美観地区:倉敷川の白鳥とカワウ

倉敷美観地区内、倉敷川の水源近くには白鳥が2羽すんでいます。いつも優雅に水面を泳いでいます。白鳥のためのエサを鳩や雀に横取りされても、決して怒ったりしません。見て見ぬふりというか、特に問題にしていない様子です。

11月下旬のある日、倉敷川水源近くがざわついていました。しかもあまり聞き慣れないバサバサと激しい音。足早に近くに寄ってみると、

白鳥(多分メス)の側に黒い鳥が!

じわじわとオスが後ろから近寄っています。

バサバサ‼

白鳥のオスが、黒い鳥(カワウ)を追い払っていたんです。後ろから近寄り翼を広げて威嚇する、これを何度も繰り返していました。こんなに激しい白鳥(オス)を見たのは初めてです。注目はメス。オスとカワウの様子を静かに見ているだけでした。カワウは、河(川)に生息する「(ウ)」です。「鵜飼(ウカイ)」で有名ですね。(※日本の「鵜飼」で活躍しているのは、カワウより一回り体が大きな「海鵜(ウミウ)」のようです。) エサとなるのはほとんど魚類で、潜水して捕食します。

潜水する直前のカワウ

筆者はこの白鳥をコブハクチョウ(過去記事、美観地区:倉敷川の生き物)だと思っているのですが、コブハクチョウはどうやら他種への威嚇・攻撃行動が激しいようです。白鳥は主に植物を食べるので、カワウと餌はかぶっていません。ほっとけば良さそうなものですが、とにかく、嫌だったのでしょうね。まぁ、カワウも、潜水しては顔を出しをしつこく繰り返していたので気持ちは分かります。

        

カワウ

白鳥は追い払うのに必死な様子でしたが、カワウは通常の漁スタイルを少しも崩しませんでした。白鳥だけでなく、多くの人が見ていたにもかかわらず。カワウののん気な横顔が印象的でした。

カワウ

美観地区:まだまだ紅葉中

2021年下旬、「語らい座 大原本邸」付近の紅葉は、終わりに近づいてきましたが、まだまだ見頃の紅葉があります。

亀遊亭の紅葉

亀遊亭」の紅葉です。
倉敷美観地区入口すぐのレストラン亀遊亭は、明治時代に建てられた建物で瓦屋根の外観をそのまま生かした地産地消のレストランです。(公式ホームページより)
そして、倉敷国際ホテル直営のレストランでもあります。

写真奥の木の紅葉がなんとも美しい✨

かなり大きな木なので、亀遊亭の塀は大丈夫なのかなと思って見てみたら、こんな感じでした👇

大きな太い木の幹に合わせるように、塀の瓦が取り除かれているのが分かります。

この木は何の木なのか、筆者はすぐには分からなかったので、とりあえず、葉っぱの写真を撮りました。

葉っぱは、ハートというかスペードみたいな形をしています。
帰宅して調べた結果、「ナンキンハゼ」かなと。多分当たっていると思います。で、不安に思ったのが「ハゼ」です。あの皮膚がかぶれるハゼ⁈です。でも、葉っぱの様子がウルシ科のハゼとはかなり異なっています。野山で実際に見たことがあるので、これは確かです👍

ということで、ナンキンハゼについてさらに調べました。どうやら、ナンキンハゼはトウダイグサ科で、ウルシ科の植物ではないようです。樹液でかぶれることは無いようですね(^-^) ただ、種子は有毒のようなので、食べてはいけません。

   

その他、じわじわと紅葉していった木がこちら。

2021年11月4日撮影 有隣荘
2021年11月25日撮影 有隣荘

ほぼ20日間かけて、まず上から、そしてじわじわ下へと紅葉していった印象です。葉が散っている様子はまだありません。しっかり長く紅葉を見せてくれる木だなぁと、感心してしまいました。

紅葉終盤には、倉敷川の水面に赤やオレンジの葉っぱが浮かびます。これもなかなか良いですョ。


ほぼ皆既月食(2021年11月19日)

昨夜は140年ぶりの「ほぼ皆既月食」でした🌒
厳密には「部分月食」です。

2021年11月19日17時30分頃撮影

一見、三日月のような月ですが、内側のカーブが三日月より直線的ですね。月の輪郭が薄っすら見えているのが分かるでしょうか?

