大原美術館:『踊り子たち(黄色の地)』レジェ

筆者の好きなリトグラフ(石版画)作品です。

大原美術館
フェルナン・レジェ(1881-1955)
『踊り子たち(黄色の地)』1954

【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・キュビスム(立体派)とされる
・ピカソやブラックと交流あり
・壁画や舞台装置も手掛ける

フェルナン・レジェの最晩年の作品です。作品名が『踊り子たち(黄色の地)』となっているので、きっとこの黄色にこだわりがあったはず。色って、同じ色でも様々なバリエーションがあるものですよね。(余談:幼少期の筆者が、塗り絵など何か色を塗る時、最も大事にしていた色は黄色でした。中でも、少し発色の暗めなこのタイプの黄色は今でも大好きです。) 過去に『踊り子たち(黄色の地)』 を鑑賞したことがあるのですが、前出の画像の黄色は、かなり実物に近い色味になっていると思います。
ちなみに、筆者が好きな画家ロートレック(過去記事:ロートレックとボナールのポスター(リトグラフ))のリトグラフでも、このタイプの黄色がよく使用されているように思います👇

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『ディヴァン・ジャポネ』1892
トゥールーズ=ロートレック (1864-1901)

黄色推しの話が少々くどくなってしまいました。レジェの作品に戻ります。
同じような構図の別バージョンを見つけましたので紹介します👇

『Dancers with Birds』1953-1954

バックの色がオレンジですね。その他大きな違いといえば、鳥(鳩?)が2羽います。そして向かって右下にビーチボールサイズの玉らしきものが出現しています。また、かなり細かい指摘になりますが、後方の男性ダンサーの手に注目してみてください。左手は2作品ともしっかり確認できます。右手はどうでしょう? 大原美術館の『踊り子たち(黄色の地)』 では、中央の小柄な女性ダンサーの頭の上あたりに確認できますが、『Dancers with Birds』 の方では見当たらないように思います。片手で女性ダンサーを抱えているのでしょうか? だからどうしたという話なのですが、気になり始めると気になるものです。絵の中で見つけた「?」は、絵画鑑賞の楽しみの1つになると筆者は思っています。特に深い意味がなくても「?」は大事だと思います(^-^)

『踊り子たち(黄色の地)』 と同じ制作年の『グレートパレード』という作品がありました。こちらです。

『グレートパレード 』1954

この作品にも、男性ダンサーが女性ダンサーを抱えている姿が中央に見えますね。9年前の作品にも、似たような2人が中央にいます👇

『アクロバットとミュージシャン』1945

この2人が誰なのか分からないのですが、思い入れのあるポーズと2人だったのかもしれませんね。

レジェは、セザンヌの表現に感銘し、後にピカソブラックらとキュビスム(立体派)に参加しています。そして、前衛的な美術運動にふれながらも独自の様式を探求しました。自然の風景よりも、人や機械文明に関心があったようで、作品には多くの人々が登場しています。『グレートパレード』を見てみると、なんだか絵全体が機械のように見えなくもないですよね。キュビスムとはまた一味違った、レジェ独自の様式を確立していったのが分かります。