本に入って来た頃、オスメス逆で認識されていたそうですョ。

筆者が買ってきたバイランティは、まだ幼魚なので断定はできませんが、多分オスだと思います。

チョコレートグラミーは水質に敏感なのですが、バイランティはチョコレートグラミーほど敏感ではありません。でも、今回は、いつもより丁寧に水合わせ(購入した魚が入ったビニール袋の中に、水槽の水を少しずつ時間をかけて入れて行き、魚を水槽の水質に徐々に慣らしていく作業)をしました。水合わせ終了後は、ビニール袋からバイランティが自分で出て行くのを持つことにしました。

なぜか後ろ向きでお尻から出て行きました。
自分から恐る恐る出て行くバイランティ、ちょっと応援したくなりました。暴れん坊のアルジイーターがどう反応するのか心配です。水槽の世界に上手く馴染んでくれると良いのですが…。

その日の夜、水槽を覗くと、上層部でホバーリングしていました。

夜のスファエリクティス・バイランティ

大体、水槽の上層部を泳いでいます。コリドラスたちとアルジイーターは、基本的に底砂辺りを泳いでいるので、棲み分けは大丈夫なのではないかと思います。

バイランティの日中と夜間の体色の違いにお気づきでしょうか?かなり違いますね。この場合、光に照らされているかいないかだと思いますが、体色の変化は、他の熱帯魚にも見られることです。例えば、顔が赤いラミノーズテトラ(過去記事、番外編:60㎝水槽の新入り熱帯魚)は、夜寝ている時、顔の赤みがほとんど無くなっています。その他、何らかのストレスがかかった時、体色を変化させる熱帯魚もいます。

ところでこのバイランティ、ある川魚に似ていると思いませんか?

オヤニラミの幼魚

オヤニラミです。肉食性の淡水魚で、日本の在来種です。 そして絶滅危惧種です。 この写真のオヤニラミは4㎝ほどでまだ幼魚なんですが、成魚は10㎝前後になります。この「オヤニラミ」という興味深い名前の由来は諸説あります。その中の「激しい攻撃性とオス親が卵や稚魚を外敵から守る習性から、親がにらみを効かすということでオヤニラミとなった」という説が筆者は好きです。

余談ですが、どうも筆者は、日本の川魚のような熱帯魚が好きみたいです。

番外編:コクワガタ(メス)の越冬準備

だんだん寒くなってきましたね。室内なのでそこまで寒くはならないのですが、そろそろお母さんコクワの冬の準備です。過去記事(番外編:久しぶりに本気でクワガタ飼育)でも書きましたが、コクワガタは越冬するんです。

そもそも越冬を想定して飼育ケースをセットしていたのですが、たくさん卵を産んでくれたので、最初の状態と随分変わってしまいまいた。というわけで、リセットです。

飼育ケースを開けても、すぐには見つかりません。大抵クヌギマットの中に潜っています。 結構深く潜っていました。

2020年11月9日撮影  お母さんコクワガタ

一瞬、動かない?!と思って、緊張が走るのですが、まず大丈夫です。というのも、コクワガタのメスの死んだふりは完璧なんです。足を折り曲げて、ちょっと突いても微動だにしません。この演技力は、クワガタの中でもトップクラスではないかと筆者は思っています。

足の欠損もなくピカピカして元気そうです。

では、飼育ケースをリセットします。
まず、成虫用のクヌギマットを敷き、霧吹きで湿らせて、上から固めます。

固めたクヌギマットの上に、固めないそのままのクヌギマットを敷きます。その上に木(今回は市販の「のぼり木」)を置きます。

今回は市販の「のぼり木」を使用しました。100均にもよく売っている「のぼり木」です。ほとんどの「のぼり木」に穴が開けられているので、そこに昆虫ゼリーを流し込みます。越冬中もエサは必要です。時々出てきて食べますので。

これでセット完了です。時々霧吹きをするのを怠ってはいけません。

すぐに動きがありました!

頭隠して尻隠さず状態がしばらく続きました。

ズンズン潜って行きました。気に入ってくれたようです。
ところで、飼育ケースのどの辺りで越冬するのでしょうか?

