大原美術館:『想い』カリエール

アンニュイ(フランス語で 「倦怠感」「退屈」「物憂さ」) な雰囲気ですね~。作品名は「想い」です。

大原美術館
ウジェーヌ・カリエール(1849-1906)
『想い』1893年頃

【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・フランス象徴主義を代表する画家
・靄(もや)がかかったような画風
・彫刻家ロダンと親交
・「アカデミー・カリエール」を創設

カリエールは、29歳で結婚し、7人の子どもに恵まれました。妻や子どもの日常の姿を数多く描いています。穏やかな優しい目線で描かれた作品から、「母性の画家」とも称されているようです。

『想い』のモデルは誰なのでしょうか? モデルの女性の年齢は、筆者には十代後半に見えます。鑑賞者によっては、もう少し年上に見えるという意見もあると思いますが。ちなみに、次の作品のモデルの詳細は、はっきりしています👇

個人蔵
『手紙』1887年頃

手紙を読んでいるのはカリエールの長女エリーズ(9歳)、こちらを見ているのは次女マルグリット(5歳)とされています。カリエールは家族をモデルにすることが多いので、『想い』のモデルもきっと家族の誰かだと筆者は思っています。仮に『想い』のモデルが長女エリーズだとすると、制昨年1893年当時は、15歳ということになります。

『想い』のモデルと首の角度や顔の輪郭が似た作品を見つけました👇

『ヴァイオリンを弾く娘』1900年頃

この絵の作品名には「娘」とはっきりと記されていますね。 ヴァイオリンを弾く女性 が長女エリーズとすると、12歳頃になります。

ところで、『想い』と制昨年が同じ1893年の作品があります👇

エルミタージュ美術館
『テーブルに肘をつく女性』1893

この女性は十代には見えませんね。カリエールの娘ではないと思います。モデルの多くが家族ということで、カリエールの妻でしょうか?

そしてカリエールの妻と次男ジャン=ルネ(1888~1982) の肖像画がこちらです👇

個人蔵
『カリエール夫人とジャン=ルネ』1902

家族の肖像画を見ていて思ったのですが、カリエールの子どもたちの髪の色は薄めの色(ブロンド、明るい茶色等)だったのではないかと。そのため、眉毛の色も薄くなり、眉の形がはっきりしないということになります。妻の髪の色はどうでしょう?子どもたちと比べて濃いめのように思います。眉も子どもたちよりはくっきりしています。

ということで、『想い』のモデルはカリエールの妻ではなく、長女エリーズ推しです。

   

また、カリエールは画塾「アカデミー・カリエール」を創設しています。このアカデミーからは、アンリ・マティス(1869-1954)やアンドレ・ドラン(1880-1954)という有名な画家が輩出しています。

     

それにしてもカリエールの絵画は、フランス映画のようですね…。

お出かけ:岩屋(岡山県総社市の山)を歩く

岡山県総社市の鬼城山(きのじょうさん)の古代山城「鬼ノ城(きのじょう)」を聞いたことがあるでしょうか? 大和朝廷によって国の防衛のために築かれたとされていますが、歴史書には一切記されていません。謎めいた山城として有名で、昭和61年に国史跡指定、平成18年には「日本100名城」に選定されています。そして、あの温羅(うら:古代の鬼)伝説とも密接に関係している史跡なのでロマンあふれます✨ 山の頂上に立地しているので、遠くからでも確認できますョ。

今回歩いた山は「鬼ノ城」の隣りのエリア、「岩屋」です。鬼ノ城エリアの山道はかなり整備されていますが、岩屋エリアの方は自然な雰囲気の山道がほどよく残っているので、山を歩いたなーっと感じるのは岩屋エリアの方なのではないかと思っています。

山歩きの経験豊富な友人と一緒だったので、安心して周りをキョロキョロしながら歩くことが出来ました。感謝です。 鬼城山ビジターセンターの駐車場に車を置いて、そこから歩きました。

岩屋エリアには奇岩・巨岩が数多く見られ、とても興味深かったです。今回はその中の2つを紹介したいと思います。

まずは「汐差岩」です。

岩屋案内図
(※岩屋駐車場のトイレ前に設置されている箱の中にあります。)

岩が割れています❕

こうなってくると、大人気アニメ(マンガ)「鬼滅の刃」のワンシーン、主人公の竈門炭治郎(かまど たんじろう) が修行中に巨岩を刀で割るというあのシーンを思い出す人も多いのではないでしょうか?今日の「鬼滅の刃」ブームのためなのか、日本各地で割れた巨岩がSNSでアップされています。岩屋の「汐差岩」もぜひ仲間に入れてほしいものです(^-^) 
※岩屋エリアには、鬼城山の鬼ノ城が近いためか「鬼の○○岩」等、鬼絡みのものがいくつかあります。

汐差岩からの眺め

次に、汐差岩のすぐ側にある「方位岩」です。とても気になるネーミングです。方位が分かる岩なのでしょうか? 

