倉敷アイビースクエアの床の柄

倉敷アイビースクエアの床の柄はこんな感じです👇

倉敷アイビースクエアの床

赤と黒の市松模様(いちまつもよう:格子模様の一種で、二色の四角形を交互に配した模様)の床です。今まで特に問題意識もなく普通に歩いていましたが、気付いたんです。この柄は、超有名な画家の絵の中で見たことがあると。こちらです👇

ベルリン国立美術館
ヨハネス・フェルメール(1632-1675)
『ぶどう酒のグラス』1661-1662頃

フェルメールの絵の中に描かれていました! フェルメールの作品は有名なものが多いのですが、よく見かけるのはこちらでしょうか?👇

マウリッツハイス美術館
ヨハネス・フェルメール
『真珠の耳飾りの少女』1665年?

市松模様は日本的な模様としてイメージされることが多いのではないかと思います。数年前に大ヒットしたマンガ(アニメ)『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の上着のデザインが黒色と緑色の市松模様でしたね。2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムにも市松模様をモチーフとしたデザインが採用されていました。

そんな市松模様、フェルメールは床の柄に多用しました。

アントン・ウルリッヒ美術館
ヨハネス・フェルメール
『二人の紳士と女(ワイングラスを持つ娘)』1660

白黒の市松模様の床もあります👇

所在不明
(※イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館より盗難)
ヨハネス・フェルメール
『合奏』1664年頃
ウイーン美術史美術館
ヨハネス・フェルメール
『絵画芸術』1666年頃
(※『絵画の寓意』『画家のアトリエ』などど呼ばれる)

世界で愛される市松模様は、上下左右、無限に連結できることから、「未来永劫」「永遠」「繁栄」を意味する縁起の良い模様とされているようです。

また、市松模様をフェルメールは、

奥行きを出して鑑賞する人を描かれている部屋に引き込む効果を作るために用いた

ということのようです。

      

縁起の良い床の上を、フェルメールを思いながら歩くのもいいですね(^-^)

久しぶりの早朝ウォーキング

少し前の話になります。久しぶりに朝早くから美観地区をお散歩しました。日の出前からの出発で、辺りはまだ薄暗かったのです。毎回思うのですが、美観地区の早朝は結構な人出です。ウォーキング、ジョギング、犬の散歩等々。犬を連れている方々は、よく立ち話をしていて、犬同士も仲良しです。なんだか微笑ましい(^-^)

2024年9月撮影 阿智神社西側参道

阿智神社の秋祭りが近かったためか、明かり(灯り)がいつもより多かったように思います。写真奥の参道にも電球が吊り下げられていました💡

2024年9月撮影 料理旅館 鶴形

大きな木のシルエットは松です。過去記事(美観地区の大樹)でも紹介しましたが樹齢400年以上ともいわれています。

2024年9月撮影 半鐘台

半鐘台(火の見やぐら)のシルエットが素晴らしいと思いました。柳に白壁の倉そして火の見やぐら、薄暗い中で見ると細部が分からないこともあり、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのようです。

2024年9月撮影 「倉敷珈琲館」付近

写真左端中央に「倉敷珈琲館」の赤い門扉が写っています。このお店の「琥珀の女王」という濃厚な水出しコーヒーは絶品です。夏場のみなので今は飲めません。
常夜燈(灯篭)の右横の柳、これは筆者が見守り続けている柳(過去記事、美観地区の常夜燈近くの一本の柳)です。今も元気にしています(^-^)

2024年9月撮影 半鐘台東側

先程の半鐘台の東側にはちょっとした広場があります。写真左下の石畳、お気付きでしょうか? 昔、この場所に橋が架けられていた(過去記事、美観地区:舗装道路の中の石畳)そうですョ。

2024年9月撮影 「ファーザークリスマス」のショーウィンドウ

薄暗い中でのハンプティダンプティにはギョッとしました。一年中クリスマスのお店「ファーザークリスマス」のショーウィンドウのディスプレイです。静かにこちらを覗いていました(^-^) 近くに寄って、じっくり鑑賞させていただきました。

最近のディスプレイはこちら👇

2024年11月撮影 「ファーザークリスマス」のショーウィンドウ

クリスマスツリーになっていました🎄 リボンの色がトリコロール(本来は3つの色という意味)なので、フランスをイメージしたものだと思いました。ツリーのオーナメントに注目です。モナリザの小さな額がいくつも飾られているのが分かるでしょうか?モナリザはルーブル美術館所蔵作品なので、やはりツリーのテーマはフランスで大丈夫そうですね(^-^)

