薄明かりの街:グリムショー

薄っすらと光が灯る街の通りを描いた絵が筆者はなぜか好きです。部屋の壁に飾っているお気に入りの絵画ポスターがこちら。

ジョン・アトキンソン・グリムショー(1836-1893)
『ランドゲートサーカスからのセントポールの眺め』1885

ジョン・アトキンソン・グリムショーの作品です。イギリスの画家で、都市の風景を多く描きました。グリムショーの作品は直接顧客へ渡ることが多かったので、あまり知られていないかもしれませんね。 知る人ぞ知る系の画家だと思います。

グリムショーについて色々調べていると、ジョン・アトキンソンではないのですが、似たような絵画がたくさん見つかります。どうやらジョン・アトキンソンの子どもたちの絵のようですョ。ジョン・アトキンソンの子どもで画家になったのは、 Arthur E. Grimshaw (1864–1913)、Louis H. Grimshaw (1870–1943)、Wilfred Atkinson Grimshaw (1871–1937)、Elaine Grimshaw (1877–1970) の4人ということです。

アーサー・エドモント・グリムショー(1864-1913)
『The Strand』1899
ルイス・H・グリムショー(1870-1943)
『エジンバラのロイヤルマイルの眺め』
Museum of Glooucester
ウィルフレッド・アトキンソン・グリムショー(1871-1937)
『Gloucester Docks』

どうでしょうか。雰囲気が似ていると思いませんか?

お父さんのジョン・アトキンソン・グリムショーの絵画に戻ります。中央奥の建物は、セント・ポール大聖堂です。その歴史は古く、最初に建設されたのは607年頃なんだそうです。焼失、再建を繰り返し、現在に至るようです。歴史的ランドマークであるセント・ポール大聖堂は、第二次世界大戦下でドイツ軍による空爆を受けました。その時、当時の首相ウインストン・チャーチルが「セント・ポールはまだ立っているかね」と尋ねたことは有名ということです。

ところで、ジョン・アトキンソン・グリムショーと同じ時代に活躍した画家にウィルフレッド・ボスワース ・ジェンキンス(1857-1936)がいます。ジョン・アトキンソンの方が20才ほど年上なのですが、かなり画風が似ているんです。こちらです。

エジンバラ博物館
ウィルフレッド・ボスワース・ジェンキンス(1857-1936)
『  The Scott Monument 』

ジョン・アトキンソンと同じくイギリスの画家です。既に画家として成功していたジョン・アトキンソンの影響を強く受けたようですね。

お父さんグリムショー、凄いですね(^-^)

お出かけ:ときわ公園(山口県宇部市)② ~支え合う木~

ときわ公園で野外彫刻(過去記事、お出かけ:ときわ公園(山口県宇部市)①~ UBEビエンナーレ)を見て回っていたら、凄い木を目にしました。

幹の色が違う2本の木が、かなり斜めになりながら支え合って立っていたんです。

ちょっとまわって見てみました。太い木の方がメインで支えているのかと思いきや、むしろ細い木の方がしなやかに支えている感じがしました。

「支え合う木」で検索をかけてみると、結構出て来ます。動物だけでなく植物もお互いを支え合うのだ!という内容のものが多かったです。 じっと見ていたら、確かにそんな感じがしました。植物、凄いですね。勉強になります。

そして、なぜこんなに斜めになったのかも気になるところです。

公園内には、色んな種類の椿も咲いていました。

ところで、椿とサザンカ、見分けがつきますか?よく似ていますよね。見た目で見分けるポイントをいくつか書いてみます。

椿の花の方が筒状で立体的
サザンカの葉のふちはギザギザ
・花が散る時、椿は花首から落ち、
 サザンカは花びらが落ちる。

その他の見分けポイントに、開花時期があります。椿の開花時期は12月~4月で、サザンカは10月から12月です。春は椿で秋はサザンカということなのですが、冬の少しの間、12月あたりがかぶるんです。この時期の椿とサザンカを素敵に見分けられるようになりたいと筆者は密かに思っています。植物に詳しい方々が、事も無くすぐに見分けている様子はかっこいいですよね。
そして、よく見かけるわりに区別が難しい植物の代表格と言えば、アヤメ、カキツバタ、ショウブだと思います。これらもいつか見分けられるようになれたらさぞかしかっこいいだろうなと筆者は思っています。

