岡山県立美術館:北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦②

筆者が行った時には葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が展示されていました👇

葛飾北斎  「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 」1831~33年頃

冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』 には6月14日~7月7日という展示期間がありました。その他にも展示期間のあった作品が2点👇

葛飾北斎  「冨嶽三十六景 凱風快晴」 1831~33年頃
葛飾北斎  「冨嶽三十六景 山下白雨 」 1831~33年頃

『冨嶽三十六景 凱風快晴赤富士とも呼ばれます)』と『冨嶽三十六景 山下白雨 』の展示期間 は6月7日~30日でした。3点を同時に見ることができるのは、6月14日~6月30日だったというわけです。残念ながら筆者は滑り込みで行ったので、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』のみ鑑賞ということになりました。

作品保護のために展示期間を設けたということだったと思いますが、なぜこの3作品?と思いました。有名な作品だから特別扱いなのは分かりますが、他にも高名な作品はあるわけで。 色々調べて行くうちに分かりました。この3作品は、「冨嶽三十六景」の中で特に優れた作品とされていて、三大役物(さんだいやくもの)と呼ばれ親しまれているバリバリの作品たちだったんです。(※三役とも呼ばれます)

筆者の浮世絵に対しての情熱は、西洋画ほどではなかったので、知らないことがいっぱいです。今回の展覧会でたくさんの本物を見て、有難いことに以前より格段に興味が高まりました。やはり本物を見るということは大事ですね。

                

浮世絵について調べている時、今の季節に合う花火の作品がないかなと思って探してみたら、やはりありました👇

歌川広重  「名所江戸百景 両国花火」 (後摺)

この作品は今回の展覧会では展示されていなかったと思います。花火の表現が独特でとてもいいなと思ってプリントアウト(※パブリックドメイン画像です)しました。今、筆者の家の壁(筆者の展示コーナー)に飾られています。

花火をテーマにした浮世絵が他にもないかなと思ってさらに探していたら、よく似たこちらの作品が見つかりました👇

歌川広重  「名所江戸百景 両国花火」  (初摺)

題名は同じです。構図も同じですね。でも花火の表現が大きく異なっています。どうやら、前者は「後摺(のちずり、あとずり)」、後者は「初摺(しょずり)」だったようです。

版木は、版を重ねるうちに摩耗したり欠損したりするなどして状態が悪化します。通常、初めのよい状態の版木で摺った版を初摺、摺り増ししたものを後摺と呼びます。後摺では、事情により版に変更を加えるている場合もあります。

中山道広重美術館HP 浮世絵豆知識

浮世絵は肉筆画ではなく版画なので、同じ構図の作品を、当たり前ですが何枚も摺ることができます。でも、全く同じ作品というものはないんですよね。たとえ同じように摺ったつもりでも、微妙にどこか違うものです。それぞれの版(作品)が実は一点物なんだということを改めて感じました。

ちなみに、筆者は「名所江戸百景 両国花火」の後摺の方が好きです。 花火が打ち上がった後のあのキラキラがとてもよく表現されていて、実際の花火大会の記憶(地元の花火大会)と重なって、余計に味わい深く感じ、ノスタルジックな気分にさせてくれるからです。浮世絵ということで、写真のような細密な描写ではありませんが、これくらいの方が見る側のイメージが膨らみやすく、結果いい感じになるのかもしれませんね。

しばらく浮世絵フィーバーが続きそうです(^-^)