周りが暗くなり時間が経つにつれて、見え方がどんどん変化して行きました。

2021年11月19日18時頃撮影

国立天文台によると、月の直径の97.8%が地球の影に隠れるという部分月食でした。食の最大時間は、18時2~3分ということでした。

2021年11月19日18時30分頃撮影

次回の「ほぼ皆既月食」は、65年後の2086年11月21日になるということです。ところで、「部分月食」や「皆既月食」、もっとよく耳にするような気がしませんか? 次回が65年後って、そんなに見られないものなのかと思いませんでしたか?これは、日本全国で食の最大が観測できるのが65年後ということなんです。

日本国内だと、なんとなく同じように見えるような気がしてしまいます。日本と外国だと違った風に見えるだろうことはイメージしやすいのですけど。

前回、同様の「部分月食(ほぼ皆既月食)」が観測できたのは、89年前の1932年9月15日でした。ただ、食の最大が観測できたのは一部地域のみだったそうです。日本全国で観測できるということに意味があるようですね。

今回の「ほぼ皆既月食」は、日本国内違う場所にいても、空さえ晴れていれば見ることが出来た貴重な天体ショーでした。それぞれが離れた場所にいて、自然界に存在するものを同時間に肉眼で見ようとする機会はなかなかないように思うのですが、どうでしょう? 天体ショーくらいではないかと筆者は思っています。 これはロマンです✨

ちなみに筆者は、ターゲットの月が東の空の低い位置ということで、自宅からは見えないと判断し、少し離れた場所にある大きな駐車場へ移動🚘 一眼レフ片手に単独行動、ちょっと必死な感じになってしまいました。残念ながら、ロマンって雰囲気ではなかったですね…。

倉敷美観地区の紅葉 2021年秋

今年もきれいに紅葉しています。
倉敷川源流付近、語らい座 大原本邸(旧大原家住宅)前です。

去年より色が良いような気がします。

   

紅葉した葉っぱが数枚、木の幹にくっ付くように生えていました。写真中央です👇

写真では分かりにくいですが、まだ紅葉していない緑の中でのポツンと赤色は、結構目立っていました。

このポツンと赤を頑張って撮影していたら、バシャっと何かが川に落ちる音がしました。コイが跳ねたのかなと思って最初はあまり気にせず、ポツンと赤に全集中していました。

バシャバシャ。なかなかしつこい…。
で、やっと気が付いたんです。

カワセミです✨ 今年もこの場所で見ることが出来ました(^-^)

何度も川に突っ込んでいました。小魚を捕っているのかなと思いましたが、口ばしに魚は見えませんでした。川に突っ込んでは陸地に上がり、羽をバサバサ。羽を洗うために川に入っているようにも見えました。水浴です。

でもカワセミ的には、食料捕獲のために危険いっぱいの川に突っ込んでいるはずなので、水浴などと言ってはいけませんね。というのも、ちょっと気になる魚影を最近見かけているんです。こちらです👇

はっきり何の魚だと言い切れませんが、ライギョ(雷魚)ではないかと…。ライギョは外来種ですが、ブラックバスやブルーギルのような特定外来生物ではないようです。美観地区内の倉敷川は管理されているので、泳いでいる魚はほぼ在来種なんですが、ライギョらしきこの魚、とても気になります。ライギョは何でも食べます。魚はもちろん、昆虫やカエル、水辺にいる小動物まで食べてしまいます。カワセミも危ないというわけです。倉敷川の白鳥のヒナ(時々誕生します。今はいません。)もなんだったら危ない。

  

