全体的に茶系で、裸婦像としては珍しいなと思いました。
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ジョルジュ・ブラック(1882-1963)
『座る裸婦』1925
【鑑賞の小ネタ】
・キュビスムの画家
・セザンヌの影響あり
・ピカソと共同制作していた時期あり
・初期の頃はフォーヴィスム的
・ガッチリ体型の裸婦
ピカソと共にキュビスム(様々な視点から見た面を1つの画面に同時に描き出す)の中心的画家として有名なブラックですが、初期の頃はフォーヴィスム(強烈な色彩、大胆な筆使い、平面的な画面)の仲間に加わっていました。次の作品はフォーヴィスムの特徴がよく出ています。
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『レスタックの風景』1906
ブラックのキュヴィスムは、セザンヌの影響が大きいようです。また、1909年からピカソと共同制作を始めています。
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『ヴァイオリンと燭台』1910
キュヴィスムっぽい作品ですね。第一次世界大戦(1914年~1918年)以降は、ブラックとピカソ、それぞれの道を歩んだようです。大原美術館の『座る裸婦』の制昨年は1925年なので、第一次世界大戦以降ということで、キュビスムがかなり緩和されているように思います。
ところで、『座る裸婦』なんですが、かなりガッチリ体型だと思いませんか? 似ている作品をいくつか見つけました。
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『Nude Woman with Fruit』1925
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『Seated Bather』1925
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『座る裸婦』1926
モデルは同じ女性のように見えます。シカゴ美術館の『座る裸婦』を見てみると、その腹筋はアスリートばりに割れています。よく裸婦として描かれる感じのモデルとは何か違うのかもしれないと思い調べていたら、作品名の「Bather」が気になりました。Batherの日本語訳は、水浴者、泳ぐ人、海水浴客、入浴者などでした。「泳ぐ人」という意味もあったので、スイマーと言いたいところですが、ちょっとそれは意訳し過ぎですよね。
また、裸婦の周りの白い雲のようなものは何かなとずっと思っていました。Batherということで、タオルのような白い布ではないかと今は思っています。ただ、雲や霧として見るのも案外いいかもしれません。タオルより幻想的な雰囲気になってきて、そうなると、裸婦が神様や仏様のようにも見えてきますよね。
似たような絵を探し、そこから何かのヒントを得て、改めて鑑賞するのはおもしろいですョ(^-^)