番外編:ギリシャ神話と星座

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絵画について色々調べていると、題材がギリシャ神話ってことがよくありますよね。筆者は絵画を観るのが好きなのですが、星を観るのも好きなんです。なかでも星座はとても魅力的だと思います。多くの星座はギリシャ神話が元になっていますから、その関係性を理解すると、より一層夜空を楽しむことが出来るのではないかと思っています。

例えば、夏の星座の代表格、さそり座。小学4年の理科で習いますが、アンタレス(赤く輝く恒星)を中心に、比較的明るい星で構成されているので探しやすいと思います。南の空です。

出展:スマホアプリ「星座盤」masahiro chosa
『さそり座』

そして冬の星座の代表格、オリオン座。腰の辺りの3つに並ぶ星が特徴的で、これまた探しやすいです。同じく南の空です。

出展:スマホアプリ「星座盤」masahiro chosa
『オリオン座』

テストにもよく出るこの2つの星座ですが、とても関わりがあることを知ってますか?オリオン(海神ポセイドンの息子)はギリシャ神話に登場する力持ちの狩人です。あまりにも強かったので傲慢になってしまい、その様子に腹を立てた女神ヘラがさそりを送りました。オリオンはさそりの毒針に刺されて死んでしまいます。死後天に昇ったオリオンは、さそりに遭遇しないように、夜空を廻っていると伝えられています。(※オリオンの死因については諸説あるようですが最も有名なのがこの説)夏の星座さそり座冬の星座オリオン座は、決して出会うことはないのです。どちらかが春の星座や秋の星座だとちょっと中途半端。夏と冬に大きな意味があるように思います。同じ空では見えません。

ヨハン・バイエル(1572-1625)
『orion(Uranometoria)』1661

この神話を知っていたら、テストで迷うこともなくなるかもしれませんョ。

また、ヘルクレス座と蟹座のギリシャ神話もおもしろいです。
ヘルクレス座のモデル、勇者ヘラクレスは、ギリシャ神話の中で最も有名な英雄かもしれませんね。ヘラクレスは12の冒険に行くのですが、その一つにヒュドラ退治があります。ヘラクレスとヒュドラの戦いを化け蟹のカルキノスが見ていました。次第にヒュドラの形勢が不利になってきたので、ヒュドラの友人であった化け蟹(カルキノス)はヘラクレスの足を挟みました。ところが、逆にヘラクレスに踏みつぶされてしまうのです。哀れに思った女神ヘラは、勇敢な化け蟹(カルキノス)を天に上げたという神話 (※諸説あり)です。
ヘルクルス座も蟹座も、明るい恒星がなく、残念ながらあまり目立たない星座なのですが、蟹座にはプレセぺ星団があります。月のない晴れた夜には裸眼でもぼんやり見えます。丁度、蟹の甲羅辺りにある星団なので、ヘラクレスが踏んだ痕ということでしょうか? ロマンですね。

プラド美術館
フランシスコ・デ・スルバラン(1598-1664)
『ヒュドラと戦うヘラクレス』1634

黄色の楕円の中に化け蟹がいます。なんだかザリガニみたいに描かれていますね。頑張ってヒュドラに加勢しています。

米国議会図書館
シドニーホール(1788-1831)
『ウラニアの鏡  蟹座』1825

黄道12星座(星占いで使われる星座)には、オリオンやヘラクレスが入っていません。足元で頑張ったさそりがランクインしています。筆者的にはかなりツボです。