筆者が所有しているポスターの中に、モランディの作品がいくつかあります。
筆者はこの色合いがとても好きです。温かみのある気持ちが落ち着く絶妙な色だと思っています。
ジョルジョ・モランディ(1890-1964)は、20世紀前半に活躍したイタリアの画家です。静物画を中心に独自の芸術を探求しました。瓶や水差し、お椀や缶などの容器類を主なモチーフとしていて、自分好みの色や構図で描き続けました。
NHKの芸術番組「日曜美術館」で、モランディが取り上げられたことがあります。題目が興味深く、「埃(ほこり)まで描いた男~不思議な画家・モランディ~」でした。モランディの描く容器類は、ツルツルギラギラしていなくて、全体的にマット(ツヤなし)な印象を受けます。この色合いは、埃(ほこり)からくるものだったのかと感心しました。モランディの絵を見ていると、なんとなくノスタルジックな気分になるのはそのためだったのかもしれませんね。
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想像していたよりもかなり個性的な感じでした。しかも、なんとなく見た目がピカソに似ているような…。パブロ・ピカソ(1881-1973)とほぼ同じ時代に生きた画家なので、何か関係があるかのと思い調べてみると、二人は対照的な画家として取り上げられていました。TV TOKYOの芸術番組「美の巨人たち」では、「変化し続けた画家ピカソ」「繰り返した画家モランディ」として紹介されていました。なるほどと納得したのですが、なんとモランディはピカソの絵に対して「いつも同じで退屈」と評したというではありませんか!ピカソは様々な芸術に取り組み、画風も変化し続けたことで有名な画家であるはずなのですが、モランディ的には違った見方をしていたということでしょうね。これはかなり奥深い…。同じように見えて同じではないモチーフに対するモランディのこだわり、ポリシーを感じます。
次の作品2点は、とてもよく似ています👇
モチーフはほぼ同じで、配置や色を少し変えて描いています。よく見ると、描く目線も微妙に違っているのが分かります。確かに、同じではありませんね。
モランディは、イタリアのボローニャに生まれ、その生涯のほとんどをボローニャとボローニャ近郊の避暑地で過ごしたそうです。生涯独身で、生活の面倒は主に3人の妹たちが見ていたということです。限られた空間の中で、じっくり対象と向き合った人生だったのではないでしょうか。穏やかな温かい作風の中に、ブレない独自の世界観を感じますね。