エンジェル(天使)とキューピッド、見た目がなんだか似た感じです。もしかしたら、同じ存在と認識している人も多いかもしれませんね。
大原美術館の天使といえば、やはりエル・グレコの『受胎告知』の中に描かれている大天使ガブリエルでしょうか?👇(過去記事、大原美術館:『受胎告知』エル・グレコ)
そしてこちらは、レンブラントの『ヴィーナスとキューピッド』です👇
天使にもキューピッドにも共通して羽があります。ただ、大天使ガブリエルの羽は、羽というよりは翼って感じですね。
ところで、ヴィーナスとキューピッドはとても親しそうに見えます。それもそのはず、親子なんです。キューピッドの性別は男性ということなので、息子ですね。キューピッドはローマ神話の恋の神クピドの英語名で、ギリシャ神話のエロスに当たります。つまり、神話の中の神に分類されるというわけです。(※ヴィーナスはローマ神話の菜園の女神ウェヌスの英語名。ギリシャ神話の美と愛の女神アフロディテと同一視される。)
では、天使(エンジェル)はどうでしょう?その名の通り神の使いで、「ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖典や伝承に登場する神の使い(Wikipediaより)」ということでした。そして、立ち位置的には、神々と人間の中間の霊的存在らしいので、神そのものではないようですね。(※ただし、旧約聖書の「神の使い」の中には神として書かれているものがある。)また、性別はないとされています。見た目の年齢にも幅があるようで、バリエーションに富んだ天使を多くの画家が描いています。
そうしてみると、キューピッドは幼い男の子で描かれることが多いような気がします。がっつり成人した姿のキューピッドはあまり見かけませんよね。少年~青年くらいのキューピッドは時々見かけますが👇 (※アモル(Amor)はラテン語でキューピッドのこと)
また、キューピッドの最大の特徴はその持ち物で、最も有名なのは弓矢と矢筒です。レンブラントの『ヴィ―ナスとキューピッド』の方は、筆者にはちょっと確認できませんでしたが、フランソワ・ジュラ―ルの『アモルとプフュケ』の方は、アモル(キューピッド)が両方しっかり装備しているのを確認できると思います。
【エンジェル(天使)】
・基本的に神ではなく神の使い
・性別はない
・主にキリスト教絵画に登場
【キューピッド】
・神話の中の神
・性別は男性
・女神ヴィーナスの息子
・弓矢や矢筒を持つ
名画によく描かれるエンジェルとキューピッド。違いを少し頭に入れておくと、理解が深まるかもしれませんね(^-^)