犬がかわいいですね。
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ジャン=フランソワ・ラファエリ(1850-1924)
『アニエールの街路』制作年不詳
【鑑賞の小ネタ】
・ドガに高く評価される
・印象派展に出展経験あり
・写実的な作品が多い
・挿絵も手掛ける
ジャン=フランソワ・ラファエリ はフランスの画家です。そして1879年からパリ郊外のアニエールに居を構えています。『アニエールの街路』は、きっと住んでる近くの通りを描いたものなんでしょうね。
ラファエリはドガに誘われて印象派展にも参加しているので、印象派の画家だと思っていましたが、どうも、写実主義(歴史画ではなく、社会のありのままの現実を客観的に描く。写真を撮るように現実を写し取るので、筆致は繊細。)の画家に分類されることが多いようです。
次の作品は、写実主義の特徴がよく出ています。1881年の印象派展に出品されています。好評だったようです。
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印象派は、対象を明確に描き出すというよりも、光や空気感などの一瞬の「印象」を描こうとします。そして印象派を象徴する技法、筆者分割(絵の具を混ぜず、原色に近い絵の具の小さなタッチを並べる)は、そうした中で生まれた技法ですね。
次の作品も写実主義の特徴がよく現れている作品です。
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『ニンニク売り手』1880年頃
身近な人々やものを描くことはとても画期的でした。それまでの王道は歴史画や宗教画、肖像画でしたから。 そういう意味では、写実主義と印象派は共通しています。
ラファエリは「通り」の絵を数多く残していますが、街路樹や地面の描き方は印象派っぽく見えます。印象派を生む土壌となったのは写実主義ということのようなので、はっきりと区別する必要はないのかもしれませんね。
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『ラポルトサンドニ(サンドニの門)』1909年頃
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『サンミッシェル大通り』1890年代
印象派の巨匠クロード・モネは、印象派展のメンバーを拡張する目的で写実主義の画家を引き入れようというドガの主張を良しとしていなかったようです。見たままの描写を伝えるだけの写実主義とは区別したかったのでしょうか? 奥深いですね。
ところで、ラファエリの作品には、よく犬が登場しています。 『アニエールの街路』の中に描かれている白と黒の犬と『ニンニク売り手』 の犬、ちょっと似てますよね。よく見ると、『アニエールの街路』の中にも杖を持ったおじさんが描かれているのが分かります。同じ人物と犬とは言いませんが、組み合わせがなんだかホッコリします。ペットなのか野良犬なのか。ラファエリは写実主義の画家ということなので、実際そこに犬がいたんでしょうね。 『ラポルトサンドニ(サンドニの門)』 の中には2匹も描かれています。犬がいるといないのとで、随分印象が変わるように思うのですがどうでしょう? 犬、大活躍ですね(^-^)
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