巨岩の上に、特徴的な形をした岩が乗っています。

スマホのコンパス機能で、方位を調べてみましたが、きちっと方角を示しているというわけではありませんでした。筆者がよく解ってないだけなのかもしれませんが…。多分、巨岩の上に岩がポンと乗っているこの様子が、方位磁針(羅針盤)に似ているということなのかなと。

「鬼ノ城」の築城年は推定で7世紀後半頃ではないかと言われています。この辺りの奇岩・巨岩の名称もその頃から付けられていたとすると、方位磁針の形状も現在のものとは当然異なっているはずなので、ちょっと調べてみました。

出典:Wikipedia   復元された漢代の羅針盤

復元された漢代の羅針盤です。スプーンのようなものが乗っています。そして漢代からすでに羅針盤はあったようですね。前漢は紀元前206年~8年、後漢は25年~220年なので、何れにしても随分昔から四角い板状のもの(方位盤)の上にスプーン状の天然磁石が乗った羅針盤が存在していたということですよね。
ちょっと方位岩の形状に近付いたような気もするのですが…。

さらに調べると、3世紀頃から中国国内では、磁力を持った針を木片に埋め込んだ「指南魚(魚 の口の部分が南を向くようにつくられていて、文字通り、南を指す魚というものが使われていたようです。
魚! 形状がさらに近付いたと感じるのは筆者だけでしょうか?

「方位岩」は、前出の「岩屋案内図」には記されていませんが、「汐差岩」と並んで位置していますので必見です👍

「鬼ノ城」エリアだけでなく、「岩屋」エリアも色々見どころ満載ですので、少しずつ紹介したいと思います。

番外編:熱帯魚スファエリクティス・バイランティの「眼」

以前から、バイランティの眼には線があるなぁと思っていました。

これだと、どこに眼があるのか分かりませんよね。
次の写真だと、少し眼が傾いているので分かりやすいかもしれません。

筆者が飼育している他の魚たちには、眼の中に線などは無く、いわゆる普通の眼をしています。ちょっと不思議に思ったので調べてみました。

どうやら、大事な器官である「眼」を、敵の攻撃から守るためにカモフラージュしている、ということのようです。

他に、眼に線のある魚はいないでしょうか?
有名どころでは、次の魚です。

出典:Wikipedia  チョウチョウウオ

海水魚のチョウチョウウオです。 黒色の模様の中に黒色の眼。 これはもう、どこに眼があるのか分かりませんよね。

       

ところで、次の写真を見てみてください👇

ヒレが閉じられているのが分かるでしょうか?とてもスリムな印象です。尾ビレはあまり変化していないように見えますが、この半分ぐらいになったりもします。バイランティはヒレを閉じて細ーくなる時があるということが言いたいわけです。 フクロウ(アフリカオオコノハズク)がびっくりすると細くなるあの感じに似ていると思います。

そして、黄色で囲んだ部分に黒色の斑点模様があるのが分かるでしょうか?想像してみてください。尾ビレがもっと口ばしのように細くなってこの位置に黒の斑点、こうれはもう「眼」にしか見えないと思いませんか? つまり、バイランティの本来の眼と黒の斑点模様、どちらが本物の眼(頭)なのか分からなくなるということです。
これは魚の「眼状紋(がんじょうもん)」だと思います。(※眼状紋とは、動物の体に見られる眼のように見える模様のことです。)もちろん、大事な器官である「眼」を守るためのもので、魚類の他にも様々な生き物に見られます。

海水魚でこんな魚がいます👇

出典:Wikipedia クロホシイシモチ

この魚の眼状紋は分かりやすいですね。口から眼の辺りにも線があって、なんだかそういう意味ではバイランティと似ています。海の魚ですけど。

    

バイランティは、おとなしい魚なので、確かに攻撃されやす魚なのかもしれません。でも、眼の中に線があったり、状況によって体色を変化させてみたり、体を細ーくしてみたり、眼状紋を装備したりと、実はなかなか頑丈な体のつくりをしている魚なのではないかと思い始めました。奥深いバイランティ。素晴らしい✨

番外編:2021年の「中秋の名月」

今年も一眼レフカメラで撮影頑張りました。去年(過去記事、番外編:2020年の「中秋の名月」)よりも、上手く撮れているのではないかと…。

2021年9月21日午後10時頃 中秋の名月

ん~。去年と比べてみましたが、ほとんど同じでした(-_-) 

でも、今年の中秋の名月は、完璧な満月となりました! 過去記事でも書きましたが、中秋の名月が必ずしも満月になるわけではないんですよね。そして、「中秋の名月」と「満月」が同日になるのは8年ぶりだったようです。 メディアでもかなり報道されていましたね。