ここからちょっと余談です。
ショーウィンドウの写真は、どちらも早朝の薄暗い時間帯に撮影しています。写したものがなんであるかほぼ確認できると思います。 昼間にガラス窓の内側を戸外から撮影した時、戸外のものがガラス窓に反射してしまい、何を写したか分からなくなってしまうという残念な経験をしたことはないでしょうか?今回なんとかうまく撮れたのは、薄暗かったからだと筆者は思っています。薄暗く他に強い光がない場合、反射による写り込みが少なく撮影できるのではないか?というわけです。当たり前といえばそうなのかもしれませんが、妙に納得してしまいました。スマホの機能でもしかしたら反射は編集できるのかもしれませんが、筆者はあまり編集せずに(プライバシーに配慮したボカシ編集のみ)投稿していますので、時間帯や天気がとても重要なんです👍暗闇からのハンプティダンプティはギョッとしましたが、ほとんど反射なしで撮影できたことをとても嬉しく思います(^-^)

大原美術館:『聖母によせる頌歌』フランドラン②

大原美術館
ジュール・フランドラン(1871-1947)
『聖母によせる頌歌』1920

師事したギュスターヴ・モロー(1826-1898)が逝去してからは、フランドランはナビ派に接近しました。なかでも、ナビ派の一員であるモーリス・ドニ(1870-1943)からの影響は大きかったようで、ナビ派の美学と調和する灰色を尊重した鈍い色調のスタイルに転じた(引用:大原美術館Ⅰ海外の絵画と彫刻-近代から現代まで-)とありました。

ナビ派とは、19世紀末のパリで活動した前衛的な芸術家の集団です。自然の光を画面上にとらえ、絵にテーマは必要ないとする印象派に反対しました(反印象派)。日常的な要素(庭、室内、家族、公園など)と神秘的な要素(宗教、夢、幻想など)の両方をテーマとし、その絵画はとても装飾的です。

筆者は、灰色を尊重した鈍い色調という特徴に興味を持ちました。大原美術館の『聖母によせる頌歌』は確かにパキッとした色はほぼなく、全体的に特に空が灰色ですよね。なんだかほのぼのとした感じがするのは灰色のおかげかもしれません。

他にも灰色の絵がありました👇

グルノーブル美術館
『ル・バル・ブリエ』1931

人々がダンスをする様子が描かれています。画面の中には、多くの人が密集して描かれているにも関わらす、騒がしい感じがしません。穏やかに時が流れているようにさえ見えます。これも、灰色効果なのかもしれませんね。

では、フランドランが影響を受けたモーリス・ドニの作品はどうでしょうか? 色々見てみると、灰色を基調とした作品が結構ありました。その中の1つがこちら👇

国立西洋美術館
モーリス・ドニ(1870-1943)
『池のある屋敷Residence with a Pond』1895

この作品も、ほのぼのとした雰囲気ですよね。ナビ派の美学の言及で、「優しく近づきやすい」というものがありました。まさにそんな感じだなと思いました。この作品についても、灰色効果は大きいかもしれませんね。 

調べてみると灰色は、どちらともとれない不安や曖昧、迷いなどのイメージがありますが、主張の少ない色なので気持ちを落ち着かせたりする効果があるそうです。筆者は大納得しました👍

今後ナビ派の画家の作品を見る時、灰色を探してしまいそうです(^-^)

美観地区のトンボ

散歩していると、よくトンボを見かけます。

倉敷アイビースクエアのカメがたくさんいる池で見かけました👇

2024年7月撮影 オオシオカラトンボのオス

今までシオカラトンボだと思っていましたが、どうもオオシオカラトンボのようです。オオシオカラトンボの特徴は、シオカラトンボより一回り大きく(なんとなく大きい感じ)、目(複眼)の色が黒く(シオカラトンボは青緑色)、腹部先端が黒い(シオカラトンボは腹部中ほどから黒い)です。

次は、倉敷川の高砂橋(過去記事、美観地区の『高砂橋』)付近で見かけたトンボです👇

2024年9月撮影 ハグロトンボのオス

腹部が緑色をしているのでオスです。水辺でよく見かけるハグロトンボですね。岡山ではまだまだ普通に生息していると思いますが、地域によっては絶滅危惧種に指定されているそうです。ちょっと驚きです。