紅葉とカワセミに戻ります。筆者がカワセミを何枚も撮影していた時、ほとんどの観光客の方々は気づいていない様子でした。紅葉の中のカワセミ(過去記事、美観地区:紅葉の中の宝石)は本当に美しいので、この辺りの紅葉を見る際には、ぜひ、カワセミのことを思い出してほしいものです。渡り鳥ではなく、基本的に同じ場所で暮らし続けるカワセミなので、目撃できる可能性は大ですョ。

セザンヌとゾラ ~林檎🍎~

画家ポール・セザンヌ(1839-1906)と小説家エミール・ゾラ(1840-1902)、少年時代からの親友であったことは有名な話です。

出典:Wikipedia ポール・セザンヌ
出典:Wikipedia エミール・ゾラ

多くのエピソードを今に残す両者ですが、筆者はリンゴにまつわる二人の話が好きです。

セザンヌはリンゴの絵を多く描きました。
よく見かけるのはこちらの絵でしょうか👇

オルセー美術館
ポール・セザンヌ
『林檎とオレンジ』1895-1990

その他にも、リンゴをモチーフとした作品を数多く描いています。

オランジェリー美術館
ポール・セザンヌ
『リンゴとビスケット』1895

2016年のフランスの伝記映画に『セザンヌと過ごした時間』という、セザンヌ没後110年を記念して製作された作品があります。セザンヌとゾラの友情が色濃く描かれています。それによると、セザンヌとゾラの出会いは中学時代で、「移民の子」といじめられていたゾラをセザンヌが助けたことから友情が始まっています。そしてゾラは、助けてもらったお礼にと、セザンヌにリンゴをプレゼントしています。

その後ゾラは小説家として成功して行きましたが、セザンヌの絵はなかなか認めてもらえず、苦しい日々を送ることとなります。その間、ゾラはセザンヌを支え続けました。ところが、1886年にゾラが発表した『制作』という小説で、セザンヌから絶交されてしまいます。小説の登場人物の悲惨な生涯と自分(セザンヌ)が、セザンヌ的にはかぶって見えてしまったようです。つまり、自分(セザンヌ)の悲惨な人生を親友ゾラが小説にしたと思い込み、傷ついてしまったというわけです。ただ、ゾラ的はそんなつもりはなかったように思いますけど。

セザンヌの残した言葉に、
Avec une pomme, je veux étonner Paris !(リンゴひとつでパリを征服する)というものがあります。「リンゴでパリを驚かせてやる!」といった意味です。実際セザンヌは、その後、「近代絵画に父」として言及されるような巨匠になるわけですが、この「リンゴで」、というところに筆者はグッときます。自分の新たな表現のモチーフとしてセザンヌはリンゴを選んでいますよね。様々な理由からリンゴだったのだとは思いますが、リンゴを選んだ理由の1つに、きっとゾラとの思い出があったのではないかと筆者は思っているんです。

    

2014年に興味深い手紙が発見されています。絶交した後の手紙とされていて、セザンヌがゾラ宛に「君がパリに帰ってきたら会いに行くよ」とういう内容のものだったそうです。本物かどうか議論が続いているようですが、筆者は本物と信じたい。

これまでの通説は、絶交してしまったセザンヌとゾラ、ということです。研究者によって様々な捉え方があるようですが、筆者は、出会った時から最期まで、没交渉の時ですら、お互いをリスペクトし続けたのではないかと思っています。

ちなみに、セザンヌのモチーフ「リンゴ」は、後のキュビスム(ピカソのあの絵)に影響を与えた等、言及すべき内容満載なのですが、ここでは、ゾラとの思い出のリンゴにただただ焦点を当ててみました。美術史(今回の場合、ロマン主義・写実主義からの印象派→ポスト印象派)を念頭に、絵画鑑賞するのはもちろん楽しいのですが、ピンポイントのエピソードをゲットして、それを頼りに、自分なりに想像(妄想)しながら絵を見てみるのもなかなかおもしろいですョ(^-^)