2021年9月21日午後10時頃 中秋の名月

前出の写真より10分程度経過しています👆 同じ写真ではありませんョ。

ところで、昨日夜空を見上げた方は、思い出してみて下さい。満月が明るいので、星がほとんど見えない中、月に向かって右側に、明るく光る星がポツンポツンと2つ見えたのではないでしょうか? こんなに明るい1等星(恒星)あったかな⁈ぐらいのなかなかの存在感でした。 明る過ぎる星は、大抵、惑星です。

出典:スマホアプリ 星座盤

昨夜の南の空には、満月・木星・土星が同時に見えていました。なかなかの天体ショーです。特に理由はないのですが、筆者は、惑星が認識できると少しテンションが上がります。「太陽系~!」ぐらいのことなんですけどね。一番星(金星)を見たことがあるという方は多いと思うので、ぜひ、その他の惑星も探してみてほしいものです。見える時間帯や位置が色々と変わるので、ちょっと準備が必要だとは思いますが。

「やけに明るい星が見えるけど、あれ何?」からの、ちょっと調べてみて「木星か!」くらいノリで良いと思います(^-^)  木星と認識できた時、意外と感動するかもしれませんョ。

日々の生活の中で、おもしろいなと思うことが増えると、なんだか得した気分になる筆者です。

番外編:熱帯魚スファエリクティス・バイランティ再び

通称バイランティ、過去記事(番外編:新入りの熱帯魚スファエリクティス・バイランティ)でも紹介しましたが、この度、ペアで購入することが出来ました!やっとです。

去年、2020年11月に購入していたバイランティは、残念ながら今年の春くらいに亡くなっていました。筆者の管理が行き届いていなかった頃の出来事です。他の魚に突かれたのか、ちょっとしたケガから、みるみるうちに調子が悪くなって行きました。辛かったです。

バイランティが好きだったので、熱帯魚店へ行く度に、再入荷していないか密かにチェックしていました。というのも、バイランティはなかなか入荷されないのに加え、地味な見た目にも関わらず、好きな人は好きな熱帯魚なんです。そのため、比較的すぐに売れてしまいます。前回の経験では、5日後に再び熱帯魚店を訪れた時には全ていなくなっていました。大人気のバイランティ。

以前飼育していたバイランティはオスでした。体色は基本こげ茶色です。今度は体色がオスより派手に発色するメス、そしてなんだったらペアで購入できたらいいなと思っていました。そして半年待ち続けました。

ちなみに、熱帯魚店ではこの度、10匹ほど売られていました。そのうちメスは2匹のみでした。メスの方が早く売れるのか、または、そもそも入荷が少ないのか? 何れにしてもメスはなかなか手に入りにくいということです。

バイランティの幼魚は、オスメスの判断が若干難しいので、注意が必要です。今回のバイランティたちは、前回よりも体が小さかったので、オスメス判断の腕の見せ所でした。これは筆者の感覚なので絶対とは言い切れませんが、じっと観察して何となくシマシマ模様が魚体に見えたらそれがメスです👍 バイランティの体色はオスメスともに状況によってどんどん変化するので、しばらく見続けることが重要です。焦ってはいけません。

水合わせ後のバイランティ👇

スファエリクティス・バイランティのペア

いかがでしょう?オスメスの区別がつくでしょうか?

ところで、購入した熱帯魚を自宅水槽に投入する時に重要な「水合わせ」についてですが、アクアリストによって少しずつ手順が違うようです。魚にとって水は空気のようなもので、激しい変化、そしてその魚に合わない水(環境)では生きられません。とても大事な作業といえます。
筆者の水合わせの手順は、①購入した熱帯魚の入った袋をそのまま水槽に1~2時間程度浮かべる。これは袋内の水と水槽の水の温度を合わせるためです。②袋内の水の3分の1程度の量の水槽の水を袋に入れ、30分引き続き水槽内に沈める。③水槽の水を再び3分の1程度袋に入れ、30分沈める。④ 水槽の水を再び3分の1程度袋に入れ、30分沈める。⑤袋の口を水槽内に沈め、魚が自分で出て行くのを待つ。
こんな感じです。要は、水槽の水を少しずつ熱帯魚の入った袋に入れて行き、だんだん水槽の水に熱帯魚を慣らしていくという作業です
1~2時間浮かべて、30分、30分、30分です(^-^)
ただこの方法は、熱帯魚店の水槽の水が自宅水槽にそのまま入ってしまうやり方なので、賛否両論かもしれません。筆者がよく通っている熱帯魚店は管理が行き届いているのであまり気にしたことはありませんが、場合によっては、水の状態が良くないこともあり、病気や微生物が持ち込まれる恐れがあるので注意が必要です。

メスから先に出て行きました。袋の中を行ったり来たり。出て行くまでに30分くらいかかりました。おとなしく慎重な熱帯魚なんです。

スファエリクティス・バイランティ オス
スファエリクティス・バイランティ メス

メスが鮮やかに発色していますね👆 シマシマ模様、赤褐色、緑色も見えます。こうなると、なかなか派手です。

水槽の上部、すみっこにいることが多いです。とがった口で、吸い込むようにエサを食べる姿がなんともかわいいです。