コクワガタ越冬用飼育ケースの略図

略図の黒い楕円辺りが、越冬ポジションと考えています。のぼり木の下を越冬ポジションと想定した理由は、木をのけた時よくそこにいるからです。そして、固められたクヌギマットと固められてないクヌギマットの境界についても、同じく、その辺りでよく見かけるからです。多分、硬いものの側が安定するのではないでしょうか? 崩れそうでふわふわしていたら、ゆっくり眠れませんよね。また、越冬中も水分は必要ですので、固い(硬い、堅い)ものの側の方が乾燥しにくいことも関係しているかもしれません。 虫も人も、冬の乾燥に保湿です。

リセットされた飼育ケースの蓋をちょっと開けてみました。

クヌギマットから出てきて食事中でした(^-^)
越冬中も、エサと水分、必要ですね。

※越冬飼育セットについては、飼育者によってこだわりがあり、意見が分かれるところです。数ある中の1つとして読んでいただけると有難いです。

大原美術館:『コップと瓶』ホアン・グリス

この色合いがとても好きです。

大原美術館
ホワン・グリス(1887-1927)
『コップと瓶』1917

【鑑賞の小ネタ】
・キュビスムの画家
・ピカソのアトリエの近くに住んだ
・コラージュの作品あり
・黄金分割を重視

グリスは、キュビスム(様々な視点から見た面を1つのキャンバスに収める)の代表的画家パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックの影響を大きく受けた画家で、ピカソと同じスペイン出身です。ピカソやブラックの近くに住んでいたこともあるようですョ。

大原美術館の『コップと瓶』は油彩画ですが、コラージュ作品も多く手掛けています。コラージュとは、フランス語でのり付けを意味する言葉で、新聞の切り抜きや壁紙、書類などを組み合わせて作品にします。次の作品はグリスの1914年のコラージュ作品です。

個人蔵
ホワン・グリス
『ザ・サンブラインド』1914
コラージュ、グワッシュ、木炭、チョーク

次の作品はピカソの1912年のコラージュ作品です。

ワシントン大学アートギャラリー
パブロ・ピカソ
『グラスとシュズの瓶』1912
コラージュ、グワッシュ、木炭

よく似ていますね。

グリスは黄金分割を重視していたようです。 黄金分割とは、線分を2つの部分に分割するとき,線分全体の長さと大きな部分の長さの比が,大きな部分と小さな部分の長さの比と等しくなるようにすることです。 線分 AB上に点 Pがあり、AB:AP=AP:PBまたは AB×PB=AP²ということですが、ちょっと解り辛いですよね。よく耳にする黄金比の世界の話なんです。最も近い整数比は2:3となっています。ハガキをイメージしてみてください。縦100ミリ×横148ミリで、縦横比はほぼ2:3になっていますね。A4のコピー用紙にしても、縦210ミリ×横297ミリでちょっと誤差はありますが、2;3となっています。きっとこの2:3というサイズが納まりが良いと人は感じるのでしょうね。

また、色彩にもこだわっていたようです。

ホワン・グリス
『バイオリンと新聞』1917
出展:Wikipedia マンセルの色相環

正反対の位置にある色を補色、正反対の色の隣近辺の色を反対色と言います。大原美術館の『コップと瓶』はそうでもないのですが、『バイオリンと新聞』では茶色や黄緑色の中に青色が塗られていて、補色・反対色の概念を取り入れているのが分かります。

筆者は基本的に同系色が好きなのですが、補色・反対色を作品の中に取り入れた方が、絵にアクセントが付いて目に留まるような気がします。ファッションで言えば、差し色という感じでなんだかセンス良く見えてきます。色彩の世界も奥深いですね。

【豆知識】
向かい合わせにある色(補色)を混ぜると灰色になります。

番外編:再び水槽の水質検査

前回の水質検査(過去記事、番外編:水槽の水質検査)からほぼ3カ月が経ちました。この期間に、底砂(ソイル)を大幅に取り除きました。熱帯魚たちは大騒ぎでしたが、現在は落ち着いた生活を送っているように見えます。相変わらずアルジイーターは大暴れなんですが…。

