モランディの静物画

筆者が所有しているポスターの中に、モランディの作品がいくつかあります。

ジョルジョ・モランディ(1890-1964)
『静物』1918または1929
『静物』1939
『静物』1950

筆者はこの色合いがとても好きです。温かみのある気持ちが落ち着く絶妙な色だと思っています。

ジョルジョ・モランディ(1890-1964)は、20世紀前半に活躍したイタリアの画家です。静物画を中心に独自の芸術を探求しました。瓶や水差し、お椀や缶などの容器類を主なモチーフとしていて、自分好みの色や構図で描き続けました。

NHKの芸術番組「日曜美術館」で、モランディが取り上げられたことがあります。題目が興味深く、「埃(ほこり)まで描いた男~不思議な画家・モランディ~」でした。モランディの描く容器類は、ツルツルギラギラしていなくて、全体的にマット(ツヤなし)な印象を受けます。この色合いは、埃(ほこり)からくるものだったのかと感心しました。モランディの絵を見ていると、なんとなくノスタルジックな気分になるのはそのためだったのかもしれませんね。

モランディの写真はこちら👇

出典:Wikipedia ジョルジュ・モランディ

想像していたよりもかなり個性的な感じでした。しかも、なんとなく見た目がピカソに似ているような…。パブロ・ピカソ(1881-1973)とほぼ同じ時代に生きた画家なので、何か関係があるかのと思い調べてみると、二人は対照的な画家として取り上げられていました。TV TOKYOの芸術番組「美の巨人たち」では、「変化し続けた画家ピカソ」「繰り返した画家モランディ」として紹介されていました。なるほどと納得したのですが、なんとモランディはピカソの絵に対して「いつも同じで退屈」と評したというではありませんか!ピカソは様々な芸術に取り組み、画風も変化し続けたことで有名な画家であるはずなのですが、モランディ的には違った見方をしていたということでしょうね。これはかなり奥深い…。同じように見えて同じではないモチーフに対するモランディのこだわり、ポリシーを感じます。

次の作品2点は、とてもよく似ています👇

モチーフはほぼ同じで、配置や色を少し変えて描いています。よく見ると、描く目線も微妙に違っているのが分かります。確かに、同じではありませんね。

モランディは、イタリアのボローニャに生まれ、その生涯のほとんどをボローニャとボローニャ近郊の避暑地で過ごしたそうです。生涯独身で、生活の面倒は主に3人の妹たちが見ていたということです。限られた空間の中で、じっくり対象と向き合った人生だったのではないでしょうか。穏やかな温かい作風の中に、ブレない独自の世界観を感じますね。

美観地区の『前神樋門』

美観地区の『高砂橋』(投稿記事、美観地区の『高砂橋』)の上から倉敷川周辺を眺めている時に気が付きました。

『前神樋門』と『前神橋』

写真👆奥に写っている欄干が特徴的な橋は『前神橋』(過去記事、美観地区の『前神橋』)です。手前の樋門(ひもん)の造形が見事だなぁと思いながら眺めていた時のことです。(※この樋門は美観地区を流れる倉敷川の水位を調節しています。)

『前神樋門』

車のハンドルみたいなのが2つあるのが分かるでしょうか? どうも普通の形ではない感じがしたので近くに寄って見てみることにしました。立派な石の階段がちゃんとありましたので。

なんとの彫刻が施されているではありませんか! 『今橋』(過去記事、美観地区の『今橋』)や『前神橋』(過去記事、美観地区の『前神橋』)に、龍がデザインされているのは過去記事で紹介した通りなのですが、ここにも龍がいたんですね✨

「前神樋門」「竣工 昭和六十三年三月」となっています。比較的新しいものなのに、コンクリートではなく石造りで、しかもハンドル部分には龍の彫刻が施されているんです。きっと美観地区に馴染むよう設計されたものなんでしょうね。違和感なくバッチリ溶け込んでいました👍

大事に保存、管理されている倉敷美観地区です(^-^)

大原美術館:芝生の中の彫刻(分館前)

大原美術館の分館前には、手入れの行き届いた芝生が広がっています。今は冬なのでこの色ですが、夏には綺麗な緑を一面に見ることができます。

2022年1月撮影 大原美術館分館前

分館はコロナの影響で現在も休館中です。

芝生の中にはいくつかの彫刻が野外展示されています。敷地の東と西にある門が閉まるまでは、自由に鑑賞することができます。

まずはこちら。

大原美術館
ヘンリー・ムーア(1898-1986)
『横たわる母と子』1975-76年
ブロンズ

ヘンリー・ムーアはイギリスの彫刻家です。「母と子」をテーマに多くの作品を制作しています。「横たわる像」もムーアのテーマだったようです。古代彫刻に関心を示し、中でもメキシコのマヤ文明の遺跡から出土した「チャック・モール」から大きな影響を受けたようです。チャック・モールとは、人(神?)が横たわっている人物像のことです。

         

大原美術館
イサム・ノグチ(1904-1988)
『山つくり』1982

イサム・ノグチの父は詩人の野口米次郎、母はアメリカ人作家で教師のレオニー・ギルモアです。父親との関係は複雑で、イサムは愛に飢えていました。
コロンビア大学の医学部に進学しましが、あの野口英世から野口米次郎は素晴らしい作家であることを聞かされ、すぐ大学を退学し、レオナルド・ダ・ヴィンチ美術学校に入学したそうです。父親に対する憧れもあったようです。
また、美術の教科書にも載っているフリーダ・カーロ(1907年-1954年、メキシコの画家)と大恋愛をし、1951年には女優の山口淑子(李香蘭)と結婚しています。5年ほどで離婚していますが、世界各地を旅したりと国際色豊かなものだったようです。
それにしてもイサム・ノグチのまわりはビッグネームだらけですよね。

