小さな子どもがかわいいですね。
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カミーユ・ピサロ(1830-1903)
『ポントワーズのロンデスト家の中庭』1880
大原美術館が所蔵するもう1つのピサロの作品『りんご採り』よりも前に、児島虎次郎が購入していた作品のようです。『りんご採り』の舞台エラニーに移り住む前、ピサロはポントワーズに住んでいました。この作品 『ポントワーズのロンデスト家の中庭』は、 ピサロが借りていた家の家主である食料品屋の中庭で描かれたそうです。(参考資料:大原美術館HP)
とてもよく似た作品を見つけました。
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『ポントワーズのメゾンロンデストの中庭』1880
制作年も同じです。この作品には人物が描かれていませんが、アヒルと鶏がいますね。そして共通して大きな桶のようなものが描かれています。この桶は何でしょうか?大原美術館の作品を見た時は、洗濯桶かなと思いました。でも、人物の様子(服装なども含め)が、洗濯作業をしているようには見えませんよね。では、似ている作品の方はどうでしょう?桶の中をアヒルが覗いているように見えませんか?もしかしたら家畜のエサが入った桶なのかもしれないと思ってそれらしい絵を探してみたら、ありました!
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ちょっと桶の高さが足りないような気もしますが…。
次に人物です。普通に考えたら、ピサロの妻ジュリーと子どもなのかなと思いました。妻と子どもだと仮定して考えてみます。ピサロには7人の子どもがいます。画中の子どもはかなり幼いですよね。それらしい年齢のピサロの子どもは、、1874年生まれの第5子(三男)フェリックスか、1878年生まれの第6子(四男)リュドヴィク=ロドルフになります。描かれたのが1880年なので、6歳か2歳、ということですね。子どもは帽子をかぶり、きちっと青い服を着ているようなので、筆者的には6歳のフェリックスではないかと思うのですが、どうでしょう?
そして妻らしき人物、座っているように見えませんか?ベンチに座っているのでしょうか? 形状が似ているベンチに実際座っている写真があります。
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ポントワーズ 1877年
画中のベンチと写真のベンチが同じだとは思いませんが、このような形状のベンチが当時身近にあったことは確かです。
最後に、中庭を取り囲む柵の入り口付近に、板のようなものが立てかけられているのが分かるでしょうか?板の上部には赤、青、白の色が見えます。これが何なのかとても気になるのですが、謎のままです。ピサロの他の作品の中に何かヒントがあるかもしれないので気長に探して行きたいと思います。