大原美術館:『青いヴィーナス』イヴ・クライン

この青は凄いです。

大原美術館
イヴ・クライン(1928-1962)
『青いヴィーナス』1962(再制作1970)

【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・単色(モノクローム)の作品を制作
・特許を取得しているクラインの青色
・本作品はクライン死後の作品

吸い込まれそうな深い青色だと思います。クラインはモノクローム(単色)にこだわった画家でした。なかでもこの青色はクラインが創案したもので、インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)として特許を取得しています。人工(合成)ウルトラマリンの発見のおかげでこの青色を作ることが出来たようです。ちなみに、ウルトラマリンは無機顔料の一種で、天然ウルトラマリンの原料は宝石のラピスラズリです。天然だと、とても高価で、金より貴重な顔料というわけです。

ヴィーナスの彫刻、思い出すのはやはり『ミロのヴィーナス』ですね👇

ルーヴル美術館
アンティオキアのアレクサンドロス
『ミロのヴィーナス』前130年-前100年頃

『ミロのヴィーナス』のトルソ(胴体部分)に インターナショナル・クライン・ブルー(IKB) を着色したといったところでしょうか。その他、『サモトラケのニケ』という作品も制作されていました👇

『サモトラケのニケ』1962

こちらはかなり忠実に再現されているように思います。青色ですけど。ルーヴル美術館の『サモトラケのニケ』はこちら👇

ルーヴル美術館
『サモトラケのニケ』前200年-前190年頃

ところで、クラインの芸術仲間に、アルマン・フェルナンデス(彫刻家)とクロード・パスカル(詩人)がいます。彼らは世界を3人で3分割すると相談し、アルマンは大地、パスカルは海、クラインは空を取ったといいます。クラインの青色は、空の青色だったんでしょうか? 空の青というよりは地球の青っぽいですね。

クラインは1962年、34歳という若さで心臓麻痺により亡くなっています。大原美術館の『青いヴィーナス』は、クラインの死後、生前の指示に従って制作されたもののようです。