深い緑色が印象的です。
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ジャン・フォートリエ(1898-1964)
『雨』1959
グワッシュ、石膏、紙
【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家で彫刻家
・抽象芸術の先駆的人物
・ジャズ愛好家
この作品を最初に見た時、「島」を表現したものなのかと思いました。 作品名が『雨』ということなので、斜めの線は「雨」なんでしょうか?そうだとすると、シトシト降る雨ではなくて、ザーザーと激しい雨のような感じがします。
作品『雨』は、実際見ると分かるのですが、表面がデコボコと盛り上がっています。平らな彫刻作品をキャンバスに貼ったような作品で、 画材に石膏や紙が使用されています。フォートリエは彫刻家でもあったということなので納得ですね。
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『悲劇的な頭部(大)』1942
ところで、フォートリエはジャズ愛好家でもあったようで、いくつかの作品にジャズにちなんだ作品名を付けたと言われています。次の作品『永遠の幸福』はそのような作品の中の1つのようです。(大阪中之島美術館HPより)
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『永遠の幸福』1958
制作年が『永遠の幸福』は1958年となっています。『雨』は1959年なので、ほぼ同時期ですね。 大原美術館の『雨』も、ジャズにちなんだ作品なのではないかということですが、詳しくは分からないそうです。
『雨』に似たような作品が他にもあります。
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『黒と青』1959
制作年が1959年で、『雨』と同じですね。
次の作品は、「線」に重きが置かれているようです。
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『旋回する線』1963
フォートリエはタシスムの代表的な画家です。タシスムとは、 アンフォルメル(非定形、形がない)絵画の一潮流です。 フランス語で「染み、汚れ」を意味する「タッシュ(tache)」に由来します。1940年代後半から50年代にかけてフランスを中心に隆盛しました。
また、戦後の現代美術を支えた南画廊(1956年開廊~1979年閉廊)で、1959年に「フォートリエ展」が開催されています。会期中にはフォートリエ夫婦も来日していて、この個展は大成功を収めたようです。日本との深い関わりを感じるところです。