特に不満はなかったのですが、底砂大改革があったので、念のため水質検査をすることにしました。前回と同じく、BICOM の水質検査キットを使用しました。

左から、pH、アンモニア(NH₄⁺)、亜硝酸(NO₂⁻)、硝酸(NO₃⁻)となっています。ほとんど問題なしだったのですが、左から2番目のアンモニアの色に注目です。黄色過ぎます(-_-) これは問題です。青色だとだめだということは分かっているので、とりあえずは大丈夫なのかなと思ったのですが、黄色にもほどがあります。気になるので、違ったタイプの水質検査キットを使用してみることにしました。

Tetra テスト6 in 1

Tetra社の「テスト6in1」という水質検査試験紙です。この試験紙1枚で、pH、KH(炭酸塩硬度)、GH(総硬度)、 亜硝酸(NO₂⁻)、硝酸(NO₃⁻) 、Cl₂(塩素)が検査できます。肝心な アンモニア(NH₄⁺)がないのですが、亜硝酸と硝酸が問題なしなら、その水質はまず大丈夫なので、良しとしました。水槽の水にサッと浸けます。

随分色が変わりました。どんな結果が出るかドキドキです。

硝酸(NO₃⁻) がちょっと危ないですが、ギリギリ大丈夫だと思います。 亜硝酸(NO₂⁻)は全く問題なし。 GH(総硬度 )はOKラインのど真ん中です。 KH(炭酸塩硬度)もOKラインど真ん中と言って良いと思います。pHは6.8、弱酸性で筆者の水槽的には理想です。 Cl₂(塩素)もOKでした。
GH(総硬度 ) とは、硬水とか軟水とかの話で、4°dH~16 °dH がほとんどの淡水魚に適しているそうです。 Cl₂(塩素)は、要は水道水のカルキ抜きがちゃんとできているかどうかの話です。

とりあえず、熱帯魚水槽の水質は問題なさそうです。見た目の濁りもなく、濾過バクテリアがちゃんと活躍していることを信じでいます。

魚たちも特に変わりなく元気にしているので、きっと大丈夫なんでしょう。アルジイーターが、底砂が薄くなった分あまり砂を掘れなくて、もの足りなそうではありますが…。時々コリドラスに八つ当たりしています。

ところで最近、水草の花が咲きません。一時期、次々と咲いていたのですが、今は葉っぱがモリモリしているだけです。水草的に、花を咲かせていた時は春だったのでしょうか? 水槽内の水温は一定なので、季節を感じることができるとは思えないのですが、どうなんでしょう?また、調べてみたいと思います。

多くの巨匠が描いた『受胎告知』

過去記事(大原美術館:『受胎告知』エル・グレコ)でも紹介しましたが、大原美術館のエル・グレコによる『受胎告知』はほんとに有名ですね。この作品が日本にあることが奇跡とさえ言われています。

大原美術館
エル・グレコ (1541-1614)
『受胎告知』1590年頃―1603年 

筆者がまだ名画についてそこまで深めていない頃、『受胎告知』と言えばエル・グレコ、エル・グレコと言えば『受胎告知』という感じでした。ご存じの方も多いかと思いますが、『受胎告知』は多くの巨匠たちが手掛けたテーマなんですよね。あのレオナルド・ダ・ヴィンチも制作しています。

ウフィツィ美術館
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)
『受胎告知』1472年―1475年頃

筆者的には、後景の樹木の描き方が好きです。
絵画で描かれる「受胎告知」の場面は、マリアの前に大天使ガブリエルが降りてきて、聖霊によってマリアがキリストを妊娠したことを告げ、マリアは戸惑いながらも受け入れるというものです。この聖霊、精霊(自然に宿るとされる霊的な存在)とは違います。「三位一体」の三位⇒《父(神)と子(イエス)と聖霊》の聖霊です。  ちなみに聖霊の象徴として鳩がよく描かれています。

