倉敷アイビースクエアの屋根

下からでは見えない倉敷アイビースクエアの屋根。実はとても特徴的なんです。写真を撮ろうとぐるぐる回ったのですが、撮りたい屋根はやはり見えませんでした。
倉敷アイビースクエアの西側入り口付近では、音声なしの倉敷アイビースクエア空撮映像が随時流れています(筆者が気づいていなかったのかもしれませんが、以前は流れていなかったと思います。)ので、その映像の一部で紹介したいと思います。

工場でよく見られるノコギリ屋根になっています。倉敷アイビースクエアはそもそも倉敷紡績所(現:クラボウ)の本社工場だったので納得ですね。興味深いのは次の内容です👇

ノコギリ屋根

現在国内の工場で多く見られる構造とは異なり、北側が垂直ではなく、やや水平気味になっています。イギリスの工場の設計をそのまま再現したものですが、日本はイギリスより緯度が低いため、春分から秋分にかけ北面の採光窓から直射日光が入ってしまい、特に夏場は暑さに苦しみました。

KURASHIKI IVY SQUARE ホームページより

イギリスの工場の設計をそのまま再現したものだったんですね。ちなみに、北面に採光窓を設ける理由は、日中の光量の変化が少なく安定した光源が得られるためなんだそうです。そして、イギリスと日本の緯度の違い、これがその後に大きく影響したようです。

イギリスは日本より高い緯度にあります。ロンドンは北緯51度、東京は北緯35度です。イギリスは日本より結構北ってことです。そうなると、太陽の南中高度がかなり違ってきます。(※冬至の頃の南中高度は東京の半分しかないそうです。)南中高度の高さの違いは、日差しの違いに現れ、イギリスよりも日本の方が高い位置から日が差し込むことになります。

春分から秋分にかけ北面の採光窓から直射日光が入ってしまい、とありますが、南中高度の違いが影響しているということだと思います。そして、イギリスにならって採光窓の設置角度を傾けてしまったため、余計に直射日光が入ってしまうという結果になったんですね。

でも、そのおかげで、壁面を覆いつくすアイビー(ツタ)なんです。工場内の室温の上昇を防ぐために植えられました。室温の上昇がなかったら、アイビーは植えられていなかったかもしれませんね。

倉敷アイビースクエアをイメージする時、レンガの壁面にアイビーは欠かせません。でも、アイビーの歴史を振り返ると、景観をねらって植えられたものではなく、必要に迫られ対処した結果、現在のような姿になったことが分かります。

ノコギリ屋根とアイビーの深い繋がりを感じながら散歩したいと思います(^-^)