以上のように、ときわ公園を歩くと多くの植物を見ることができます。その他、ときわミュージアム『世界を旅する植物館』という施設もあるので、また入館してみたいと思います。

お出かけ:春の海釣り

久しぶりの釣りです。波止(ハト)釣りです。

釣りを始めて間もなく、同じ鳥が周回しているのに気づきました。

青と赤茶色の鳥で、なんだかきれい。釣りで使用するエサ(ゴカイなど)を狙っていたんだと思います。釣りのエサにはミミズみたいなゴカイや小ぶりのエビを使うことが多いのですが、海にいる鳥に空からよく狙われます。
筆者は過去に、ゴカイをごっそりカラスに持って行かれた経験があります。そういえば、ルアー (疑似餌。魚やエビ、ゴカイなど様々な形状のものが存在する。)も…。カラスは光る物に興味を示すとよく言われますよね。キラキラルアーをくわえて大空へ飛び立つカラスの姿を見た時の喪失感といったら。
とにかく要注意なんです。

今回見かけた鳥は、イソヒヨドリでした。

出典:Wikipedia イソヒヨドリ

イソヒヨドリは、磯や岩場、港に多く生息しているスズメ目ヒタキ科に分類される鳥のようです。ヒヨドリとあるので、よく見かけるあのヒヨドリ(庭木の熟した実を食べられてしまった経験を持つ方は多いのではないでしょうか?)の仲間なのかと思いましたが、ヒタキの仲間だったんですね。(※ヒタキの仲間は青色や黄色等、きれいな色をした鳥が多いです。) 地域によっては、「幸せの青い鳥」と呼ばれることもあるそうですョ。

磯に小魚が寄って来ていました。

ボラの幼魚の群れ

ボラの幼魚だと思います。
そして、魚が釣れました!

タケノコメバルだと思います。ゴカイをエサにして釣ったのですが、なんと口からたくさんのボラの幼魚が出て来ました。

ボラの幼魚

この日の釣果は、タケノコメバルソイでした。

タケノコメバルとソイ

20㎝はありませんが、まあまあのサイズです。
擬態でしょうか?体色どんどん変化しました。

タケノコメバルもソイもメバルの仲間ですが、一般に店頭で見かけるメバルとはちょっと違います。

煮つけにして大事にいただきました!

大原美術館:『吊るされた鴨』スーティン①

鴨の頭はどこだと思いますか?

大原美術館
シャイム・スーティン(1893-1943)
『吊るされた鴨』1925

【鑑賞の小ネタ】
・ロシア出身のユダヤ人画家
・エコール ド パリの画家の1人
・モディリアーニがよく面倒をみた
・動物の死骸の作品他にもあり

この画像だと、何となく分かるかもしれませんが、実物はもう少し全体的に暗めで、頭がどこなのかなかなか判別できません。筆者もしばらくの間、鴨は頭を持ち上げているとばかり思っていました。 鴨の口ばしを焦点に、ぜひ探してみてください。(※鴨の頭は下を向いています。)

ところで、このテーマで描くと決めたシャイム・スーティンとはどんな画家だったのでしょうか? モチーフとして、吊るされた死んだ動物をなかなか選ばないと筆者は思うのです。どうでしょう?