                      

大原美術館
津久井利彰(1935- )
『樹に染まり』1994

ステンレスで制作されています。設置当時はここまで植物が茂っていなかったと思います。月日が流れ、いい感じになっていますよね。色々調べていると『樹に染まり96』という作品が東京都の港区乃木公園にあるのを見つけました。同じくステンレス製で、ジャングルジムのような形状の作品の上に、蔓状の植物が乗っています。
ステンレスと植物のコラボはどうでしょう? 一見、鉄と植物ということでミスマッチのような気がしないでもなかったのですが、見ているとだんだんしっくりくるのが不思議です。

                   

大原美術館
速水史郎(1927― )
『道標』1987、1999年
御影石

速水史郎は香川県多度津町出身の彫刻家・造形作家です。『道標(みちしるべ)』という作品なんですが、よく見ると、本館・工芸館・東洋館と分館の方向を示す、まさに道標となっているのが分かります。芝生内の丸みを帯びた黒い彫刻も速水史郎の作品です。筆者は、瀬戸内海に浮かぶ島のようだなと思いました。ちなみに、香川県の高松市中央公園には『SANUKI』という形状のよく似た作品が野外展示されています。

        

大原美術館
木村賢太郎(1928― )
『祈り』1986
御影石

頭(こうべ)を垂れて、合掌しているのが分かるでしょうか? サイズも比較的小さめということもあり、筆者にはとてもかわいく見えました。作品『祈り』は、素材やサイズなどが違うものも含めると、他にも結構あるようです。
東京国立近代美術館には、『祈り6』『祈り7』という大原美術館の『祈り』ととてもよく似た作品が所蔵されています。制作年がどちらも1993年となっているので、大原美術館の『祈り』の方が早い時期に制作されていますね。

   

敷地の門が開いている時は自由に鑑賞しても大丈夫なので、ぜひ。

   

美観地区:植物の冬姿(倉敷川沿い)②

過去記事、美観地区:植物の冬姿(倉敷川沿い)①で、サザンカなのかツバキなのかちょっと不安だったこちらの木👇

サザンカと紹介しましたが、やはり、サザンカでした👍
証拠写真がこちら。

少し日が過ぎましたので、結構花びらが散っていました。花がボトッと落ちるのがツバキです。そして、

葉っぱの際がギザギザしているのが分かるでしょうか?比べたらよく分かるのですが、ツバキはここまでギザギザしていません。(過去記事、お出かけ:ときわ公園(山口県宇部市)② ~支え合う木~参照ください。)

そして、過去に何度か登場している植物の現在がこちら👇

2022年1月撮影 ツメレンゲ

準絶滅危惧種のツメレンゲ(過去記事、2020年元日のツメレンゲ)です。今年も元気にニョキニョキです。屋根の上に準絶滅危惧種のツメレンゲが普通に育っていることがなんだか嬉しい筆者です(^-^)

倉敷川で見かけた鳥たち

美観地区から少し南に下った辺りで見かけた鳥たちです。

まずはこの鳥👇

2022年1月上旬撮影 ダイサギ

あまりの大きさにツルかと思いました。もちろんツルではありませんが、とにかく大きなシラサギでした。シラサギには、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギがいるようです。 よく見かけるのはコサギではないでしょうか?コサギは、夏になると頭から冠毛を生やし、繁殖期になると仲間同士で集まり「サギ山」を作るという習性があります。うわぁシラサギがいっぱいいるーっと思ったら大抵コサギ群団です。

名前の通りコサギは、シラサギの中では小ぶりな方なので、すぐに見分けが付くと思うのですが、ダイサギとチュウサギを見分けるのはなかなか難しい。冬の口ばしの色はどちらも黄色ですし。(※コサギの口ばしは黒色です。)ちなみにチュウサギはこちら。

出典:Wikipedia  チュウサギ

よく見ると、チュウサギの口ばしの先端部分は黒色になっています。そして、どちらもシュっとした顔をしていますよね。違いは何でしょう? よく似た頭部ですが、頭(おでこ?)のふくらみがあまりなく、より長めにシュっとしているのがダイサギということです。 筆者が撮影したシラサギを見てみると、口ばしは全部黄色に見えます。そして、おでこのふくらみはほとんどなく、頭から口ばしの先までかなりシューっとしているように見えます。ということで、筆者が撮影した大きなシラサギはダイサギであると結論付けました。

次は黒色の鳥です👇

水辺にいる黒色の鳥ということで、最初はカワウかなと思いました。でたカワウ!ぐらいなとっつきです。ところがじっと見ていたら、カワウのぎらつきがあまりないことに気が付きました。美観地区の白鳥をイラつかせるあのカワウ(過去記事、美観地区:倉敷川の白鳥とカワウ)のそれがないんです。改めて見てみると、フォルムも丸っこくてカモみたいでなんだか可愛い。

この黒い鳥は、オオバンという鳥でした。ツル目クイナ科なので、ツルの遠い親戚って感じです。カモの仲間じゃないんですね。全国的に増加傾向にある野鳥なんだそうです。カモなど他の水鳥たちに混じって見られることが多いということでした。確かにすぐそばでカモたちが👇

頭をクルっと羽の上に乗せて寝ていました(^-^)