アンニュイ(フランス語で 「倦怠感」「退屈」「物憂さ」) な雰囲気ですね~。作品名は「想い」です。
【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・フランス象徴主義を代表する画家
・靄(もや)がかかったような画風
・彫刻家ロダンと親交
・「アカデミー・カリエール」を創設
カリエールは、29歳で結婚し、7人の子どもに恵まれました。妻や子どもの日常の姿を数多く描いています。穏やかな優しい目線で描かれた作品から、「母性の画家」とも称されているようです。
『想い』のモデルは誰なのでしょうか? モデルの女性の年齢は、筆者には十代後半に見えます。鑑賞者によっては、もう少し年上に見えるという意見もあると思いますが。ちなみに、次の作品のモデルの詳細は、はっきりしています👇
手紙を読んでいるのはカリエールの長女エリーズ(9歳)、こちらを見ているのは次女マルグリット(5歳)とされています。カリエールは家族をモデルにすることが多いので、『想い』のモデルもきっと家族の誰かだと筆者は思っています。仮に『想い』のモデルが長女エリーズだとすると、制昨年1893年当時は、15歳ということになります。
『想い』のモデルと首の角度や顔の輪郭が似た作品を見つけました👇
この絵の作品名には「娘」とはっきりと記されていますね。 ヴァイオリンを弾く女性 が長女エリーズとすると、12歳頃になります。
ところで、『想い』と制昨年が同じ1893年の作品があります👇
この女性は十代には見えませんね。カリエールの娘ではないと思います。モデルの多くが家族ということで、カリエールの妻でしょうか?
そしてカリエールの妻と次男ジャン=ルネ(1888~1982) の肖像画がこちらです👇
家族の肖像画を見ていて思ったのですが、カリエールの子どもたちの髪の色は薄めの色(ブロンド、明るい茶色等)だったのではないかと。そのため、眉毛の色も薄くなり、眉の形がはっきりしないということになります。妻の髪の色はどうでしょう?子どもたちと比べて濃いめのように思います。眉も子どもたちよりはくっきりしています。
ということで、『想い』のモデルはカリエールの妻ではなく、長女エリーズ推しです。
また、カリエールは画塾「アカデミー・カリエール」を創設しています。このアカデミーからは、アンリ・マティス(1869-1954)やアンドレ・ドラン(1880-1954)という有名な画家が輩出しています。
それにしてもカリエールの絵画は、フランス映画のようですね…。