美観地区のなまこ壁

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倉敷美観地区と言えば、白壁の蔵屋敷。そして、なまこ壁です。

2020年2月撮影
倉敷考古館 東側面

なまこ壁とは海鼠(ナマコ)壁です。平らな瓦を外壁に張り付けて、目地を漆喰(シックイ)で盛り上げて埋めるという手法で仕上げられています。この漆喰の盛り上がりの断面が半円形で、ナマコの形に似ているということで、この名前が付けられたそうです。

2020年2月撮影
なまこ壁 目地の漆喰の盛り上がり

なまこ壁の種類は色々あります。倉敷美観地区で多く見られるのは3種類です。「張り」「張り(馬乗り張り」「四半張り」です。

倉敷美観地区の3種類のなまこ壁

「芋張り」⇒芋の根っこが規則正しく伸びている様子に似ている、「馬張り」⇒馬の歩いた足跡が交互になっている様子に似ている、ということでこの名前が付いているそうです。「馬乗り張り」については、人が馬に乗っていると見立ててとか、縦の2本の線が馬の脚でその上の水平な線の中央から縦に伸びる線が馬の首と見立てて等、解釈が分かれていました。何れにしても、身近で大切な動物であった馬にちなんだネーミングであったということです。

この「芋」とか「馬」とかいう表現、今日でも建築業界でタイルの目地の表現として普通に使われています。

そして「四半張り」⇒縁に対して45度になるように斜めに傾けて張る、ということみたいです。180度(水平)の4分の1(四半)で45度ということでしょうか?細かいことが気になります。

なまこ壁の本来の目的は防水だったようです。
土壁は雨に弱いので、土が雨に流されないよう漆喰を塗りました。ところが漆喰もそもそも水を吸う素材だったので、雨が直接当たらない場所に使用することにし、壁の下部には板の腰壁を張るなどして対応してきました。防水のことだけ考えたら、これでバッチリなのですが、板を使用するということで残念ながら防火には不向き。そこで考え出されたのがなまこ壁だったんです。雨や火に強い瓦(平瓦)でなるべく土壁を覆い、目地は漆喰で雨に流されないよう分厚く塗る。防水・防火に見事対応したというわけです。

なまこ壁の一番古いタイプは「芋張り」なんだそうです。シンプルですし、まずはこれからだったのでしょう。水はけの面から、徐々に「馬張り」そして「四半張り」になっていったようです。「四半張り」は斜めですし、確かに水の通りが良さそうですね。

ちなみに、倉敷美観地区では、「馬張り」と「四半張り」が主流だと思います。「芋張り」は店の正面の壁に使われているのを見かけます。

  

倉敷考古館 東側面の後方の壁

倉敷考古館の東側面の後方の壁は、目地の漆喰の部分があまり盛り盛りしていません。前方部分はしっかりなまこ壁なんですが。あえてそうなのか、張られた時期が違うのか。おもしろいですね。

なまこ壁は見た目の美しさだけではなかったんです。