開催期間は2024年6月7日(金)―7月7日(日)でした。筆者はすべりこみで行ってきました。なかなかの人出で、美術館の駐車場には停められませんでした。『冨嶽三十六景』全四十六図、すべて公開ということだったので、多くの方が足を運ばれたことでしょう。
今回の展示、ほとんどの作品がなんと写真撮影OK(フラッシュはNG)だったので驚きました。一眼レフカメラで撮影している方も何人かいらっしゃいました📷 筆者はというと、スマホではりきって撮影👇
葛飾北斎の代表作、冨嶽三十六景『神奈川沖浪裏』ですね。英語圏では通称『グレートウエーブ』と呼ばれます。この作品はやはり人気で、少し撮影待ちをしました。
浮世絵は、絵師(えし:原画を描く)、彫師(ほりし:版木に彫る)、摺師(すりし:紙に摺る)の共同作業で仕上げられます。絵師については今日でも広く知られていますが、彫師、摺師についてはどうでしょう?あまりクローズアップされることがないような…。彫師、摺師の職人技あっての浮世絵なんだということを、ずらりと並んだ作品を見入りながらしみじみと感じました。
続いて撮影したのがこちら👇
歌川広重(安藤広重)の 名所江戸百景 『水道橋駿河台』です。鯉のぼりの浮世絵ということはすぐに分かったのですが、鯉の描写があまりにもリアル過ぎておもしろいと思って撮影しました。鯉のぼりは江戸時代の中期に江戸文化の中心で発生しました。現在の鯉のぼりといえば、吹き流し、黒、赤、青の鯉といった具合いにバリエーション豊かですが、『水道橋駿河台』の鯉のぼりは黒い鯉が一匹のみとなっています。どうやら 江戸時代の鯉のぼりは黒の真鯉一匹のみだったようですョ。
その次はこちらを撮影👇
歌川広重(安藤広重)の 名所江戸百景 『深川萬年橋』 です。風鈴のように吊るされたカメが謎過ぎたので撮影しました🐢 風鈴と思ったのは木枠が窓枠だと思ったからなんですが、よく見るとこの木枠は桶の一部だったようです。
手桶の横木に吊るされた亀というわけです。それにしてもなぜ吊るす?!ということで調べました。どうやら亀は売られていたようです。ペットにするわけでもなく、ましてや食べるというわけでもありません。紐に吊るしたまま川辺まで行き、紐を解いて逃がしてやるそうです。この行為は「放生会(ほうじょうえ)」と呼ばれます。「放生会」とは、捕獲した生き物(亀だけでなく鰻や鳥なども)を川や池、野に放し、日頃私たちが生きるためにいただいている生き物に感謝し供養すると同時に、肉食や殺生を戒めるという一連の儀式のことをいいます。放生会の時期が近付くと、生き物を売る露店や行商人が現われたそうです。生き物は、「放し亀」「放し鰻」「放し鳥」と呼ばれました。
ということでこの作品は、萬年橋の上(こげ茶の木枠は萬年橋の欄干です)で、放生会のための放し亀を手桶に吊るして売っているという状況の浮世絵でした。ずっと向こうに富士山も見えますョ。亀、萬年(橋)、富士山、なんだかとても縁起がいい浮世絵ですね(^-^)
投稿記事(岡山県立美術館:北斎と広重 冨嶽三十六景への挑戦②)へ続きます。