その他、巨匠たちが描いた『受胎告知』をいくつか紹介します。

サン・サルヴァドール聖堂
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1488/1490年頃―1576)
『受胎告知』1559-1564
ウフィツィ美術館
サンドロ・ボッティチェッリ(1445-1510)
『受胎告知』1489年頃
アルテ・ピナコテーク収蔵
フィリッポ・リッピ(1406-1469)
『受胎告知』1443

ところで、聖母マリアの表情や手の動きに注目してみてください。同じ『受胎告知』というテーマでも、聖母マリアの様子で、どの段階を描いたものか、何となく想像できるんです。前出の5作品について、筆者なりに時系列でちょっと想像してみたいと思います。

ティツィアーノ : マリア様は手に本(旧約聖書)を持ったまま、「え?」という感じでとても驚いているように見えます。たった今、大天使ガブリエルが現れたといったところではないでしょうか? 5作品の中では、この作品が最も初めの段階のような気がします。

ボッティチェッリ :マリア様は驚きのあまり引き気味のように見えます。大天使ガブリエルは腰をかがめて懸命に受胎を伝えている様子です。受胎告知の初期段階のようではありますが、ティツィアーノよりは後かなと。どうでしょう?

エル・グレコ:振り向いて手をあげていますが、驚いた時の手の動きではないように思います。そして、マリア様の表情も比較的落ち着いていますよね。大天使ガブリエルのお告げを受け入れましたという場面なのではないでしょうか?

レオナルド・ダ・ヴィンチ:このマリア様はかなり落ち着いた表情をしています。大天使ガブリエルに受胎告知されても、あまり動揺しなかったのではないかと思うくらいです。大天使ガブリエルも冷静に告知中、または告知の終盤という感じに筆者には見えます。受胎告知の最終段階に入ったところでどうでしょうか?

フィリッポ・リッピ:マリア様も大天使ガブリエルもとても落ち着いています。受胎告知も無事終わり、全てを受け入れた雰囲気が漂います。レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知よりも、さらに後の段階ではないかと思います。

以上、筆者がピックアップした5作品だけでも、色々想像できるんです。まだまだ多くの巨匠たちが『受胎告知』を描いていますので、どの段階を描いたものなのか想像しながら鑑賞するとおもしろいかもしれませんね(^-^)

もう1作品、ルーベンスの『受胎告知』です。

ウィーン美術史美術館
ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)
『受胎告知』1609

ルーベンスと言えば「フランダースの犬」ですよね。ネロ少年がどうしても見たかった絵画の作者です。(※ネロが見たかった絵は『受胎告知』ではありません。)
何か気づきませんか?エル・グレコの『受胎告知』と共通しています。大天使ガブリエルとマリア様の位置に注目してみてください。そうなんです、大天使ガブリエルが向かって右側、マリア様が向かって左側に描かれているんです。こちらの方がイレギュラーのようですョ。『受胎告知』の多くは、向かって右側にマリア様、向かって左側に大天使ガブリエルが描かれるそうです。

右側と左側で、何か意図するものが違うのでしょうか?
「右」は英語で「right」です。ところがこの「right」、「正しい」という意味もありますよね。なぜ 「right」 に 「右」 「正しい」の意味があるのか調べてみました。すると、古代ローマ人は体の右側を善とし、体の左側には悪霊が宿ると信じていたというものがありました。その他にもたくさんの説がありましたが、古来より、右の方が何かしら正しいとされてきたことは分かりました。

そうなると、「正しい」とされる右側にどちらを描くかは大問題ですよね。大天使と神の子イエスを身ごもるマリア様をどう捉えるかということになります。
少し気になったのが、エル・グレコとルーベンスが活躍した時代は1600年前後で、その他の巨匠たちより後の時代になっています。16世紀のヨーロッパでは「宗教改革(カトリック教会の内部に起こり、プロテスタント諸教会を生み出した宗教的、政治的、社会的な変革運動)」が起こっているので、何か関係がありそうですね。
宗教上の難しい話になってきそうなので、筆者の考察はここまでにしたいと思います。

【豆知識】
プロテスタント(新教)よりカトリック(旧教)の方が、マリア様を特別視していることが多いようです。