スーティンは、マルク・シャガール藤田嗣治(レオナール・フジタ、フランスに帰化した画家)と親交があったようです。そして少し先輩のアメデオ・モディリアーニは、スーティンの面倒をよく見ていたといいます。モディリアーニが描いたスーティンがこちら。

個人所蔵
アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)
『シャイム・スーティンの肖像』1916

スーティンは、ロシア帝国(現ベラルーシのミンスク州)のスミラヴィチのユダヤ人家庭の11人兄弟の10番目として生まれました。村で最も貧しい一家だったそうです。また体も弱かったため、家の手伝いもできず、兄弟たちからは邪魔者扱いされていました。なかなか大変な幼少期を過ごしたようですね。

スーティンは肖像画や風景画も描いていますが、静物画については、動物の死骸をテーマにすることが多いようです。

プライベートコレクション
『ホワイトダック』1925
オランジェリー美術館
『摘み取られた鶏』1925
オルブライトノックス美術館
『牛の死骸』1925

なかなかのインパクトですよね。制作年が全て1925年になっています。1920年にモディリアーニが亡くなったあたりから、スーティンの作風が変化し始めたということなので、何か関係があるのかもしれません。ちなみに、次の静物画は1917年頃に制作されたものです。

『ニシンとタマネギのある静物画』1917年頃

ニシンの死骸ではありますが、随分印象が違います。この作品からは、そんなに激しい感じはしませんよね。

スーティンは1933年以降、殆ど創作しなくなったそうです。そして第二次世界大戦中、ユダヤ人であるスーティンはゲシュタポ(ドイツの秘密国家警察)から逃れるため、フランスの村々を転々としました。 一時期、経済的に裕福な時もあったようですが、スーティンの人生は一貫して困難であった言えそうです。

そんなスーティンですが、バーンズ・コレクションで有名なアメリカの大コレクター、アルバート・C・バーンズは、「スーティンはゴッホよりもはるかに重要な画家である」と絶賛したそうですョ。

レトロ銭湯「戎湯(えびすゆ)」♨

「倉敷春宵あかり」(過去記事、倉敷美観地区:倉敷春宵あかり2021、倉敷美観地区:倉敷春宵あかり2021で見かけたその他のアカリ)を見て回った後、「えびす湯」の前を通って帰宅です。

戎湯(えびすゆ)外観

えびす湯の前を通るたびに、なんとレトロな雰囲気だろうといつも思っています。大正末期創業と言われていて、まさに大正ロマンです。

営業案内の看板

この看板のデザインとロゴが好きです。

昼間前を通ると、営業しているのかどうか不安になるのですが、夜になるとしっかり明かりが灯っていて、訳もなくほっとします。営業時間は16時からのようですね。えびす湯2020年5月26日のTwitterによると、営業はコロナ禍の営業時間短縮により20時までとなっていて、定休日は毎週水曜日になっていました。現在は、そもそもの営業終了時間21時(22時?)に戻っているのかな?ちょっとよく分かりません。

丸い電球の中に赤い字で「ゆ」とあります。

このレトロな2つの玄関灯がたまりません。アールヌーボー(植物など有機的な曲線デザインが特徴)を思わせる、丸い電球を支えるS字曲線がいい味を出していると思いませんか? そして丸い電球の下の横長の玄関灯、昔よく見かけた気がするのですが、どうでしょう? 玄関灯(門灯)って、大抵こんな感じじゃなかったですか? まるでタイムスリップしたかのようです。

えびす湯の外観を色々あつく語っていますが、なんと筆者はまだえびす湯に足を踏み入れたことがないんです。中はどうなっているのでしょう? 調べてみると、レトロな外観と同じく、内装もほとんど当時のままのようで、下駄箱やロッカーは木づくりなんだそうですョ。 そして、浴槽は1つの大きな御影石から掘り出されているとのことでした。 すごいですね!

「健康浴石風呂 えびす湯」とあります。石風呂と言えば、サウナみたいなあの石風呂(岩風呂)を一瞬イメージしてしまいますが、「えびす湯」の場合、浴槽が石でできた風呂という意味だったんですね。

レトロ銭湯「えびす湯」、根強いファンがいること間違いなしです(^-^)

【情報】
「戎湯(えびす湯)」
 倉敷市鶴形2-1-5
 086-422-5177
 営業時間:16時~
 定休日:水曜日