そして踏まれそうな場所にいたこちらのトンボ👇

赤色のトンボが人通りの多い道の上にいると思いじっと見ると、なんだか羽がおかしいことに気付きました。おしりの方にも羽がある?! 角度を変えて観察です👇

2024年10月撮影 コノシメトンボのオス

何が起こっているのか理解しました。この赤とんぼはコノシメトンボと言います。赤く色づいている方がオスです。よく似た名前のノシメトンボというトンボがいるようですが、これほど赤くならないそうです。成熟すると、羽の先が黒っぽくなるのも特徴の1つです。

しばらく撮影していましたが、人に踏まれそうな場所からなかなか移動してくれませんでした。撮影している間は筆者が守っているので大丈夫なのですが…。オスの羽を少しつついてみました。それでも動かなかったので、もう羽を掴んで移動させるしかないと決心して手を伸ばしたその時、飛び立ちました✨ 安全な倉敷川の岸辺の方に。

良かったです(^-^)

大原美術館:『聖母によせる頌歌』フランドラン①

ほのぼのとした絵だなぁと思いました。

大原美術館
ジュール・フランドラン(1871-1947)
『聖母によせる頌歌』1920

【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・モローやシャヴァンヌに学ぶ
・セザンヌやドニに影響を受ける
・ナビ派の美学による鈍い色調スタイル

聖母ということなので、青い衣装の女性はマリア様、膝の上の赤ちゃんはイエス・キリストで大丈夫だと思います。ちなみに、青色のマント(ヴェール)は聖母マリアのアトリビュート(神や人物を象徴するアイテム)ですね。頌歌(しょうか)とは、神の栄光をほめたたえる歌のことです。作品名が『聖母によせる頌歌』なので、聖母に対して誰かが歌をうたっているという解釈で話を進めて行こうと思います。

では、誰が歌っているのでしょうか?画面右側に肌色の天使が二人います。色味が薄くあまり目立ちませんが、しっかり描かれています。よく見ると口が開いているのが分かりますね。この天使たちが聖母に歌っているのだと思います。

聖母は目を閉じて歌を聴いているようにも見えますね。赤ちゃんイエスは指を吸いながら、右側(天使がいる方向)を向いています。イエスにも天使の歌声が聞こえているのではないでしょうか。

天使が聖母子に歌をうたう場面を描いた作品は、他にもあります👇

フォレストローンミュージアム
ウィリアム・アドルフ・ブグロー(1825-1905)
『歌を歌う天使達』 1881

こちらの作品は、歌を歌っているというよりは、楽器を奏でているように見えます。聖母の膝の上のイエスは、安心したようにぐっすり眠っていますね。聖母の目も閉じられていますが、眠っているのかどうかはちょっと微妙だなと筆者は思いました。

大原美術館の『聖母によせる頌歌』のイエスは、指を吸いながら横を向いているので、確実に何かの存在に気付いているように見えますが、『歌を歌う天使達』のイエスと両作品の聖母は、天使がすぐそこにいるとは思っていないのではないでしょうか?なんとなく感じる、なんとなく歌(音楽)が聞こえてくる、という神秘的な状況の中にいるのではないかと思います。 『聖母によせる頌歌』の肌色の天使たちが薄く描かれているのはそのためかもしれませんね。いるようでいない、いないようでいる、そんな感じです。

ところで、画面中央の黄色の菱形、何に見えるでしょうか? ど真ん中になんだかしっかり描かれているように見えませんか? 厚塗りで効果的に白色を用いたためか金色にも見えてきます。キリスト教の社会では、黄色はユダの着物の色から裏切りの色等、ネガティブなイメージがあるようなのですが…。

スクロヴェーニ礼拝堂
ジョット・ディ・ボンドーネ(1267-1337
『ユダの接吻』1305年頃

大原美術館の『聖母によせる頌歌』の画面中央の菱形の色は、金色と捉えた方が良さそうです。キリスト教において金色は王位や尊厳、威風を示す色です。もしかしたらこの金色の菱形は、神そのものを表現したものなのかもしれませんね。

植物もたくさん描かれています。白色の花は、きっとユリだと思います。聖母のアトリビュートの1つ、白いユリ(「純潔」の象徴)ではないでしょうか。では、ピンク色と赤色の花は何の花なんでしょう? 遠近感(位置)がよく把握できませんが、まあまあ背が高い植物のように見えます。ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)とかどうでしょう?ジャーマンアイリスはアヤメ科アヤメ属の植物で、1800年代初期にドイツ、フランスで品種改良され、その後、アメリカで多数の品種を出しているそうです。開花時期も5月~6月なので、ユリの開花時期と重なる部分がありますね。ちなみに、ジャーマンアイリスの花言葉は「燃える思い」「情熱」でした。

         

     ~つづく~